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2011年・2012年

子宮の王国

曼陀羅の 影に隠れて 屍を 喰らいて生きる 害虫どもの


神経を ちぎっては捨て 切断を バラバラ殺人 嘔吐を繰り返す


子宮から 洩れだす血糊の 行きつく先よ 死と生の欠片 マグマを感じて


いつまでも 生き延びるため 臥せては伏せる 抑鬱感の 模擬死の狐よ


現代の 分娩技術と 理想の嬰児あかごよ フラスコの中の 精子はホムンクルスに


お互いに 依存の銀鱗ぎんりん 恋人たちの 身体を貪る 壊疽の恋愛


人体を 皿に並べて 雑草添えて 飢渇の地獄と 心臓のサラダを


ガルーダの 飛翔のはてよ その翼 深傷ふかでを負っても 颶風かぜを切り裂く 


大陸の 戦争孤児の 手首の欠損 日焼けに塗れた その皮膚の褐色よ


永遠とこしえの 睡眠ねむりに消えうる 催眠剤の たった一人の 名もない終焉


夕靄せきあいの 大量発生 密集の 冥々とした 蛞蝓のはらばうダンス


乱暴に ただ犯された 白痴の少女 惚けた顔を するばかりだ


暗澹に 収斂されゆく つぶらかな 惑星の草群くさむれ 宇宙絶滅


藤蔓ふじづるの 捕縛の連なり 破損と鉄骨 何かが裂ける 音がするのだ


深甚の 恐怖のごくに 闇のうれう 戛然かつぜんとした 月光の孕み


霹靂の 夜に叫ぶや きまりの悪い 眼の充血した 水鶏くいなくび


性交し 十月十日の 過ぎたるは 幼児の残骸 グロテスクなり


早産の 祈り届かず 冷たき体温 幼児をしのんで 子宮の王国


障碍の 我が子を殺して 三千里 黄昏に捧げた 贖罪の翹望ぎょうぼう


天の射す 雨に降られて 仰ぎ見れば 遥か空には 我が子の魂

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