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生きていた伝説の英雄

人物紹介


ユリィ・カナンゼル

 心優しく真っ直ぐで純粋な人間族の少年。憧れの魔導士になるために魔法使いの卵として奮闘中。

 困っている人を放っては置けないくらい優しく、困っている人を助けようとした結果。自分が困る、なんていうことをよく起こし。さらに純粋すぎるため、よく騙される。

 いつもここぞという場面で緊張やプレッシャーから足がすくみ、何もできずにいるため、よく『ヘタレ』と呼ばれている。


ヴァイス・ヴェルメリオ

 悪名高い魔王を倒した人間族の伝説の魔導士。

 基本的に面倒臭がり屋&軽い性格で、ギルドの依頼をほぼ全てサボって、普段からギャンブルなどの娯楽で遊びまくっている絵に描いたようなダメ人間。

 右に碧眼、左に灼眼のオッドアイで、紅が所々混じった白髪が特徴。

 ギルド上層部では過去の栄光を見る影も無くなった事から『ダメ人間』と呼ばれている。

 ヴァイスが『白の魔導士』だと自称するとその場の空気が固まる。


「「…………っぷ。だーっはっはっはっは!」」


 だがそれを聞いて、起こったのは畏怖や恐れではなく、ギルドにいた一同からの大爆笑だった。


「ぎゃははっ!あんた。面白いこと言うな。『白の魔導士』を名乗る人間が、まだこのご時世にいるとは思わなかったぜ。」


「げへへっ!全くだ。『白の魔導士』なんて何百年前の話をしてんだか。」


 そう『白の魔導士』の話は有名で、子供の頃から誰もが一度は聞く話だ。

 それ故に、ギルドでは一時期『白の魔導士』を名乗る偽物が増加していた事もあり、ギルドの掟として『白の魔導士』を名乗ってはいけないというルールすらある。


「あ~、笑った笑った。兄ちゃん、笑わせてくれたお礼にチップくれてやるよ。ほれっ!」


 酒に酔った若者達が1クルを弾き飛ばし、ヴァイスの足元に転がる。


「おっと、手元が狂っちまったな。兄ちゃん自分で拾ってくんな、ぎゃはははっ!」


 ヴァイスは足元にある1クルを拾う。


「あんがとさん。これでまた遊ぶ金が増えたよ。礼を言っとくぜ。三下ゴミクズ野郎共。」


 礼を言うついでにヴァイスは、酔った若者達を罵り煽る。


「あぁん?オメェ誰に向かって口聞いてんだ?」


「おいやめとけ。どうせこいつはルールを破ったんだ。相応の罰則があるのは決まった事だ。」


 ヴァイスの挑発に怒った男が殴り掛かろうと立ち上がるが、もう一人の男がそれを止める。


「ははっ!そういやそうだったな。念には念を入れといて置こうか。おい、みんなぁ!」


 そう言うと、酔っ払っていた男は机の上に立ち注目を集める。


「ここにいるボロ雑巾みてぇなヤツが、さっきギルドのルールを破り『白の魔導士』を名乗ったのは、みんなも聞いたよなぁ!」


 男はヴァイスを指差し大声で言う。


「ギルド規定8。『白の魔導士』と名乗ってはいけない。」


「『名乗った場合、それは現代のいしずえである過去の英雄を侮辱する行為とみなし、傭兵派遣協会から永久追放する』……だったよな。」


 男がギルド規定なるものを言い始めると、ヴァイスがその内容を告げる。


「……………」


 そしてヴァイスは沈黙したまま俯く。


「ハッ!よく知ってるな。知ってるくせに言ったのかよ。まあ、自分で言ったことなんだ。恨むんなら自分を恨むんだな!ぎゃははは!」


 俯いていたヴァイスは男が下卑た笑いをしているのを気にもせず、ただ黙ってギルドから出ていく。


「チッ!なんだよ、胸糞わりぃ。もっと悔しそうな顔が見てみたかったぜ。なぁ、アンナちゃん!アンナちゃん?」

 

「あ、はい!なんでしょうか」


 アンナと呼ばれた受付嬢は、さっきの男に声を掛けられるが、手続き書を読んでいた彼女はどこか上の空だった。


「今のヤツの処分報告。ちゃんと上の方に話通しておいてくれよアンナちゃん」


「あ、あの!その件なんですけど!」


 手続き書を読んでいたアンナの顔は青ざめていた。


「い、今の人。年齢が。1,000歳越えてるんですよ。人間族なのに……。し、しかも内容が嘘という訳でもなく、しっかりとした経歴もありますし、昔のギルド印も押されてます!」


「はぁっ!?」


「何だとぉ!?」


 その手続き書に書いている内容を見せると、みな愕然とする。


「も、も、も、もしかして彼って本物の『白の魔導士』さんなのでは……?」


 その言葉を聞くとみんなが呆然としている中、一人ユリィは彼を追ってギルドから飛び出す。


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