第5話
北暦1710年(西暦2020年)1月中旬
エレミア共和国 首都エルミール
大統領府 会議室
11:00 現地時間
「では、これより国交樹立会議を行います」
エレミア共和国大統領、クラマ・スポイルの言葉でその会議は始まった。
これより1時間前に遣エレミア日本艦隊は首都エルミールの沖合に着いた。首都エルミールのあらゆる場所から見えた日本艦隊は、エレミア人にある種のショックを与えた。
エレミア共和国第一艦隊に所属する、エレミア共和国が誇る2隻の最新鋭戦艦 エドガー級の『エドガー』『オルトー』。その基準排水量は17500tで、主砲は30㎝連装砲4基。
少なくとも大陸東部では最大最強の戦艦であったのだ。
だが、沖合に現れた日本艦隊には2隻の超エドガー級の戦艦が存在した。エドガー級よりも巨大で主砲も大口径。
これはエレミア共和国の上層部の予測を大幅に裏切っていた。日本には大した軍事力は存在しないはずだったのだ。それがどうか? 現実には自分達の想像の埒外の化け物を持ち込んできた。
……さすがにエレミア共和国の穏健派はマズいと思い始めている。国交樹立会議の前にもう一度、対ニホンの対応を政府内で協議したいと考えた。
だが、強硬派はそんな弱気な穏健派の申し出を拒んだ。
「見ろ! 艦隊のほとんどは貧弱な艦だ! だからあんなものは張りぼてに過ぎん!」
そんな意見が出された。確かに大型戦艦以外の武装は貧弱に見える。
だが、果たして本当にそうか?
技術力がニホン側の方が高いと分かっている以上、警戒して然るべきなのではないか?
穏健派はそう考えたものの、既に事は動いている。彼らは不安を抱えながらこの会議に臨んでいるのだ。
……強硬派はそうではなく、如何にして自分達に有利な条項を呑ませようか皮算用しているようだったが。
日本側は外交官10名足らずの出席だ。全員がこれから始まる重要な会議を前に目をギラつかせており、ある種の異様な雰囲気を醸し出している。対峙するエレミア共和国側としては『なんだこいつらは?』というような心境だった。
だが、日本の外交使節からしてみれば日本の興亡をかけた武器を用いぬ戦である。まるで今か今かと突撃命令を待つ士気が超高い兵士達のようになるのは仕方のないことなのだ。
そして会議が始まる。
「……では、まず本格的な話し合いを始める前に互いの国を紹介することから始めましょう」
これは元より両国とも承知のことだ。お互いの国のことを知らなければマトモに国交を樹立することなどできないだろう。
そしてこれは自国の紹介と名を騙った威嚇合戦でもある。如何に自国の力と優位性を示して、相手に不利な条項を呑ませるか。この交渉のペースを掴むには、この場で相手に恐れを抱かせる必要がある。
先攻はホスト側であるエレミア共和国だった。
「我が国は今より300年ほど前、フィルディリア大陸東部を支配した東フィルディリア帝国の崩壊と共に独立したことによって建国されました。古くより貿易都市として栄えていたこのエルミールを首都としています」
説明するエレミア共和国側の閣僚。彼は強硬派の一員であり、自国のことを誇らしげに語っている。
誇らしげに語ること自体は構わないのだが、その目は日本を侮るものであり、向けられる側からしたら気持ちのいいものではない。
次々と出されるエレミア共和国の情報。
人口3800万人、エルミールの人口80万人、主要輸出品目などなど……。
そして軍事力。
「我が国は最新鋭戦艦のエドガー級2隻を含む第一艦隊、それより少し古いが依然として強力な艦として名高いアルマー級2隻を含む第二艦隊、そして10隻以上の潜水艦を運用する潜水艦隊があります。フィルディリア大陸東部では最強の海軍を自負しております。陸海空軍の総兵力は30万人にも達し、この世界でも有数の軍事力です」
この世界にはまだ国が少ない。そういうツッコミは野暮だろう。スポイル大統領はそう思った。
実際、現段階でエレミア共和国が勝てない相手は大陸西部を席巻するフォルワナ共和国のみである。
