追放
豆腐メンタルに布を被ってきたのでエタりません(仮に文章が破綻しても完結させます)
指摘等頂いた場合に過去話をちょくちょく修正・変更する場合があります、よろしくお願いします。
各話の区切りは作者が個人的にキリがいいと思ったタイミングです。
対戦よろしくお願いします。
「お前がこんな事をする奴だなんて思わなかった! 二度と顔を見せるな!」
そう怒声を発したのは、僕の所属しているパーティーのリーダーであるノベク。
茶髪で筋肉質の肉体持ち、体格は20代の先輩冒険者と変わらない程。
両手剣を武器に戦う戦士だ。
他には、銀髪碧眼美少女魔法使いの幼馴染、レア。
『聖女』の称号を持った紫髪でスタイル抜群の美女であるミュイラ。
ミュイラの信者であり、黒髪黒目の男性で弓をメインに戦うトーチ。
この3人がパーティメンバーだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 何の事!?」
突然の事に、理解が追いつかない。
「うるさい! さっさと行け!」
そう言って、扉を閉められてしまう。
その間際、奥で僕の事をせせら笑うミュイラの姿が見えた。
*
「はぁ……これからどうするかな」
僕の名前はソラ。
今、正に所属していた冒険者パーティを追放された冒険者だ。
パーティー内での役割は雑用や補助魔法でのサポートがメイン。足りない部分を補う器用貧乏……と言ったところ。
16歳で、冒険者歴は6年だ。
(戻るのは絶望的だよなぁ……あの感じ。二度と顔を出すなって言われちゃったしね)
つい先程のことを思い返す。
あの時笑っていたことから考えて、ミュイラは僕の追放に賛成なんだろう。
寧ろ、主導したと見ていいと思う。ノベクは急にあんなこと言い出すような人じゃないからね。
と言うのも、ノベクはイケメンで努力家、しかも一途で収入もかなりあると、かなりの女性人気がある青年だ。
長い間一緒に生活してきた僕から見ても努力家だし、優しい人間だと言って良いと思う。
とすると、ノベクはミュイラのことが好きそうだったし、言い寄られて有る事無い事吹き込まれた感じなのかな。
その場合、抗議したとしてもミュイラが僕を入れる事を反対すればトーチもそれに追従するだろうし、ほぼ無理と見ていい。
(思い入れもあるんだけどね……)
ミュイラとトーチに対してはそこまでないが。
元々、僕とレアとノベクの、幼馴染3人で頑張って来たパーティーだったのだ。
そこに、最近あの二人が入って来ただけ。
(にしても、あんな事ってなんだ? 特にやらかした覚えはないんだけどな……)
「いや、まずはギルドにいかなきゃな……」
そんな思考を打ち切り、まずやらなくてはいけない事を考える。
今もう一度話に行った所で門前払いされるのがオチだろうし、それなら第三者のギルドに間に入ってもらった方がいいだろう。
ギルドとは、冒険者ギルドの事。
冒険者ギルド、通称ギルド。
世界各地に生息する魔物の討伐や各地に点在する遺跡の探索、秘境に眠る貴重な素材の採集等々、常に危険がつきまとう仕事で生計を立てる者、冒険者を支援するための、超大規模な国際組織。
他には災害時の誘導やボランティアなんかもするけど、あくまで補助的な部分だ。
(流石に、戻れないにしろ僕の物は返してくれる筈)
冒険者には生存率を高める為にパーティー制度があるため、脱退や加入の時の決まりが結構ある。
そのうちの一つに、共有財産の一部の譲渡や寄付物品の返却なんかがあって、僕は結構な金額とアイテムを寄付していたからある程度の量が戻ってくるはずだ。
「すみません、Bランクパーティ、紅空の彼方のソラです」
ギルド支部に入り、顔見知りの受付嬢であるマイラさんに声を掛ける。
金色の長髪を一纏めに結い、きっちりと正された姿勢からはしっかり者と言った印象を受けるが、表情は柔らかく話しかけ辛い雰囲気は無い。
とても優しい人で、僕ら三人……僕とレアとノベクが初めてこの街に来た時に、かなりお世話になった人だ。
「あ、ソラさん。おはようございます! なんの御用でしょうか?」
話しかけられたマイラさんは愛想良く挨拶をし、要件を聞いてくる。
「パーティを追放されてしまったので、アイテム関連の取り持ちをお願いします。それと、出来れば話もしたいのでそっちの方も取り持って頂けると助かります」
「えっ? ……え? ソラさんが?」
マイラさんは驚いた様子で聞き返してくる。
(まぁ、結構仲良かったしね……)
「はい」
「あー、えっと、わかりました。少々お待ちください」
「お願いします」
慌てて準備を始めるマイラさんにそう言い、横に捌ける。
受付前で陣取る訳にもいかないし、マイラさんや職員の人たちに迷惑をかける訳にもいかない。