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プロローグ

人物紹介


ユリィ・カナンゼル

 心優しく真っ直ぐで純粋な人間族の少年。憧れの魔導士になるために魔法使いの卵として奮闘中。

 困っている人を放っては置けないくらい優しく、困っている人を助けようとした結果。自分が困る、なんていうことをよく起こし。さらに純粋すぎるため、よく騙される。

 いつもここぞという場面で緊張やプレッシャーから足がすくみ、何もできずにいるため、よく『ヘタレ』と呼ばれている。


ヴァイス・ヴェルメリオ

 悪名高い魔王を倒した人間族の伝説の魔導士。

 基本的に面倒臭がり屋&軽い性格で、ギルドの依頼をほぼ全てサボって、普段からギャンブルなどの娯楽で遊びまくっている絵に描いたようなダメ人間。

 右に碧眼、左に灼眼のオッドアイで、紅が所々混じった白髪が特徴。

 ギルド上層部では過去の栄光を見る影も無くなった事から『ダメ人間』と呼ばれている。

「『昔々、悪名高い魔王がいました。

 魔王は私利私欲の為に世界を支配しようとしました。

 そんなことはさせないと。エルフやドワーフ、同族である悪魔族など、ありとあらゆる種族の名だたる英雄達が魔王に挑みましたが。

 魔王は一撃で彼らを屠り、伝説の剣を抜いた人間の勇者も魔王によって討ち滅ぼされてしまいました。

 魔王は言いました。


「金や地位や名誉、そんなものでは我は倒せぬ。」


 誰もが魔王を倒せないと諦めかけたとき、1人の魔法使いが魔王に挑みました。

 魔法使いは激戦の末、魔王を倒しました。

 魔王が倒され、平和が訪れた世界に向かって魔法使いは言いました。


「世界を支配するのは誰にも相応ふさわしくない」


と。


 そう言い残し、魔法使いはそのまま消え去りました。

 誰も名前を知らないその魔法使いは、その容姿から後に『白の魔導士』と呼ばれるようになり、平和と共存の英雄として今でも語り継がれています。』」


「カッコいいなぁ!僕もこんな魔法使いになりたい!なれるかな?」


 小さな子供は昔話を読んでくれた母親におおはしゃぎで聞く。


「えぇ、あなたならなれるわ。頑張りなさい。」


「うん!頑張る!」


 時は流れ、少年は念願だった魔法使いになる為に、王都から少し離れた所にある重要な商業都市、ハーベルにいた。

 どこまでも青く澄み渡る空。商人達の活気の溢れる声や行き交う人々で賑わう街並み。

 そんな中、大きな建物の前で立ち尽くす、少し背の低い少年がいた。

 黒いローブにトンガリ帽子、そして手に携える杖を見れば、誰もが魔法使いと分かる格好をしていた。

 少年の目の前にある建物は傭兵派遣協会。通称ギルドと呼ばれている建物だった。


「よ、よし!」


 少年は覚悟を決めるとギルドの扉を開く、中へ入ると、昼間から酒を飲み、ドンチャン騒ぎをしている若者や、掲示板に張り出されている依頼状を見てる女性などがいたが、入ってきた少年にみな注目する。


「っう…」


 周りからの注目を浴び、少年は思わず外へ逃げ出したくなるが、帽子を深くかぶり足早に受付へ向かう。


「うわっ!」


 だが、帽子を深く被りすぎて前をよく見ずに走っていた為、人にぶつかり、そのまま尻餅をついてしまう。


「あぁん?なんだ坊主、俺になんか用か?」


「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」


 顔をあげるといかつい顔をしたドワーフのおっさんが睨み付けてきて、少年は怖くなりすぐに謝って、受付まで猛ダッシュする。


「はぁ、はぁ。」


「傭兵派遣協会、ギルドへようこそ!今日はどんな御用ですか?」


 息を切らしながらも辿り着いた受付。そこにいた受付嬢は満面の笑みで少年に声をかける。


「あ、あの。僕をギルドに入れてください」


「入団ですね!こちらにお名前と年齢、種族、性別、職業を記入して下さい。」


 少年は出された入団書にゆっくりと綺麗な字で書いていく。


「.....ユリィ・カナンゼル。.....人間族。.....男。.....魔法使い、と。できました。」


 ユリィは丁寧に書いた入団書を受付嬢に渡す。


「ユリィさんですね。では入団料として500クル頂きます。」


「えっ!お金取るんですか!?」


「はい。ギルド手帳や通行証の発行料金として頂きます。あの~、もしかして.....」


「僕、お金持っていないんです。」


 ユリィはうつ向いて落ち込む。

 小さい頃からの魔法使いになって困っている人を助けるという。

 夢の一歩を踏み出せると思っていたユリィとって、お金の問題はとても大きな壁になった。


「うーん。困りましたね~。」


 受付嬢が困った様子で悩んでいると、ユリィの後ろから人がやって来て隣に立つ。


「ちょいと立て込んでいるとこ悪ぃなチビッ子。なぁ嬢ちゃん、ここでのコレの手続きにいくら時間掛かる?」


 急に割り込んで来た男が、受付嬢に一枚の紙を見せる。

 男は白いボロボロのマントを着て、フードを被って顔を隠しており、ユリィの角度からは顔が見えなかった。


「あ、はい。えーっと、転職手続きですね。それなら30分程で出来ます。」


「あ~、良かった~。王都支部でコレ申請したら待ち時間で1年掛かるって言われてこっち来たんだよ。全くどんだけ待たせんだよって話だよな~。んじゃ、後はよろしく!」


 男は一通りしゃべり尽くし、そのまま立ち去ろうとするが


「……あ、あの!お名前は!」


 唖然してた受付嬢が、手続き書の名前の欄が空白なのに気付き、慌てて引き留める。


「ヴァイス。ヴァイス・ヴェルメリオ。『白の魔導士』だ。」


 これがユリィとヴァイスの出会いだった。


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