「……これで我が国の紹介を終了とします」
エレミア共和国の閣僚が満足したかのような表情で座る。それを見た日本側の外交官の1人が立ち上がった。
「では次は我々の番ですな」
彼がニヤリと笑みを浮かべたようにエレミア側からは見えた。もちろん、実際に笑みを浮かべたわけではない。だが、彼の纏う雰囲気がそういう幻覚を見せたのには違いなかった。
「では、少々部屋を暗くしてもよろしいですか?」
「……? 構わないですが……」
スポイル大統領はそう告げる。一体何をするのかと、ざわつくエレミア側。
そんなエレミア人を無視して日本側の外交官は黙々と作業を進める。
「では、始めます」
日本側が用意したのはパソコンとプロジェクター。つまり、映像媒体によって日本の力を誇示しようというのだ。
何もない壁面にプロジェクターによって映像が映し出される。
最初は青色のスタンバイ画面。それでもエレミア側からは驚愕の声が上がった。
なにせ、持ち運びできる映写機などエレミアには存在せず、ましてやカラー映像も未だに完成していない。日本はエレミアにはない技術を見せつけているのであり、素直にエレミア側としては驚いてしまったのだ。
……本来、そう簡単に感情の揺るぎを相手側に見せてはいけないのだが、そこまでエレミア側には余裕はなかった。
そして、そこから映し出される映像。日本側が見せるのは、日本のPRビデオともうひとつのビデオの2本立てである。
その内のPRビデオが始まった。日本の現代風なJ-POP調のBGMが流れ出す。
最初は首都 東京の街並みである。史実以上の発展を遂げた東京は、高層建築物が夥しいほどの数で存在する。
その姿を見たエレミア側は思わず息を呑んだ。高画質で美しい映像で見せられたのは、エルミールなど片田舎にしか思えなくなるほどの大都会。象徴的なスカイツリーや東京タワー。東京湾にある巨大な港。凄まじい数の車や人が行き交う道。
どれもがエレミアでは見られない光景であり、比較するのがバカらしいほどの発展度合いだ。
そこで音声で東京の情報が流される。
『世界有数の大国である日本。その首都である東京は、世界最大のGDPを誇る巨大都市です。この都市だけで中堅国家1国分以上のGDPを計上しています。その人口はおよそ2000万人。高度にシステム化された物流システムや交通システムも備えており、世界最高レベルの都市であることは自信を持って主張できます……』
「なんと……。都市1つで国ができるぞ……」
「そんな無茶苦茶な都市が実在するとは……」
唖然とするエレミア側。特に強硬派は愕然としている。
それからも次々と説明が為される。日本の総人口が約2億1000万人であること。日本の世界に誇る技術力のこと。まるで1国を構成できてしまいそうな経済規模の大都市圏が複数存在すること。
……特に藻製バイオ燃料や老化抑制技術といった革命的な技術には、エレミア側の人間は眼を剥いていた。
そして日本の豊かな文化。昔ながらの伝統文化から、現代のアニメや漫画、外国から輸入した文化まで。一見すると節操がないように見えて、実は絶妙に調和しているこの文化群はある意味で脅威である。
……それを察することができたのはエレミア側に何人いるかは分からないが。
PRビデオはエレミア側に大きな衝撃を与えたまま終了した。特に強硬派の面々が苦々しい表情をしている。日本側からしたら誰が強硬派か分からないが、少なくとも苦々しい顔をしているエレミア人がビデオを見る前まで良からぬ考えをしていたことは明白であり、ビデオによる力の誇示は大方成功したと外交官達は一定の達成感を得るのだった。
だが、まだ力の誇示は終わらない。まだビデオはもうひとつあるのだ。
そして、エレミア側からしたらこちらの方が心臓に悪いであろうことも容易に想像できる。
PRビデオが終わって一息ついたエレミア側は、再び映像が再開されて怪訝に思った。
「すまないが……まだあるのかね?」
