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噂話

「あれ、あのぽっちゃりした子、最近見ないな」

「そうだな、やめたのか」

 給仕をしている女達を見ながら、ひときわ目立っていたぽっちゃりした少女の姿を探す。

「いや、ちゃんといるぞ」

 一人がそう言うと肉付き普通の女の子を指さした。

「え、全然違うじゃないか」

「ほら、転生者の女のほうが、ウエィトレス相手に痩身の相談を受けているらしい、その成果で激やせしたんだと」

 最近のウエィトレスたちはすっかりやせ細ってしまった。

 きゅっとしまった二の腕、ウエストもすっかり細くなり、ぜい肉というものがほぼ根絶されているかのようだ。

「ええ、俺、少しぐらいぽっちゃりしたぐらいが好みなんだよなあ」

 太りすぎは多少困るが、痩せすぎもあまり、中肉中背ぐらいがいいのだと彼は言う。

「でも、最近女達がパワーアップしてないか?」

 普段から重い物を持つことが多いこの職場、今まではよたよたと歩いていた女達が、今は察そうと風を切って歩いている。

「うん、筋肉を増強して、脂肪を燃焼すると言っていたな」

「いったいどれくらいパワーアップしたんだ?」

 ほら、あの特注箱を軽々と持ち運んでいた子がいたよな」

 それは頑丈な鎖を特注で作ったものだ、代の男でも青息吐息のそれを女の子二人ですたすたと持って歩いていた。

「異世界のトレーニングとかいう奴らしいが」

 筋力アップは軍人の夢だ。

 か弱い女の子があれだけパワーアップするのだ、軍人がそれを受けたらどれだけ筋力を向上させることができるだろうか。

「やはり、ちょっと興味があるよな」

「基礎体力の向上こそ、軍人の理念だ」

 五つの定食のトレーを軽々とは依然しているウエィトレスを横目で見ながら彼らは互いを見つめあう。

 誰が、トレーニング内容を聞き出すか、それぞれ腹を探りあっているのだ。

 彼女達の足を見る。

 足首の肉のつき具合は相当な鍛錬が積まれた証拠だ。

「どうしました?」

 軽く座った目で男達を見る。その疑惑に満ちた視線は、足首を凝視する男に対しては当然の対応というものだろう。

「いえ、なんでも」

 きれいな筋肉ですねと言う誉め言葉は今は言わないほうがいいと判断した。

 うかつに肉体を褒めると、ふしだら扱いされたと苦情を申し立てられる。

「やはり、本人に直談判するか?」

 小柄で華奢な少女だという以外の情報は一切ないが、確実に本人に聞いたほうがいい。

「どのあたりにいると思う?」

「ほら、あっちの厨房の手伝いをしているらしいが」

 新作の料理を作るために作業をしているという話は聞いたが、それ以外は情報統制されている。

「とりあえず、暇な時間があればな」

 軍人は丸一日、誰か氏らが任務に就いている。

 時間のあるものが行くのが妥当だ。


 その時、カラはタロの調理補佐をしている最中にくしゃみをした。

「おい、食材にかからなかったろうな」

「あ、目の前にあったのは洗い直すよ」

「マスクがいるな」

 タロはこちらとあちらの習慣の違いを痛感してた。



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