第15話
西暦2021年3月12日
ドートラス首長国 港町カルシア近郊
捕虜収容所
11:33 現地時間
無機質な壁面と天井。最低限の備品が備えつけられた簡易的な作りの部屋。
「テキトーな作り……そう思ってたけど」
これまた簡易的なベッドの上で身を起こした少女……シェリアは呟く。
かなり手抜きに見えるこの部屋であるが、清潔で整理整頓されており、意外にも居心地がいいのだ。
「……これもニホンの凄さ、なのかしらね?」
シェリアは今までのことを回想する。
日本軍によって捕虜となったシェリア達学生や司令部の将兵達は、合計にして400名以上となった。その内、学生は50名前後、士官は100名近くいる。
日本軍側としても、この捕虜の数は想定を越えていたようで、結局『チヌーク』輸送ヘリだけでなく『オスプレイ』輸送機まで使ってピストン輸送を行うことになってしまった。
シェリアは『チヌーク』や『オスプレイ』を見て、やはり日本は祖国よりも遥かに進んだテクノロジーを保有していることを確信した。自分達が大陸諸国にやっていた'高い兵器テクノロジーによる蹂躙'を、そのまま日本にやられた形である。
そして連れて来られたのはここ、日本軍がほんの少し前に港町カルシアの近くの平野に設営した捕虜収容所だ。仮設住宅のような施設を多用して僅かな期間で設営したものであるが、監視体制は万全だ。無理に脱走しようとすれば、警備の日本兵やオートセントリー機銃に蜂の巣にされる。
そしてここにはシェリア達よりも先に、日本海軍と戦って敗北した共和国第二艦隊の生き残りが収容されていた。
ここで終戦になるまで暮らすことになるそうだ。だが、シェリアにとって……いや、多くの学生達にとっては望ましいことなのかもしれなかった。少なくともこの部屋を見る限り、生活環境自体はあの野戦司令部よりもこちらの方が良いのだから。
「ふわぁ……久しぶりによく寝たわ」
敵軍の捕虜収容所なのにおかしな話だ。祖国の軍の生活環境よりもこちらの方がゆっくり眠れるなんて。
「う~ん……。朝?」
どうやらエリナも起きたらしい。この部屋ははっきり言って広くない。それもそのはずで、2人での使用を想定されているからだ。そして、この部屋を使っているのはシェリアとエリナの2人であった。
「おはよ、寝坊助さん」
「シェリアちゃん……早いね」
「遅いわよ。太陽の位置を見てみなさいよ」
窓から見ると、既に太陽は高い位置に陣取っていた。
「うわぁ……。思ったよりも寝ちゃってた」
「仕方ないわよ。寝たの夜遅かったし、みんな疲れも溜まってたし。大体みんなこんな感じじゃないかしら?」
シェリアは肩を竦めながらそう言う。自分だってさっき起きたばかりなのだ。
「……食堂、開いてるかな?」
「行ってみる?」
エリナの呟きにそう言うシェリア。エリナは「そだね」と頷いた。
彼女達は最低限の身嗜みを整えてから部屋を出た。日本軍の捕虜収容所は、彼女達の予想を超えて生活のしやすい場所だ。身嗜みをするために個々の部屋に洗面台があり(水の使用制限はあるが)、何か必要なものがあればある程度まではどうにかしてくれる……らしい。昨日からここに放り込まれたばかりなので、実際のところどうなのかは彼女達にも分からない。
だが、少なくとも元いた場所……野戦司令部とは雲泥の差だ。この捕虜収容所が普通の家だとするならば、野戦司令部は吹けば飛ぶような掘っ建て小屋みたいなものである。それくらいの差だ。
「これじゃあ、命を懸けてまで脱出しようって人もいないでしょうね……」
2人が廊下に出た際に、シェリアが何となしに呟いた言葉。それはこの捕虜収容所における捕虜の待遇の目的の内の、副次的なものの1つだった。
日本軍が捕虜収容所の環境を良くする理由はいくつか挙げられる。
一番大きいのは国際条約。捕虜の扱いを取り決めた諸条約に絶対に反しない環境を整備しようとした結果である。
そして、他にも捕虜達の対日イメージの向上や第三国へのアピールである。そして、シェリアが言った脱出を画策する者の減少も目的の1つではある。優先度は低いが。
