ノーパンの後輩のスカートをたくし上げるという部活動
「というわけで輪廻、パンツを脱げ」
「へ?」
それはもはやお願いというよりも、命令だった。
男子トイレの個室に輪廻を連れ込んだ俺は、開口一番そう告げた。
さすがの輪廻といえども、口を開けたまま唖然としている。
まあそりゃそうだが。
「あの……師匠、それはどういう――」
「いいから、パンツを脱ぐんだ。真理を知りたいなら、俺の言う通りにしろ」
「真理……」
その言葉に輪廻の瞳が揺れた。
「分かりました……私は、師匠を心から慕っています。であれば、師匠のお言葉を信ずるのは必定。ですから――」
輪廻の視線がまっすぐに俺の瞳孔を貫き、同時に俺の鼓動が跳ね上がった。
な、なんて輝いていやがるんだ、こいつの目は…………!!
「私、脱ぎます」
師匠、しかと見届けてください。
その異様に静謐とした鈴のような音が俺の鼓膜を震わせたときには、もう既に。
輪廻のしなやかな指先がスカートの裾に吸い込まれたかと思うと、しゅるり、と微かな衣擦れの音を生じさせながら、やがて細く綺麗なふとももを伝って、淡いスカイブルーのそれは姿を現した。
それは息を飲むほどに、神秘的な光景だった。
例えるならそう、太陽が西の彼方に沈む際、特殊な条件下でのみ稀に観測することができるという“ブルーフラッシュ”のような。
ただ、閃光というほど、その時間は短くはなかった。
輪廻が腰を屈折させ、肩から指先までをゆっくり伸ばしていく。
それに伴って輪廻の人さし指と中指の間に引っ掛かったその神聖な布が、存分に俺の目を楽しませながら下降していく。
そしてやがて。
足首まで降りた“それ”から、輪廻はまず右足を抜き、そして左足ごと“それ”を持ち上げると躊躇うことなく、手でそれを引き抜いた。
「師匠、脱げました」
そう言いながら差し出された羽狩輪廻の手には、言うまでもなく、可愛らしいパンツが乗っていた。
「お、おう」
ドギマギしながらもなんとなくそれを受け取る。
その手触りのいい布は、輪廻の体温をほのかに残していて温かかった。
「あ、あの師匠! その……あまりマジマジと見られるのは、恥ずかしい……といいますか」
「あ、ああ、ごめん」
無意識の内に俺は手で輪廻のパンツを広げて、ためつすがめつしていたようだ。慌てて視界から逃がすように、ズボンのポケットにそれを押し込んだ。
いかんいかん、本来の目的を忘れてしまうところだった。
「いいか? そのままじっとしてろよ?」
「え? あ、はい……」
従順ではありながらも、輪廻の表情にはどことなく不安の色が浮かんでいた。
どうにか安心させてやりたいところではあるが、パンツを脱がせた今の状況でそれは難しい。
であれば、さっさと目的を達してこの状況を終わらせるのが輪廻の為か。
というわけで俺はその場にしゃがみこむ。
「し、師匠!?」
慌てた様子で輪廻がスカートを押さえる。
うん、いい反応だ。
「大丈夫だ、覗いたりしないから。手を後で組んで、絶対に動かすな。動かしたら俺はお前を破門する」
「う……はい、分かりました……」
スカートを押さえていた手を離すと、ぎこちない動作で後ろへと回した。
さて、これで準備は整った。
俺は、輪廻のスカートの左右の裾を、両手の指でそれぞれ摘まんだ。
「し、師匠……?」
輪廻の声が震えているのが分かる。
「大丈夫、安心しろ。俺を信じろ」
「は、はい……」
声だけじゃない。身体も震えていた。
この状況に、他ならぬ俺も緊張している。
しかし、このスカートの裾の先に、真理があるのだ。
なら俺は、ここで立ち止まるわけにはいかない。
俺はゆっくりと、腕を持ち上げていく。
それに伴って、輪廻のスカートも持ち上がっていく。
輪廻の綺麗なふとももが、次第にその露出面積を増していく。
透き通るような肌に目を奪われ、意識を吸いとられそうになるが、こうして身体を俺に任せてくれている輪廻の為にも、もしもことがあってはいけないと、気を引き締める。
そう俺は、輪廻の大事な部分を目撃してはいけない。何があっても。
そんな俺の思いに反して、スカートは大分高い位置までたくし上げられている。
もう少し。
もう少しで、脚の分岐点に辿り着いてしまう。
あと5cm。
あと4cm。
あと3cm。
あと2cm。
あと1――――。
「いやあっ!」
輪廻の手が、俺の手を払いのけ、スカートは重力に従って元の膝上15cmに戻った。
見上げると、輪廻は涙目だった。
「あ……ご、ごめんなさい……私……」
俺は立ち上がり、輪廻を安心させるように頭にポンと手を置いてやる。
「いや輪廻、よくやってくれた」
「はい?」
目を潤ませたままで、輪廻が惚ける。
「俺達は今、真理の尻尾を掴んだぞ」
決めてる感じで言ってはみたものの。
輪廻はなにがなんだか、さっぱり分からないようだった。




