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ひとがしぬということ8

あまりに陰惨な様子に失神しかけた梅岩だったが、すぐさま我を取り戻した。自害を図った眠太郎を救えるものは、彼自身を置いて他にいないのだ……

そう思い勇気を振り絞った梅岩が目を開けると、またもや信じがたいものが目に入った。


先程まで血に染まっていた部屋が、元の殺風景ながらんどうの部屋に戻っていた。眠太郎といえば腹に傷の一つもなく、ただ態勢だけは同じように部屋の奥でうずくまっていた。

「……どうかしたか?」

先に口を開いたのは眠太郎だった。まるで何事もなかったかのように平然としている。いつも以上に暗い声ではあるものの、それ以外におかしなところは見られない。


(幻覚……いや……?)

梅岩は冷静さを取り戻そうと努めた。眠太郎に幻術の素養があるわけでもない。

(いや……似ている。あれは、縛妖陣をかける時と同じような感覚だった)

梅岩の必殺技とも言える秘術、縛妖陣ばくようじん。対象の持つ全ての力を奪い無効化し、封印する術である。この術をかける時、相手の心に干渉し入り込むのだ。肉体的に“鍛えている人間”の域を出ない梅岩が数々の邪鬼に打ち勝ってきたのは、ひとえに得意とする精神力の戦いに持ち込むことにあった。

先程の血みどろの部屋の感覚は、それに似ていたのだ。


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