捕虜達はいずれ返還する。返還された後、彼らが日本のことをどのように祖国の人間に話すのか。好意的なのか悪意的なのかはこの時に決まると言っても過言ではないだろう。
シェリアとエリナは食堂へと向かう。その途中で何人かの学生やフォルワナ共和国陸軍将兵を見かけた。既に起きている者もいるが、疲れが抜けずにまだ寝ている者もいる。それに関しては日本兵から何かを言われることはない。
「んー……」
「さっきからどうしたの、エリナ?」
エリナが歩きながら何かを探しているかのようにキョロキョロするので、気になったシェリアはエリナにその真意を尋ねた。
「私達以外にも、第二艦隊の捕虜の人達がいるってニホンの兵隊さんが昨日言ってたよね? けど、見かけないから……」
「ああ、そう言えば……」
確かに見かけない。見かけるのは自分達と同じフォルワナ人学生やフォルワナ共和国陸軍将兵と巡回の日本兵のみ。第二艦隊の生き残りは全然見かけない。
「どこかに連れていかれたのかな?」
「……それ、ヤバくない?」
シェリアの言う『ヤバい』というのは、もちろん自分達の身。捕虜収容所からわざわざ連れ出されるなど、過酷な強制労働や拷問が目的としか思えない。今は第二艦隊の将兵だけだったとしても、いずれは自分達も連れていかれるのではないか。そんな風にシェリアは考えてしまう。
「……でも、あの人は大丈夫だって言ってたよ」
「あの人……? ああ、あの人か」
2人が言う『あの人』。それは彼女達と会話を交わしたあの異形の日本兵……蓮夜である。もちろん、彼女達はその名前を知らないが。
「でもさ、信用しなくてもいいとか、どうせ決めるのは軍上層部だとか、はっきり言って不親切な忠告だったわよね」
シェリアは少しだけ表情を顰めさせながら言った。
「そうかな? あの人は本当のことを教えてくれただけだと思うけど……。まぁ、私達を安心させようとか、そういった配慮に欠けてるのは本当のことだけどね」
エリナは最後の方は苦笑しながらそう返す。
「とりあえず、早く食堂に行こうよ。多分、ニホンの兵隊さんもいると思うから、ちょっと聞いてみようよ」
エリナは続けてそう提案した。ここでうだうだ考えていても仕方ない。エリナの提案にシェリアは頷いた。
やがて食堂。昨日は部屋に放り込まれ、食事を渡されただけだった。つまり、エリナとシェリアは食堂に来るのが初めてである。食堂もまた、仮設住宅のようなもので作られていた。もっとも、かなり大型のものではあるが。
「思ったより広いわね」
シェリアはそう呟いた。食堂は楽に2、300人くらいが座れるだけの席が用意されており、壁には大きめのテレビが設置されている。
「あのテレビ、ものすごく薄いね。しかも映像がすごい綺麗だし」
エリナは少し興奮気味に言う。シェリアもエリナの言葉には同感だった。どんな構造なのか想像もできないくらいに薄い日本製テレビの画面に映るのは、今までに見たことがないくらいに美しい映像だ。
今、ちょうど海の中の映像を映していた。どこの海なのかは分からないが、ダイバー達が魚と共に優雅に泳いでいる姿が映し出されていた。
「……技術力の違いを感じるわね。完全に喧嘩売る相手間違えてるわ」
「そうだね……。こんなのが作れちゃう国と戦争しちゃったんだよね……」
シェリアの言葉を聞いた途端、エリナは少し暗くなってしまった。
「……辛気くさいのは止めましょ。ここで今からご飯食べられるのか聞いてみないと」
「そうだね」
2人はそう言って食堂の係員のところに行って話しかける。
「すみませーん、私達って今からここでご飯食べたりできます?」
シェリアがそう言うと、マスクをした係員は笑顔(マスクで口元は隠れているが)で頷いた。
「おはよう。もちろん食べていいよ。本当はもう少ししたら巡回の兵士が捕虜の皆さんに食堂で食事を取るように、って伝えてくれる手筈なんだけどね。一斉に来られてもパンクしちゃうから、今から食べるのは大歓迎だよ」