エレミアの閣僚の1人が日本側の外交官に問うた。そして、外交官は頷いて口を開く。
「ええ。まだあなた方が一番知りたいであろうことを紹介してませんから」
「……?」
「まぁ、見れば分かりますよ」
外交官は何やら勿体ぶった様子でそう告げる。それはそうだろう。なにせ、先ほどのPRビデオは前座であるのだから。
日本側としては、むしろこちらを見せてやりたかったのだ。
突然として流れ出す勇壮な曲。勇ましさ、力強さ、そしてどこか暴力的な何かを感じさせる演奏曲だ。
そして画面に映り出すのは旭日旗。日本海軍の駆逐艦のマストにはためいている映像だ。
「これは……」
エレミア側も日本側の意図に気づいたようだった。
つまり、この映像は日本軍のPV映像である。
怒濤の勢いで映し出される日本軍の兵器や兵士達。陸海空問わず、日本軍の姿が映し出される。
F-15JやF-2Aといった日本空軍のジェット戦闘機、日本陸軍の10式戦車の行軍間射撃、AH-1『コブラ』攻撃ヘリやJAH-1『隼』攻撃ヘリの猛烈な攻撃、輸送機から飛び降りる空挺部隊、縦横無尽に駆け回る装甲車に、正確かつ強大な火力をぶち込む火砲群……。
まるで呑まれるかのようにエレミア人達はPV映像を見ていた。そして、日本が持つ力をまざまざと見せつけられて恐怖すら抱き始めていた。
特にエレミア側にとって心臓に悪かったのは海軍の艦艇だ。
自分達が貧相な装備だとバカにしていた日本の駆逐艦。だが、それから発射された対艦ミサイルが排水量10000t近くあるであろう標的艦(外国の廃艦)を真っ二つにへし折ったのだ。
……つまり、少なくともエレミア共和国海軍の巡洋艦以下の艦艇は、日本海軍の駆逐艦に瞬殺される公算が大というわけだ。これは特に海軍大臣の顔を青色に塗り替えた。
後に、このミサイルの最大射程が150km以上と聞いてさらにエレミア側をビビらせることになる。
ちなみに、この対艦ミサイルはSSM-3という超音速艦対艦ミサイルである。低空を超音速で飛び抜け、新型高性能炸薬を搭載した大型弾頭の威力は正規空母が一撃で航行不能になってしまうほど。一般的な艦対艦ミサイルに比べると僅かに値が張るが、性能からすればむしろ安いという凶悪なものだったりする。
そして長門型攻撃巡洋艦のレールガン砲撃。青白い砲撃の光と共に放たれた砲弾が無人島の海岸に設置された標的を地面ごと吹き飛ばす。その威力はエレミア人にとっては見たことないほどのものだった。
そして、その射程が曲射で300kmもあるという事実に愕然としていた。
そして、そのすぐ後に出てくる大和型戦艦。基準排水量84000tの化け物である。搭載するのは51㎝三連装電磁加速砲という訳の分からん大砲。その威力は火山噴火を思わせる。
一体何と戦うつもりなのか? エレミア人の心は、その瞬間だけ一致した。
他にも高性能ジェット戦闘機を100機近く搭載する100000t以上の融合炉空母。海中から姿を現す巨大な潜水艦。
護衛空母から飛び立つ対潜ヘリ。そのヘリが潜水艦を見つけ出して短魚雷で攻撃するところ(もちろん演習だが)では、エレミア側もその威力を理解できた。
潜水艦は対潜ヘリ相手だと一方的に駆られる存在に成り下がるのだ。なにせ、潜水艦からヘリに対して攻撃する手段がない。エレミア共和国の潜水艦など、軽々とサーチ&デストロイされてしまうことだろう。
この軍事力を誇示するPV映像は、日本側の企図した通りの効果をエレミア側に与えた。エレミア側は強硬派ですら日本に対する対抗意識を失いつつあった。
エレミアの閣僚達は思い知ってしまったのだ。日本とエレミア共和国では、どう足掻いても埋めることのできない差があることを。
対抗しようにも絶望的過ぎてそんな気が起きなかった。
エレミア共和国の閣僚達は有能というほどではないが、総じて無能というわけでもない。PV映像に映っていた分に関しての彼我の戦力差は正しく理解していた。……核戦力や軍事衛星についてまだ知らないのは彼らにとって幸いなのか不幸なのか……。
