表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Scope  作者: 齋藤光
4/4

その先、あるいは元の場所

 同時刻。ここは…なんと呼べばよいだろうか? 特に名前がないのだ。名前をつける必要がないのだから。いまその世界の住民が手元の光の塊を覗いている。と言っても、彼には手もなければ目もない。それどころか質量を伴った身体がない。その世界自体が彼そのものであり、彼はおびただしい数の意識を持ち合わせていた。天国、極楽、楽園、高天原、黄泉の国、地獄、魂の帰る場所、宇宙の意志。彼を構成している存在は、彼自身をそんなふうに呼んでいるのだろうか。そう呼んでいる存在が彼自身であることにも気づけずに。

彼は、想像もつかないほど極小な、しかしはっきりとした意識を感じ取った。

「ああ、君か」

彼は、ある少年が創った宇宙の片隅に存在する惑星で、たった今砲弾をぶっぱなしたばかりの戦車を駆けめぐる鉄のクオークに語りかけた。その粒子の意識は瞬く間にその星の裏側の平和な大学にまで伝わり、ペトリ皿の上の細菌たちは不気味な速さで増殖を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