思ったよりもずっと友好的な態度に、シェリアとエリナは安心すると共に驚きもした。もっとぞんざいな、テキトーな態度で接されると思っていたのだ。少なくともフォルワナ共和国ではそうなのだから。
これは捕虜達に居心地悪く感じさせないための配慮である。捕虜達にはこれから親日的になってもらわねばならないのだ。日本に親しみを感じ、日本のことを知り、その状態で国へ帰ってもらう。そうすればあちらの世論や政治は大きく混乱することだろう。対日融和派と対日強硬派が対立する構図を作り出すことにより、フォルワナ共和国が日本に対して害を及ぼすことのないように、少なくともそれがしにくいように状況を持っていくのだ。
巨大な計略は小さなことから始まるのである。
「あそこのカウンターでトレイと皿を受け取って、あのテーブルに置いてある鍋とかから自由に食べる分だけ取っていってね」
「ありがとうございます。……で、その、もうひとつ質問があるんですけど……」
「何だい? 答えられることなら答えてあげるよ」
シェリアの言葉にそう返す係員。
「その……第二艦隊の捕虜の人達が私達以外にもいたはずなんですが……。彼らは一体どこに?」
「ああ、彼らには軽い労務に就いてもらっているよ。さすがにタダ飯食らいをたくさん抱え込んでいるわけにもいかないし……。一応、ここの運営の手伝いをしてもらっているよ。軽い荷物運びだけどね」
それを聞いたシェリアとエリナは安心した。厳しい尋問や拷問、過酷な強制労働に就かされているわけではなかったのである。
「……ということは、私達も……?」
「そうなるね。とはいえ、やってもらう仕事なんてあんまりないから、ゆるゆるのローテーションを組んでやることになると思うよ。上の方は、最低限君達が大人しくさえしてくれればいいと思っているみたいだしね」
エリナの疑問にそう答える係員。これで2人の疑問はほぼ全て氷解した。
「あの、ありがとうございました!」
エリナがペコリと頭を下げて礼を言う。それに続くようにシェリアも頭を下げた。
「どういたしまして。また何か分からないことがあったら、僕でも巡回の兵士でもいいから尋ねるといいよ」
「はい!」
そう返事してエリナは食堂のカウンターの方へ向かう。シェリアもそれに追従した。
「いい人だったね」
「そうね。少なくとも私達をどうこうする気はないみたいね」
エリナの言葉にシェリアはそう返す。実際、ここまで友好的だとは思っていなかった。これが日本にとっての捕虜収容所であるのならば、フォルワナ共和国にとっての捕虜収容所は日本にとって一体何なのだろうか。そんな疑問がふとシェリアの胸中に浮かび上がった。
2人はカウンターでトレイと皿を受け取ると、テーブルのところまで来る。
このテーブルにはイスがなく、その代わりテーブル上には鍋やら大皿が置かれている。そしてそこに大量のおかずや米、そして袋詰めのパンなどがあった。
これを自分で食べる分だけ皿に盛っていくわけだ。
「いろいろあるね……」
「そうね。なんだか見慣れないものも多いし……」
ここに出されているのは和洋中バラバラ。フォルワナ人に見覚えがある、もしくは似たようなものを知っている料理は洋に集中している。和と中はエリナとシェリアにとって、未知の世界であった。
……だが、それ故に興味をそそられた。
「せっかくだし、ニホン独自のものでもいただこうかしらね」
「私もそうする」
シェリアとエリナは日本食を食べると決めたようだった。
それぞれのおかずの鍋や大皿の近くには説明書きがあった。フォルワナ人捕虜が混乱しないようにと、フォルワナ語(英語のマイナーアレンジ?)で書いてあり、どんな料理なのか、どこの国の料理なのかまで書いてある。
エリナとシェリアはその中から日本食を選び出す。
「じゃあ、私はこの『かれーらいす』とかいうの試してみるわ」
「じゃあ私はこの『にくじゃが』っていうのにするね」
どちらも日本の定番料理である。
「うわぁ……。この米、ウチのやつとは全然違うわ」
