快速2輪車
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トイレ休憩のあと 「快速2輪車」という乗り物に移った。
これは振動が少ない 速い
柔らかい背もたれつきの クッションの良い座席の下に車輪がくっついているようなもので、
座り心地は良いが 風がビュンビュン顔にあたって目もあけていられないような乗り物だ。
あまりに早くて 息をするのも困難なくらい。
しかし 座り心地の良いアップダウンの少ないジェットコースターに乗っているようなものだから
さきほどの馬車に比べれば、かなりましだった。
最初のうちこそ 座席の前のバーにしっかりとしがみついていたが、すぐに二輪車の動きに慣れ、
ゆったりと背もたれに身を寄せて眠ることにした。
胸当てのあるシートベルト付きだから、眠っても体が滑り落ちることはあるまい。
・・・
一方 ウィリアムは座席の前のステップに立って 馬を御していた。
はっきり言ってご令嬢が 風圧に耐えかねて騒ぐようなら
当身を食らわせて気絶した状態で運ぶつもりだったが、
あろうことか ローズは座席の上で眠りこけている。
怖くないのか?
最初のうちこそ 御者の背もたれバーをしっかりと握りしめ縋りついていたようだが、
その手が バーから外れたときに びっくりして振り向き確かめたら
背もたれに身を寄せて寝ているのだからあきれた。
こんなことなら 最初から2輪車を使えばよかった。
馬車に酔って、快速2輪車が平気なご令嬢とは
異世界人はよくわからん存在だと 改めて思った。
ふつーは この速さに恐怖を抱いて失神してもおかしくないのだが。
ローズは 失神ではなく眠っていた。
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