精霊にも縁故あり
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雨降らし1
ウィリアムも含めた精霊会議を終えたローズは、ビューにさらわれるようにしてポセイドンの結界の中に入った。
「どひゃあ 自分が作るのに手を貸した結界袋の中に入ることがあろうとは」
ふきすさび・渦巻く風の中でローズはつぶやいた。
「すまんな」ビュー
「あの男は 我らが人の子と会話するために どれほどエネルギーを使うかも理解せず 自分の繰り言を延々と続ける気であったから」ビュー
「男ってそういうもんです。
女に対しては、見下して使役する対象とするか、
お前を認めてやるから俺に奉仕しろと無意識のうちに欲求をぶつけてくるか
それを『男は女に母性を求めるんだ。母性と言う名の~』等々ってかっこつけて言い張るか、
自分の感情こそがすべてとばかりに意識的無意識的欲求をぶつけることを当然のことだと言い張るかは 人によるけど」ローズ
「ようは欲求をぶつけてかまわぬ相手、己の欲求が満たされるように動いて当然の相手としか見られていないという点では 人間の女性も精霊も同じということか」ジェット
「みたいですねー。
恵を与えてくれるのは 母なる大地 母なる大河
自分の思い通りにならぬ海の神はポセイドンって男性形ですもの
恵の雨をもたらす風の神は女性形、時に災害をもたらす風の神は男性形ですし」ローズ
「あーあ 私もこれからは男性形をとろうかしら」ナイアードが言った。
「ねえ 男性モデルの絵姿ないの?」ナイアード
「そもそも 僕たちが人間の形をとらないと その存在が認識してもらえないってことが不満だよ」風の一つが言った。
「それはともかく、仕事しましょうか?
もう 雨を降らせても 雨雲を作っても 人間達に魔術的に収奪されないのね?」ローズ
「ええ」ナイアードが寂しそうに言った。
「それで 一体どこにいく?」ジェット
「人里から うんと離れた海岸線から始めるというのはどう?」ローズ
「お主に負担をかけることは わかっているのだが
そのう 人の里も獣の里も少し内陸部にあってな、そこに雨を降らせる小さき風たちは移動能力は低いのだ。しかも土地への愛着性が強くてな。
その者達への名づけの為には 内陸の峡谷にでも水を用意してもらってから
内陸の人工湖のほとりで行ってもらった方がいいのだ」
ビューが申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさいね。地下水までとりつくして、内陸の泉も池も干しあげちゃって」
ナイアードが身を縮めて謝った。
「にゃ~ん 大気の循環・水の循環を第一に考えるわ。
地域利益を優先してたら身動きできなくなる><」
ローズは ポセイドンに頼んで、人とは無縁の海岸に連れて行ってもらった。




