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チート姫  作者: 木苺
     風よ雲よ
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二手に分かれて

(1/6)

ヒロポン国王ウィリアムには、二つの懸案があった。

1,国境地帯に迫っていると言われる魔王退治

2,慣例に基づき、新国王として国内巡行する


「そもそも 魔王ってなんです?」

朝食の干し果物入りパンをトーストして たっぷりのバターをしみこませモノを おいしそうに食べながらローズが尋ねた。


「人外の者達の王らしい」

ウィリアムは ミルクかけシリアル(干し果物とナッツ入り)をすくいながら答えた。


「ヒロポン国は ナイアード様のお力により周辺国からどんどん水を収奪して栄えてきた国なのです。

 ですから この国の周囲は どんどん干上がり砂漠が広がり、

 そこに住む人外の者達が耐えかねて、近々この国を襲ってくるといううわさが広まっています。」

 トーストした食パンの上にレタス・ベーコン・目玉焼きと順にのせながら補足説明を終えたカゲは、さらにレタスを上からかぶせて かぶりついた。

 

最近ではテーマに沿った相談役と一緒に 朝食会議がちょくちょく行われていた。


・・

午後からの御前会議では、ウィリアム国王が国内巡視に出かけることが決まった。


一方 神の愛し子ローズ様は、国境周辺の視察に出向かれるので、もし そのお姿をみかけることがあれば、ローズ様のじゃまをせぬように、また ローズ様から 何かご要望あればそれにはおこたえするようにとのお達しが下された。


そして カゲが宰相として王宮に残り、

おなじく王宮に残るエドガ―は手配調整役を務めることになった。


 早い話が、カゲが書類をさばき、エドガーが各種報告・連絡を取りまとめ・処理するのである。


なぜ ローズとウィリアムの二人が別行動をすることになったかと言えば・・・


ティンカー達が集めてきた情報によると、ヒロポン国内では いつのまにか雨があまり降らなくなったらしい。

 川も ナイアードの泉につながる本流以外はすべて枯れてしまっているらしい。

 ちなみに 支流はなくとも井戸や本流から取水した水を上水管を通して国内に配管しており、

 その管理はマルレーンがやっているらしい。


 ヒロポン国周辺では 風の循環がうまくいっていないので、海から蒸散した湿気も雨となって陸には降ってこないらしい。


 ポセイドンに言わせると、海から蒸散するや否や、マルレーンが魔法でその水分を自分の支配下において上水道に送り込んでしまうことに問題があるらしい。


 もともとヒロポン国とその周囲の土地には、人間とその他の種族が混在する緑の大地が広がっていたらしい。

 しかし いつのころからか、人間だけが集まって魔法や魔術で好き勝手をはじめ、

人間だけの国ヒロポン国の周辺が荒野となり、人間以外の種族は 荒れる一方の荒野や砂漠へと押しやられてしまったそうだ。


 そして 今 人外たちから襲撃されるのではないかと ヒロポン国の人間達が恐れている状況。


 それって 自分達の罪を自覚するのが嫌だから、相手を悪者にしたてているだけではないか?とローズは感じた。

 カゲやウィリアム達も 同じように考えていた。

 「そもそも 魔族や魔王が居るかどうかも怪しいのだ。」ウィリアム&カゲ


 「人外だけでなく自分たちにとって邪魔になった人間を どんどん辺境に押しやり

  辺境の町では それらの者達を国外の砂漠へと追い出してきたので、

  死者の恨みが化けて出たり、生き残りが復讐に来ると教会勢力が煽り立て、

  災害や事故をすべてそれらと結び付けて金儲けする輩が絶えぬのです」カゲ


 というわけで、ローズは ヒロポン国周辺の様子を確認し、魔術などの干渉による自然の乱れをただし、

ウィリアムは、国内巡行により 戦後処理&内政の立て直しと、人心掌握に努めることになった。


 ローズの動き次第で マルレーンがへそを曲げる可能性はあったが、

そこは カゲ達がなんとかをもたせ、ウィリアムが責任をもって何とかするということになった。


「とにかく 魔法関連をよろしく頼む。

 魔術・魔法・人外が話に絡んでくると、

 人は考えることを放棄して、まるで「見えない力」にあやつられるかのように付和雷同をはじめ、

 その場の雰囲気や己の心の中の負の感情を反映した思い付きを 己の意思にしてしまう。


 論もことわりもなく その場の雰囲気で人は群れ、

 法は人を傷つけ苦しめる道具に、

 秩序は 扇動者の意のままに動くことを意味するようになってしまう。


 だからこそ 摩訶不思議・人の世の外に立つ頂点である神の御使みつかい=愛し子様の権威で、スパッと膿を出し切り、理の乱れをただしてほしいのだ。


俺は、国王として 法と秩序をただすことに力を尽くす。

だから あなたには ことわりの乱れをなんとかしていただきたい」

 ウィリアムは ローズの目を見て頼んだ。


ローズは息をのみ 心を静め、

「できるだけのことをします。

 でも・・あなたの期待通りになるかどうかはわかりません」と答えた。

   だって あまりにも重大過ぎる役割を(にな)うように求められたのだから

※ 土日休日は 朝8時 夜8時の2回投稿

  月~金は  朝7時の1回投稿です

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