「さて、親睦も深め合ったところですし、早速会議を行いませんか?」
日本側の外交官の、ニッコリと笑みを浮かべながらの発言に対し『何を言ってるんだお前は!?』という言葉を飲み込んで、スポイル大統領はどこか引き攣っているようにも見える笑顔を浮かべながら頷いた。
「そ、そうですな……」
親睦(?)を深め合った両者は、互いに良き関係(?)を築くべく交渉を始める。
「では、我が方の国交樹立に関する条件を述べさせていただきます」
日本の外交官の言葉に身を強ばらせるエレミア側。どんな苛烈な要求が飛んで来るのか……。
そんな予想は良い意味で裏切られた。
「まずは前提として、日本とエレミア共和国は対等な関係であること。これは必須条件です」
その言葉を受け、鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情をするエレミア側。エレミア共和国が存在していた世界では、格下相手に苛烈な要求をするのが一般的である。国益を最大限に貪るためである。
ところが、日本は対等な関係を築きたいと言っているのだ。エレミア側からしたらカルチャーショックに近い衝撃を感じざるを得なかった。
「次に通商条約の締結。我が国との交易を盛んに行ってもらいたいのです。我が国が欲する物のリストはこちらになります」
外交官がスポイル大統領にリストを手渡した。
そのリストを見たスポイル大統領は、その品目の偏りと膨大さに驚いた。
「これは……」
日本がエレミア共和国に輸出してもらいたいとするのは鉱産資源。様々な鉱産資源がリストアップされており、中にはエレミア共和国では産出されないものもある。何よりも量が多い。
「……申し訳ないですが、産出量が足りない資源がいくつか見受けられます。中には我が国で産出されないものも……」
スポイル大統領はそう言った。エレミア共和国には多くの鉱床があり、それらを全部使うことができれば日本の要求は全て達成できるだろう。だが、如何せん技術的に不可能だ。
ましてや自国で使用する分もあるのだから、どうしようもない。
だが、そんなスポイル大統領の考えを払拭するかのように外交官は笑顔を浮かべて言う。
「いえいえ、これは日本が求める理想値+αといったところで、これよりも少なくても構いませんし、これらをエレミア共和国1国から得ようという気はありません。周辺各国から輸入しますとも。それに、採掘技術なら援助致します。もちろん、配当として産出量の幾ばくかは頂くことになりますが、貴国にとっても有益になることは保証します」
日本の申し出を受け、スポイル大統領としては別の緊張が走った。
これは大きなビジネスチャンスである。日本は強大な国で、なおかつエレミア共和国が大量に産出する鉱産資源を欲している。だが、侵略による略奪ではなく貿易という双方に利がある方法で手に入れようとしている。
恐らく、日本は他国にも同じ話を持ちかけるだろう。日本は大口の顧客。上手く立ち回れば莫大な利益を得ることも夢ではない。
だが、日本から輸出されるのは工業製品であろう。それがもしかすると国内の工業製品の売り上げに大きく影響するかもしれないデメリットもある。しかし、そこは通商条約で国内産業の保全に尽力するしかない。
そして、エレミア共和国が何よりも注目するのは、その軍事力。恐らく大陸西部を征服して、さらに大陸東部を狙うフォルワナ共和国に匹敵、あるいは超えるであろうものだ。日本との繋がりを強化すれば、日本はエレミア共和国を見捨てはしないだろう。
主導権を握れなかったのは残念だが、実際、エレミア共和国が主導権を握れてしまうような国が現れるよりも好ましい事態になっているのかもしれない。
まだ日本がどういう国なのか、表面的にしか知らないスポイル大統領だったが、もはや日本に賭けるしかないと思った。
だからこそ、彼はこう答えた。
「可能な限り、善処致しましょう」
その言葉を聞いた日本側は目に見えて安堵の表情をした。