「そうだね。もちもちしてる」
2人はジャポニカ米のもちもち感に驚いたり……
「うわ、ジュースまであるの!?」
「ここ、捕虜収容所だよね……?」
ジュースまで完備している日本の捕虜収容所に驚いたり何やらしながら、ようやく適当な席についた。
2人以外にも食堂には何人か捕虜達がいて、既に食事を始めている者もいた。
さて、初めて食べた日本食の感想なのだが、なかなか好評であるようだった。
「これ、美味しいわね。ちょっと辛いけど」
「じゃがいもがホクホクしてて美味しい……! 捕虜にもこれだけ美味しいものを食べさせることができるなんて……。前線の兵隊さん達も、これ以上のものを食べてるのかな……?」
エリナの予測は半分くらい当たっていた。というのも、日本軍の糧食はかなり質の高いことで前世界でも有名であり、普通に美味しいものがたくさんあるのだ。
ただ、唯一非常食に類するものだけはあまり美味しくない。
無論、ちゃんとした理由はある。非常食はその名の通り、非常時に食べるものだ。そういった場合、非常食は節約して食べねばならない。美味しければそのままパクパクいってしまうため、敢えて美味しくなくしているのだ。
……とはいえ、酷くし過ぎるわけにもいかず、日本軍の非常食は、非常食の中ではかなり美味い。あくまでも非常食の中で、だが。
どこかの国では戦闘糧食が『食用ゴム』とか呼ばれているらしいので、それに比べたら遥かにマシである。
「こりゃ負けるわね。食事の質の差で泣けてくるわ……」
「あはは……」
シェリアの呟きに乾いた笑みを浮かべるエリナ。フォルワナ共和国軍の食事は、議員や資産家の親族が多い士官階級ではそれなりのものが用意されるが、一兵卒だとそうはいかない。
味を犠牲にして保存性を高めた食事がほとんどである。やたらと塩辛い干し肉やら固くて無味無臭の乾パンなどなど……。
ちなみに、最前線にまで出ると士官階級の人間の食事すらそれらが混じることになる。兵站的に士官階級の者だけ特別な食事を提供し続けるのはキツいのだ。
結果として、フォルワナ軍将兵は士気が低い。戦場においてストレス解消となり得るものは少なく、その内の1つである食事がお粗末だからだ。
一方の日本軍。こちらは缶詰めやレトルトパウチといった保存技術を駆使した美味しくて栄養価の高い糧食を全将兵に提供している。まぁ、美味しいと言っても他国の糧食に比べてという話なので、普段からこればかり食べようと思う者はそんなにいないと思われるが。
とはいえ、戦場では十分に満足できるだけの味ではある。ましてや基地などの後方で出る食事はなかなかのもので、合同軍事演習をしている時に他国からわざわざ食べに来る高級士官もいるほどだ。無論、許可を取って、だが。
戦争では兵に出す食事も重要なのである。こういったケアが充実しているからこそ、将兵は最高のパフォーマンスを発揮するのだ。
シェリアとエリナはこういう正面装備ではないところでも日本とフォルワナ共和国の差をはっきりと認識させられるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
同日
ドートラス首長国 リードルトラル
郊外
13:07 現地時間
日本陸軍の遣ドートラス首長国部隊はフォルワナ共和国陸軍東進軍との決戦のため、フォルワナ共和国陸軍が布陣するリードルトラル平野に最も近い都市であるリードルトラル市の郊外に集結していた。
その戦力は、機甲部隊や砲兵部隊などを含む4個師団4万人。この世界では突出して最先端な兵器をふんだんに装備させていること、制空権を完全に掌握していることを考えると恐ろしいほどの戦力だ。
数こそフォルワナ共和国軍は10万人以上いるが、その過半は植民地から徴兵した士気と練度の低い捨て駒であり、テクノロジーで日本に大きく劣り、制空権を奪われ、指揮・通信・兵站といった後方支援が壊滅的なダメージを負っている。
「これがニホン軍……!」
