魔法戦士としての練習?逃走の練習?
(楽しき日々 8/9)
刀剣の型が定まると いよいよ本格的に魔法をまとわせたり、魔法剣そのものが持つパワーの調整を目的とした魔法剣の練習だ。
炎や氷をまとわせてふりぬくのは楽しいです。
雷撃を飛ばして的に当てるのは、射的場でヒットするようなワクワク感がたまりません。
大きな風弾を飛ばして的を吹き飛ばすのは、
なんだか自分が大物になったような錯覚を起こします。
これって 「威力に酔う」ってやつですかね? 自戒しなくては。
召喚される前は ボクシング系の経験がなかったので
ぶれずにこぶしやキックを決めることができるようになるまで1か月かかりました。
なんとなく 東洋の武術は技を重視 西洋の武術はスピード重視のような気がするのは
私の錯覚かしら??
さらに練習を重ねて 己のこぶしや足を敵に打ち込む時に雷撃を載せることができるようになりました。
うれし~♡
いわゆる究極の護身術を身に着けたぞ! って感じ。
やっと 体の大きな男達に囲まれて暮らすことへの怯えがなくなりました。
いざとなれば 己のこぶし一発で相手を気絶させることができるようになったのですから。
相手がその気になれば自分が簡単に無力化されてしまうという恐怖は
成人男性にはわからないでしょうね。
私達女性は 常に男達からの身体的暴力でいいようにされる恐怖を感じながらも、
男 何するものぞ!と言う意地と根性、
そして人間としての善性と理性を信じる心を強く持って、
周囲の男性陣が 分別ある行動をとってくれるものという信頼感を抱く努力と
いざとなれば むざむざやられてなんかやるもんか!という
強い意思をもって社会生活を営んでいるのですから。
そういうことが分かっている人間(雄)なんて 前世でもめったにいませんでした。
やれ女のくせに生意気だと 男であることをかさに着るガキんちょ。
ゲイの権利を振りかざして 男として生まれ育った特権(生物学的女性への優越感)を保持しながら やりたい放題の男ども
そして 何かといえば「男はつらいよ 女はいいよな」と自分だけが苦労しているかのようにほざく男どもに囲まれての生活。
一言でいえば 惰弱な男どもが 男であるというだけで持つ潜在的有利さを振りかざす中で
生きざるを得ない存在、それが前世での女性の位置づけ。
そして こちらの世界に来ると、騎士=優れた武器を持つ特権階級と、
ひたすら武力の強さで王位をつかみ取った男と 腕力あってこその兵士達に囲まれた生活。
ひたすら武は力なりの世界。
それに対抗する神官たちも 魔術師など戦闘部隊を抱えているらしいですし・・
そういう世界に来てしまったからには、肉体的にも 武器の扱いにおいても、男どもに負けない力を身につけなくては 夜も安心して眠れません。
というわけで 一通りの武器を手に入れ、その扱いに慣れ、
さらに素手で男どもを昏倒させ 連続して戦い抜く力を身に着けることは 私の急務でもあり、
それなくして安心感などありえなかったわけです。
たとえ 神子様と祭り上げられていたとしても、それは与えられた権威、
つまりいつはく奪されるかわからない不安定な身分でしかないということは
最初から自覚していましたから。
一方弓矢の稽古も レゴ先生やシリウスが、護衛練習プログラムの完成を宣言してからは、
仕掛け付き襲撃をうけることもなく、普通にフィールドアスレチックや馬に乗っての連射が主となりました。
これは 単純に楽しいです。
日々移り行く植物たちを愛で、鳥の鳴き声に耳をすませ、風を感じて過ごし
的を撃って回るだけの散歩。
頭の中では 私はロビンフットか那須与一か?麗しのエルフかしら?
