過去話―緋桜神流編―
(GWの)ラスト!!!!!
これは私、緋桜神流の過去のお話。
* *
私は幼い頃から財閥の子供である為に英才教育を受けさせられていた。しかし、兄とは違い余り熱が入らず他の事ばかり気にしていて、余り身に付かず。その所為か、先生はいつも気を揉んでおられた。また、じっとする事は苦手でいつも屋敷の中を闊歩しては屋敷で働いている者に迷惑をかけていた。
そんな日々のとある日。久々に家族揃って、有名な遊園地に行った。貸し切りはせず、一般客に混じってアトラクションを回った。無論、約二人が若しもの有事に備え、配備されている。
しかし、休日だから人はかなり居て、行く先から反対方向に流れやって来る人だかりに因り、私は繋いでいた手を離してしまった。そのまま流されて、迷子になった。背が低い事もあるから約二人に発見されるには時間がかかってしまう。一応、スパルタの賜物か知らないが、幼いながらもある程度の文字は読めた。近くの看板に近寄り現在地を確認し、最寄りの迷子センターを探す。それらしきものは、子供の足ではかなり遠いようだ。
どうしようかと思っていると、横から震える声が掛けられる。そちらへ目を遣ると、視界に自分とほぼ同じ背丈の男の子が入る。その子の後ろには親と思われる二人の大人と一人の女の子が立っている。
男の子がおずおずとこちらに片手を出してきた。もう一方は母親の長いスカートを掴んでいる。
私はこの人たちと一緒に行動する方が良いかも、そう直感的に考えて差し出されている手に手を重ねて―
「お願いします。」
私は無事に迷子センターに着いて、親と再会を果たすまで彼とその姉と思われる女性と他愛の無い雑談を交わした。女性は他人との会話には多少慣れがあるようだ。しかし、彼はそうではないようで何度も沈黙し、そしてそれと同じくらい勇気を出し会話に参加した。その頑張る姿を見て、何時の間にか自由奔放で努力する事無い自分を重ねてしまい複雑な思いを抱いた。
その日を境に私は本当に徐々にではあるが。努力が必要な時はして、また慎みある行動を取ろうと気を付けた。
そして、彼に恩を抱きつつ時は過ぎていき――――高一の入学式の時に彼と再び相見えた。だが、彼はその頃の事はやはり何も覚えておらず。しかし私は気にしない。ただこれから彼と高校生活を過ごし、その過程で思い出してくれれば良い御の字だが、そうなる事は無いに等しい故に恩を出来る限り返そうと考えたから。また、私の胸中にはある思いが。それは彼と契りを結びたい。その思いは最初は無視出来ていたが、彼の周りに二人の恋心抱く女性が現れて無視が出来ないほど増大して。
* *
この過去があって。肥大していく愛する気持ちと独占欲に、恩を返そうという気持ちは徐々に隅に追い遣られていき。何時の間にか彼と結ばれようと躍起になってしまい。
私は告白の結果を何と無く予想できる。その予想が確信に変わって欲しい。そうすれば、私はこの増大する思いを封じれるはずだから。
でも、また恩が増えてしまうな。
今回の連投により、ストック消失。また、頑張りますぞ。
過去話作品の難産度は
最も難産・・・桜(全面)
二番目 ・・・雨都(最後の部分)
三番目 ・・・神流(何の為に近づいているか)
です。
余談ですが。雨都の記憶を一時喪失する過程で、当初はジャングルジムから落ちる予定でした。しかし、それではねぇと思い現在のやつに変えました。
え、どちらにしろあまり変わらない?
いや、何かしら変わる筈。