リードルトラル市で負傷しながらも現地の残存兵力を纏めていたドートラス首長国陸軍西部国境防衛線指揮官のマウザー大将は今、郊外にある小高い丘から、展開している日本軍陸上部隊の雄姿を眺めていた。
日本軍の兵器は、自国のものよりも優れたフォルワナ共和国軍兵器に散々やられてきたマウザー大将から見ても先進的で未来的に映った。特に興味を抱いたのは戦車である。
日本陸軍主力戦車の90式戦車と10式戦車。高い装甲防御力と機動性、そして現行戦車砲トップクラスの威力を誇る国産50口径120㎜滑腔砲を備えた優秀な戦車だ(史実は44口径)。
90式戦車は既に近代化改修の限界が見えており、徐々に退役して減らされていく予定であったが、この世界に来てからはそれに待ったがかかった。この世界ではこれ以上の近代化改修をしなくとも、しばらくは使っていられるからだ。
既に後継の10式が開発・配備されているが、行軍間射撃能力の高さや自動装填装置、各電子装備などは十分に強力なものだ。この世界では他国にこれ以上の戦車は確認されていないし、各国の開発能力を鑑みても、しばらくは90式戦車でも圧倒的優位性を保っていられると日本軍上層部は考えている。……もっとも、新たな転移国家という不確定ファクターがあるため、覆る可能性も否定できないのだが。
10式戦車は日本の最新鋭戦車であり、元々軽量であった90式戦車よりもさらに軽くなっていながらも高い装甲防御力を維持している。装甲に最新素材を採用し、さらに車体を全体的に小型化することによって軽量化を達成したのだ。
軽量化は言うほど簡単ではない。軽いと120㎜滑腔砲の射撃時に車体が安定せず、砲撃命中率が落ちてしまう。だが、10式は優秀なサスペンションによって高い制震能力を誇る。故に軽量化できたのだ。その他にもいくらかの障壁が存在したのだが、それらも乗り越えてこの10式は誕生したのである。
さらに10式は各部をモジュール化しており、改修や改造、マイナーチェンジを行いやすくしている。さらには装甲を取り外して運搬することで運用効率を上げることすら考慮されているのだ。
そんな10式や90式の真の力を知らないマウザー大将であったが、それでも彼はその姿に魅せられていた。
「あれが将来の戦車の姿か……」
マウザー大将はそう呟く。その傍らにはマウザー大将の副官も立っていた。片腕にギプスをはめたまま、ずっと職務を遂行している。
「……ふむ。日本陸軍にも様々な兵器があるな……」
ある意味で当然なことを呟く副官。彼が見ているのは13式機動戦闘車や89式装甲戦闘車、96式装輪装甲車や99式自走榴弾砲などなど……日本陸軍の戦闘車両である。
他にもAH-1S『コブラ』やJAH-1『隼』といった攻撃ヘリやCH-47J『チヌーク』、UH-60J『ブラックホーク』、JV-22『オスプレイ』といった輸送ヘリやティルトローター輸送機もここには存在する。それらは臨時に設置されたヘリポートで燃料補給車から燃料を入れられている。
日本陸軍はもうすぐ行われる陸上決戦に向け、着々と準備を進めていた。
「どうですかな?」
マウザー大将と副官に後ろからかけられる声。2人が振り返ると、そこには中将の階級章をつけた日本陸軍の軍服を来た男性がいた。
「ツガワ中将……。頼もしいですな。この軍勢は私が今まで見てきた中で最強であると思います」
マウザー大将はリップサービスでも何でもなく、本心からそう言った。
「そうですか。……日暮れに作戦は始まります。明日の朝までには決着がつくでしょう」
「侵略者共を追い払っていただきたい。……私にはそれしか言えません」
「もちろんですとも。人様の家に土足で踏み入る不埒者には灸を据えてやるつもりです」
「心強いお言葉です」
日本陸軍の軍勢が攻撃準備をしているのを背景にして、津川 中将とマウザー大将は握手を交わすのだった。
読者の方から地図をいただきました!
第一章の最初の世界地図のところに掲載しておりますので、興味のある方は是非ご覧ください♪
いや~、本当にありがたいですねぇ~(*´∇`*)




