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ひとがしぬということ6

邪鬼の肉体の影響によるものか、眠太郎には人並みならない攻撃性の高さがある。その攻撃性は今や彼自身に向かっていた。眠太郎は咲良を失い、その哀しみは咲良を救えなかった自らに対する怒りに変じ、強まり殺意へと転じたのだ。

この眠太郎独自の思考回路を理解したのは、梅岩が眠太郎がどう考えているか予測したのではなく、直接肌で感じたからだった。哀しみが自己嫌悪に変じ、自らへの憎悪が殺意に転じる。通常なら考えも及ばない感情の飛躍は、それが梅岩の想像の産物ではないことを意味していた。

前々から薄々とは感じていた。感受性の高い梅岩は他人の感情が流れ込むように共有する感覚を幾度か覚えていたが、それはあくまで他者に対する観察力の賜物であり、まさかそれが第六感的なテレパシーじみたものであるとは信じがたかったからだ。この日、梅岩の頭からは思いつきもしない感情を目の当たりにでもしなければ確信に至れることではなかったのだ。


「眠太郎、開けるぞ」

しばらく躊躇った後、梅岩は襖に指をかけた。ゴクリと唾を飲んだのは、眠太郎が『自らへの攻撃性を形に現している』ことを懸念したからだった。重大なな罪悪感にかられた人間が自らを(さいな)むあまり、自死に至る。いかにもありえそうなことだと思った。

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