妄想が膨らみます。
逃避行が必要になった時 追っての一群が100人くらいいたとしても
それらがバラバラに広範囲に囲い込むようにかかってきたとしても
連射で倒せれば逃げ延びられることでしょう。
固まって追ってくるようなら、風弾で吹き飛ばすか ファイヤーボールでぶっ飛ばせばいいだけですし。
でも 長距離を逃げ延びるためには、騎乗が上手にできなくてはなりません。
走って行ってつないである馬に飛び乗るとか、
駆けてくる馬に飛び乗るとかは むつかしい。
せっかく飛び載ってもずり落ちそうになったり
馬の首に自分の頭をぶつけて馬に嫌がられました。
飛び乗りに2回続けて失敗してからは、
馬はおとなしーく立っているふりをして
私が載ろうとした瞬間にダッシュで逃げ出すというフェイントをかましてくるようになりました。
あれをやられると 馬の尻で弾き飛ばされるのはまだしも 私が地面に激突するなど 散々です。
ほかの人の動きをスローモーションとかコマ落としで見せてくれる魔法があればいいのに。
というわけで思いついた方法、それは 自分の目に「見切り」の魔法をかけて
素早い動きを頭に焼き付けてから
頭の中で スロー再生したりコマ落とし再生して 動きを分析するのです。
おかげで やっと ウィリアム達がどうやって馬に飛び乗っているかがわかりましたが・・
それまでは 全然わからなくて 苦労しました。
「見て覚えろ」の一点張りでは 見てわかんないものは いつまでたってもわかんないよ。
馬が止まっていようと、疾走していようと、飛び乗りができるようになれば
囚われの身からの脱出も容易になります。
転移魔法を極めるまでは、馬での緊急脱出法を身に着けておくことが大切でしょう。
ちなみに 馬の横腹につかまって矢を避けたり、
走り続ける馬の腹の下にもぐって駆け続けたり、
疾駆する馬から馬へと飛び移るのは、最初のころに身に着けました。
気分は義経の八双飛び。
もしくは蒙古軍かボリショイサーカスか。
子供のころ TVの時代劇で、忍者風の方が、ひょいひょいと馬の背中から姿を消したりまた現れたりするのを憧れのまなざしで見たものです。
それを 自分でやれるようになったというのは うれしい♡
調子に乗って 馬の背で逆立ちをしたらシリウスから叱られました。
だってやってみたかったんだもん
馬上での 片手逆立ち・両手両足を広げての片足立ち、その姿勢で回転してみたり♡
室町時代の旅人風のかっこうで馬上演技を披露する 設定江戸時代の演芸人
これはバート・レイノルズ出演作によく出てくる馬のスタントマン達同様
私の憧れの馬術人達です。
昔の映画は、TV放送や地方上映のたびに映写機を回してフィルムがすり減ったらしくて
今では ほとんど見れなくなって 若い世代では知らない人が増えたのが残念
って私はおばあちゃんか・・・?
いや古いビデオを、自分で修理したデッキで再生して見ただけなんですが・・(;'∀')
木に登り、走ってきた馬の背中に飛び降りたら 影の長が、馬上での格闘術を教えてくれました。
いわゆる 走ってくる馬の乗り手を襲って馬を奪ったり
逆に 騎乗者をしとめるために 騎手に飛びついたり
逆に自分が襲撃されたときのかわし方・襲撃者の仕留め方などの練習です。
さすがに 影の者とまともに組み合っては、体力負けするので、
実践では、お薬チクリ方式を取り入れることにしました。
もっとも 練習中は雷撃付き拳闘術を使うように指導されましたが。
馬を感電させずに 襲撃者だけ戦闘不能にするのって すごく難しいんですよ!
絶縁シールド併用でやらなくてはいけないから
単純に 身体強化して格闘すれば?
