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チート姫  作者: 木苺
     風よ雲よ
60/70

精霊会議

(6/6)


ローズが眠っている間に、ローズが張った結界の中で 風たちはいろいろ話し合った。


さらに ローズが持っていた通信用魔道具、それをローズは守り袋と呼んでいたが

それを使って 風の精霊達はポセイドンとも話し合った。


その結果 自分達精霊達が ずいぶん長い間分断され、人間との意思疎通もないまま

ごく一部の人間、それは人間達の間では魔法使いと呼ばれているらしいのだがその者達によって いいように使われてきたらしいこと、

その結果 自然の秩序が完全に乱れて、この世の生き物たちの生存が危ぶまれる事態に陥っているらしいという共通認識を認識を持つに至った。


・・

翌朝 ローズが目覚めたとき、オアシスの水は一滴も残っていなかった。


かわりに結界の中には (もや)のようなものが立ち込めていた。


ローズは 唖然(あぜん)としながらも、まずは朝食や朝の支度(したく)を済ませてから、

ポセイドンの守り袋を取りに、靄の立ち込める結界の中に入って行った。


濃密な気配の中から「名前を付けて」と言う声が押し寄せてきた。


「幼い者達は 少々せっかちなのだ。

 名前を得て精霊として覚醒すればおちつくのだがな」

ビューの声がした。


「しかし名づけをするたびに お前の魔力も消費する。

 だから 名づけは慎重に行った方が良い。

 人間達は、使役したい内容を明確に意識して名付けをおこなうことにより、われら霊の一族を縛るのだ。

 一方 すでに覚醒している者達は、契約と言う形で、契約相手となる人間の力の行使に縛りを与えて 人間による力の乱用を防ごうと苦心ししている。」ビュー


「だが それが うまくいかなくて、俺たち霊の力を人間達が濫用したことによって 今の状態にいたった」別の声


「我らとて、風の本来の役割を果たしたいと思う。

 大気全体の循環をよくすることにより、気温の差を小さくしたり

 雨を降らせて 大地の乾きを防ぎ 大地の生命力を維持する役目をな」別の声


「そのために お前のもつ知識とやらを見せてくれ」

急に頭の中に何かが侵入してくる感じがした


「やめて!」結界をといた。

周囲のもやもやがぶわっとふくらび薄くなった。

 悲鳴のようなものが あちこちから聞こえた。


頭の中の侵入物が抜ける感じがして、急にぶよぶよになったビューが姿を現した。


「落ち着け」と言いう声が各所から聞こえ、その声の回りに靄が集まって行って塊になりぶよぶよぐちゃぐちゃの塊がうっすらとできた。 

(ちょっとグロい げ~~~~ 見たくない!)


「すまん。念話ができるのだから 意識共有もできるのかと思った」ビュー


「冗談じゃない。気持ち悪い。プライバシー!!」ローズは叫んだ。


「だったら 我に名前を付けてくれ。

 お前を運んだり 情報集めを手伝ってやるから

 名前を得て 形を固定せんことには話しにくい」声


「風の眷属(けんぞく)(おさ)になる者の周りに、弱い霊たちがくっついてあそこの塊になっているんだ。

 バラバラだとすぐに干からびてしまうから、ああやってまとまっているんだ」

ティンカーがそっと髪の中からローズにささやいた。


「風の精達達は、ナイアードが無防備に己の力をマルレーンに力を(ゆず)ってしまったことにより、今のひどい状態がもたらされたと怒っているんだ。


 そして 同じ(あやま)ちを繰り返さないために、自分達のことを部外者に話してはならないという(おきて)を作ったみたいだね。

それで 君と いろいろ話し合いたくてもできないから、最初は君と意識共有しようとしたり、

今度は 名づけの儀式で自分達の犠牲を最小限にした契約を結んで、君ともっとざっくばらんに話し合いたいと思っているみたい」ティンカー


「じゃあ 私が 彼らを拒んで このまま立ち去ったらどうなる?」ローズ


「さあ・・?」ティンカー


「あなたたちが、人間に使役されることを(こば)むように

 私だって あなたたちに利用されることはいやよ」ローズ


「もっともだ。

 今後 貴方を傷つけたり、あなたの許可なくあなたの中に入ろうとはしないと約束する」ビュー


「意識の中にはいることも 無意識を利用することも あやつることも だますこともしないと誓いなさい!」ローズ


「約束する」ビュー


「ただ わし一人では できることが限られておる。

 お主が転移魔法を使わずとも わしらの力の力でお主を運ぶことができれば お主の魔力も節約できるだろう?

