気化熱
(4/6)
「そなたは 何者だ?何様だ? 望みはなんだ?」
互いの自己紹介が終わると 早速風の王ビューから質問三連発が飛んできた。
そこで ローズは 召喚と妖精・精霊とのかかわりを中心にこれまでの経緯を話した。
そして 自分としては まだ漠然とした思いしかないが、自然との調和のある人の暮らしを良しと考える国で生まれ育ち、それを根本において科学技術の開発に取り組むための基礎教育を受けているので、ヒロポン国の水不足解消には、人による水の搾取を抑える一方で、大気の循環=大気中の水の循環の乱れをただすことにより 周辺国の水の枯渇問題を解消できるのではないかと考えている、
人と人外との紛争を防ぐだけでなく、人と人外とのすみわけを円滑に行い、人の行いにより人外が被害を受けることを防ぎたいと考えている、そのために
第一目的:人間の行動抑制のどこから順に手をつけるか指針をたてるための情報収集
第二目的:できることなら精霊からの協力により、人外地域の生存環境の回復と 人間が精霊を使役できないようにするための方略の策定
をしたいと思うと話した。
風の王ビューは 黙ってローズの話に耳を傾け しばし黙考した。
そしておもむろに言った。
「この池の水を噴水のように噴き上げて、霧雨のように降らせることができるか?」
「そのようにして、この周囲の土地をうるおせってこと?」ローズ
「ちがう ちがう、わが同胞が水を吸収するには霧雨状態が最も適しているのだ
同胞たちが必要とするだけの水を得たら、実体化して お前の願いにどこまで協力できるか相談できるであろうと思っての提案だ」風の王
「わかりました。やってみます
でも 魔力を使うと疲れるからちょっと横になりますね」
ローズはそういって、自動的に池の水を吸い上げて霧雨を池の上に降らせる術を発動させると、池の傍らに日よけテントを張り、中に断熱シートを敷いて昼寝をすることにした。
テントの中が蒸し暑いので、ほどほどにテントの上部を濡らしては気化熱で中を涼しくなるように術をちょい足しした。