「ありがとうございます。細部に関しては後程詰めることにしましょう。他にも大使館設立などのこともありますが、我が国にとって優先度が高いのはこの世界についての情報です。我が国は独自の調査システムによってある程度の情報は得ているものの、世界情勢などには疎いところがあります。そこで、情報提供を行ってもらいたいのです」
エレミア側の知らぬことだが、日本は衛星などによって地形情報の取得や各方面の文明レベルの測定を行っている。よって、そちらにおいてはかなりの情報が揃いつつある。
だが、具体的に国境線はどこかとか、各国の関係性などは衛星では分からない。故にそちらの情報はエレミア共和国に頼るしかなかった。
「分かりました。それに関しては無償で確約致しましょう」
スポイル大統領はそう告げた。日本を味方につけるために彼は頭を働かせている。
日本を味方につけるには、脚色付けずに正確な情報を渡す必要がある。あまり偏向した情報ばかりを渡すと、日本から不信感を買うこととなる。どうせいつかは正確な情報を掴むのだから、下手にエレミアに利のある偏向はすべきではない。……どちらにせよ、日本と脅威となるフォルワナ共和国では考え方に違いがありすぎて反りが合わないだろう。
そこまでスポイル大統領は考えて、正確な情報を無償供与することにした。恩は売れるときに売っておくべきだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
こうして日本・エレミア間の交渉は続いていった。
そして日エ国交条約と日エ通商条約、そして日エ軍事協定が締結された。
日エ国交条約は日本とエレミアの対等な関係を保証し、互いの国で交流を深め合うことを目的としている。大使館の設立や日本におけるエレミア人の扱い、エレミアにおける日本人の扱いについても明記されている。
この条約においては完全な平等性が存在していた。
一方で日エ通商条約は日本にやや有利な条約となった。両国は互いの国に対して関税を一定割合まで引き下げ、そしてエレミアは日本企業の国内参入を認めることとなった。これは日本の意向を反映したものであり、エレミア側の要望である関税維持は潰えた形だ。エレミア共和国の製造業は日本企業やその製品によって圧迫を受けることは必定である。
もっとも、日本とてエレミア人から反感を買いたいわけでもないため、国内法で過度の技術流出防止と共にエレミアへの企業参入規模に一定の制限を設ける考えである。
……条約内ではなく国内法でそれを行うのは、いざというときに日本の匙加減で制限を解除できるからというえげつない理由があったりする。この先がどうなるか分からないので、選択肢を増やしておきたいのだ。
そして、逆にエレミア共和国の意向が反映されたのが日エ軍事協定だ。日本とエレミア共和国の間で軍事交流を行い、そしてエレミア共和国が攻められた際に日本がエレミア共和国支援の目的で軍事介入することを決めている。あくまでエレミア共和国が攻められた場合で、なおかつエレミア共和国側に根本的な原因があるとされないことが条件となるが。
日本もエレミア共和国から世界情勢についての情報提供を受け、フォルワナ共和国が危険であることを認識した。
そして大陸東部の他の国とも国交を結んでいき、転移から2ヶ月の間で大陸東部各国と国交樹立及び通商条約締結に成功した。
そして各国と結んだ軍事協定は日本が大陸東部における軍事同盟……東方大同盟に参加することで消滅した。
その東方大同盟は日本が参加して事実上の盟主となり、組織の抜本的改革が速やかに行われていった。その結果、名称も変わった。
その名もJ-EFCTO。正式名は『日本国及び東部フィルディリア大陸条約機構』。正式名では語呂が悪いので普通は略称のJ-EFCTOで呼ばれる。
これらによって日本は多くの資源国家と貿易相手国を得て、大陸東部の国々も強大な軍事力と高い技術力を持つ超大国と親密な関係を築くことに成功したのだった。