第2話
ハロー!私、新はじめ!なんの変哲もないフツウの女の子!
この春から栄知村高校に通い始める、15歳の高校生だよ!
学力:分数が分かるよ!★
運動神経:ナメクジレベルだよ!★
なんの取り柄もない私だけど、歳相応に妄想は大好きだよ★ウフ!
「はじめー、こっちこっち!」
彼女は、閃かおりちゃん。私の幼稚園からの幼馴染。
頭脳明晰、スポーツ万能、容姿端麗、イーティーシー
少し天然でおっとりしているところもある完璧少女だよ!
鎖骨のあたりをグーで殴りたくなるよね!
かおりも私も、今日は栄知村高校の入学説明会に行っていたんだー。
今はその帰り道。教科書をもらったり、制服の採寸をしたりした帰り道。
徒歩で通学していた小・中学校と違って、これからは憧れの電車通学!
女子高生らしく放課後にマッタリ過ごすための駅チカカフェを探している最中なんだ!
「来週から私達もいよいよ女子高生だねー」
スマホを片手に、かおりはしみじみと言った。
「私、女子高生って、もっとオトナだと思ってたけど、なんだかフツーになれちゃうもんなんだね。」
はじめは、片手に持った手提げかばんをブラブラと前後に振りながら、今日の制服の採寸を思い出した。
「なんか、心はまだ中学生っていうか、子供が高校の制服着ているだけっていうか…」
「これからなんじゃないかなぁ。」
「んー?」
「はじめちゃんも、今は中学生って思うけど、小学生とは思わないでしょ?きっと、それと同じで、これからの3年間で少しずつオトナになっていくんじゃないかなって」
「オトナねー」
はじめは首を傾げながら、自分が大人になった姿を想像してみる。
胸とお尻が異様に大きくなった自分が、キャリアスーツに身を包みながら、キャリーバック片手に堂々と歩いている。両脇には屈強な肉体の黒いスーツの男性が二人。
「オトナねぇ・・・」
「あ、見て、向こう。」
かおりが道路の向こうを指差す。その先には、栄知村高校の制服を着た女性が二人。
「今の時期に制服着てるってことは、先輩だよね。だってほら、すごい大人っぽいよ。」
かおりの言うとおり、二人の佇まいは女子高生というよりほぼ大人の女性のように見えた。制服だけが、彼女らが女子高生であるということを主張しているようだった。
「大丈夫だよ、はじめちゃんも高校生になったらきっと変わるんじゃないかな。」
「んー、そうだね。」
そう言って、かおりはカフェを探すべく再びスマホに目を落とした。
はじめは、ぼんやりと道路の向こうの女子高生らを眺めていた。
女子高生らに、背の高いスーツ姿の男性二人が歩み寄っていくのが見える。一人は若い男性だが、もう一人は50代くらいのように見える。女子高生らは、彼らに会釈をすると、彼らの案内のまま、白いバンに乗って、何処かへ行ってしまった。
「…え?」
はじめは、その一部始終を、じっと見ていた。
(え!!い、今のって!ももも、もしかして、ぱぱぱぱ、パパ活というやつでは…!!)
「どうしたの?はじめちゃん」
「い、いや、なんでもないよ。ははは…」
(女子高生、コエぇ…!)
はじめは、これから始まる自らの女子高生生活に、一抹の不安を覚えた。