 だから とりあえず お主を運ぶものに名前を与えてやってほしい。

 それに お主の作ったミニ結界の中で わしら一族を保護して運んでほしいのだ。

 とにかくマルレーンの暴力を止めるためには、ナイアードとのつながりを絶たねばならないし、

 我一人の力では、我らがナイアードの元に移動するまでに力がつきてしまう。」ビュー


「お前一人なら 俺の力で運ぶことができるだろう。


 見ての通り 風の一族が このように固まりあっている

 風のままでは ほかの一族を運ぶことができん

 しかも 一族の長もこのように眷属たちを保護した状態では動けぬのだ」名前が欲しいと言った声


「だから 俺に名前を与えて、お前の加護を与えてほしい

 そうすれば 俺はお前の眷属となれるから」


「そして お前が持つ守り袋の中に風の一族を収納して保護して持ち運んでほしいのだ。

 お主の加護なしでは この者達はすぐに干からびて力を失うから」ビュー


「つまり 私が名前を付けると

 名づけされた人は 私の加護を受け眷属となるの?」ローズ


「名づけにより お主の加護を受ける

 眷属になるのは 名前を得た者の意思に基づく

 昔は 名前を受け入れるときに同時に我らの方で眷属になる契約をしていたが、それを悪用したのがマルレーンだ。


 だからお前から名前だけもらって 加護の持ち逃げをしてやろうかと思ったが・・

 やはりそのような仁義に反することをすれば私が汚れるのではないかと思い返した。

 汚れるのはいやだな。

 それに お前は いい奴のようだから、普通に名前をもらってお前の眷属になろうと思う」名前を欲しがる声 


「我ら風には 水が必要なのだ。

 お主から与えられた水の力を失わないためには お主のはった結界の中に居るのが一番良い


 我らが水を得ても 今の状況では すぐにマルレーンにその水を奪われてしまう

 それに対抗しようとするとそれだけで 一族の長が消耗して果てて()しまう

 だから お主が 本気で人外の命を助けたければ、人外に水を与えたいというならば、

 我ら風を守る必要があると思うぞ」ビュー


「なんか 脅迫されているみたい。

 でもいいわ 直観に従いましょう」ローズ


「ジェッド 私の手足となって私に仕えよ」

ローズは 名前を欲しがっていた塊に名を与えた。


 日に焼けた顔をした中肉中背の引き締まった肉体を持つ男が現れた。

 男は皮肉な笑いを浮かべた。


「えげつない代償をふっかけおったな。

 まあ よいわ。

 こっちも おまえを利用しようとしたから、そのわび代わりの情報をくれてやる。

 今回限りの特別サービスとして。


 契約で 精霊を(しば)れば、精霊の能力にも縛りがかかる。

 お前の能力以上には 精霊からの助けを得ることができぬからな。

 そして 契約があれば 精霊の能力を超えた仕事もさせられるが

 その結果精霊は衰弱して 早く果てるぞ」


「なるほど

 精霊との契約とか名づけとかは 慎重におこなわなければいけないし、

 本来は 精霊と人とは直接的にかかわらず 自然の摂理に従って双方平和共存するのが良いということね」ローズ


「だが 今は緊急事態だ

 とにかく 風たちを保護してくれ」ビュー


ローズは ポセイドンと素早く情報交換した。

そして 守り袋の蓋をあけて叫んだ。「風収納!」


もやっとした塊はすべて袋に吸い込まれ

ビューは袋の中に飛び込んだ。


「それで?」ローズはジェッドに声をかけた。


「ああ、ナイアードの所にお前を運んでいく

 着いたら 袋の口を開けてくれ

 そのあと 我らの話し合いにかかわりたくなければ

 姿を消して寝ていてくれてよい」ジェッド


「いいえ 貴方もこの中に入ってください。

 話し合いは この袋の中でしてもらうから」

ジェッドは驚いた表情のまま 袋の中に吸い込まれるようにして入った。



ローズは さきほどポセイドンと話し合って決めた通り

風の一族をすべて袋の中に収納し、さらにセイレーンもその中に入れて

ポセイドンの結界の中で精霊会議を開いてもらうことにしたのだ。


その為に、守り袋の中に入っていたウィリアムの髪は分解して、

ポセイドン要素を使って、袋をポセイドンの結界に作り替えて、そこに精霊達が集まれるようにした。この作業を 先ほどの「平和共存」云々の会話中におこなったのだ。


そして、風たちをすべて収納したあと、ウィリアム要素で ウイリアムとの通信用の魔道具も作った。


「あー疲れた」

ローズは水筒の水を飲み、一度 城の中の自分の部屋に戻って眠ることにした。

※ 土日休日は 朝8時 夜8時の2回投稿

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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