影の者達も 同じ術を使って日ごろから鍛錬してますから・・
私のような俄か者にはきついっす。
もちろん 基本練習は大事!とばかりに 馬上取っ組み合いも練習しましたが・・
こういう時は 男の強さ(肉体的優位性)を実感しますねぇ。
骨格からしてむこうはがっしり、だから私からは掴みにくい
こっちはきゃしゃ⇒あっさりと掴まれて締め上げられるぅ><
「だから ありとあらゆる手で 男をぶったおす術を身につけないと安心できないのよ!」
とぼやいたら エドガーからは痛ましそうな目でみられ、ウィリアムからは突っ込まれました。
「なぜそうなる? 女は おとなしく守られていればいいだろう?」ウィリアム
「ローズ様は かつて つらい御経験をなさったのですねぇ」エドガー
「建前だけの男女平等ってのはね、男が楽して女を守る義務を放棄して、
でもやっぱり男は偉い!女は従えって精神的に縛り付けて、
しかも 社会の組織の実権はなんやかんやと理屈をつけて男が握り続けて女をいれまいと
あらゆる手段で脅しをかけて 裏では暴力的に痛めつけて女を排除する社会なんです。
しかも「男女平等」なんだからと、責任の分担・応分の負担をせよと、
自分たちがやりたくないことや面倒に感じる仕事を押し付けて、女だから雑用して当然、
責任ある地位につきたければ男の3倍働いて一度もミスすることなく結果を示して実力を証明せよとたきつけて。。
でも実力でかなわない女性にはセクハラ・夜道で襲うなどして女の名誉を汚して人格否定。
そして母性保護は不平等だから撤廃、でも子育ては女の仕事と言い倒し・・
女性たちが だったら子供を産まない!選択をすると あわてて 男も子育てに参加と言いながら・・今度はゲイの権利とか持ち出して 女は子供をはらむだけでいい、自分たちは男同士でセックスして女性と同じ特権(母体保護のための社会的措置を女性優遇の特権と言い切るゲイども)を享受すると言い出すとか・・
姑息で下劣な男どもとの戦いの連続ですから・・
結局 ぶん殴って力づくて貶めなければ納得しない生き物=男って概念もできますよ
もちろん そうじゃない男もいるんでしょうが。
女性が女性として幸せであり続ける環境を 男達に踏み荒らされた状態から始まった男女平等なんてくそくらえです。」
エドガーはため息をついて、
「我が国の現状を顧みても、我々男同士の争いに 女性が巻き込まれて 蹂躙されたのを防げなかったことを申し訳なく思います。
だからこそ ローズ様には 女性の立場から 女性の生活の場の再構築にご協力いただければありがたく思います。
私はその 男ばかりの軍の所属なので 女性と直接かかわることがないので、女性の全般的なことが分からないのです」
「女性から生まれない人間が この世に居るのですかねぇ?
男は 命の源である女性を無条件で守るという意識を強く持てばいいのに。
性欲に支配されるから 話がややこしくなるのです」ローズ
「なんという品のないことを!」ウィリアム
「日々 男どもからゲスイ目をむけられ それをはねのけなれば何事もできない立場で生き抜く女性に
品位を求めるなら、まずは 男達が全員、女性が品位を保つつづけられる環境を作り出すことに力を尽くせ。
ゲスイ男どもの存在を許し、時に自分も欲情して女を支配しようとする男どもに
女性の品位をうんぬんされたくないわ!
女性の品位のあるなしは 女性が判断すること。
男に口出しする権利なし!
買春を許容する男達は けだもの以下の下種です。
女性の品位を問いたいなら 強姦男・買春男を全員磔獄門送りにして この世から消し去ることが先です!」ローズ
「言いたいことはわかる。
しかしなぁ 俺の一生かけてもやりとげられるか・・
やらねばならんとは思っているのだが・・」ウィリアム
「ほんとうに?」ローズ
「ああ」ウィリアム
「しかしその 煩悩は 俺にもある。恥ずかしながら」小声で早口で付け加えたウィリアム
「フェロモンの作用に関しては 仕方ないでしょ。
でも 理性は大切です。そして規範を守る意思、それを育てる教育もね」ローズ
「あ、それと エドガー、あなたの先ほどの言葉、この国の現状についての あなたの考えは
私、素直に受け止めたいと思っています。
私の居た 前の世界の男達への怒りを あなたにぶつけたりはしませんから
こっちの世界は こっちの世界で 前向きに対処したいと思ってます」
ローズは軽く一礼した。
「前世でのお前の苦悩も含めて お前を受け止めることのできる男がおまえの前にあらわれることを
俺は願っている」ウィリアム
「なんか 否定的感情が沸き上がるから そういうことを言わないでください。
自分一人突っ張っているみたいでつらくなるじゃないですか。
お前の望みがかなうわけないだろ、バーカと言われてるみたい
あるいは かなわぬ望みを抱いて哀れだなぁと言われているのか
そんな受け止め方しかできないとは 僻みっぽい奴だと人格否定か
とにかく ろくでもないことを言われ続けた痛みのよどみが刺激されてつらいんで
今のあなたのことばを正確に受け止められないので すんません」
「もしかして 過去に そういうニュアンスで同じことばを 言われたことあるんですか?」エドガー
「そうなんですよ。人それぞれに異なるニュアンスで。でも全部否定的オーラでね><
だから 今のウィリアムが それとは ちょっと違うニュアンスで言っているように感じても
まっすぐには受け止められない。っていうか 困るわ。 彼自身の悩みをもちだされても」ローズ
「めんどうなやつ」ウィリアム
「こういうとき アッカンベーできる子供がうらやましい」ローズ
ローズが舌を出している姿を想像して ウィリアムは噴き出した。
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