8話
朝食の用意をしながら昨日の事を思い出す。
昨日は…濃い一日でした。
本日は細かいパスタを使ってリゾット風にしてみた。赤いリンゴみたいでリンゴじゃない果物も添える。
師匠は果物が好きみたいなのだ。
「マーヤおはよ~」
丁度いいタイミングで師匠が起きてきたので、朝食にする。
「ねぇ、昨日の魔法なんだけど」
「はい」
「どうやったの?」
「えっと、全然分かんないんですが、助けて~~!って思ったら、出ました」
「出たんだ」
「はい」
「で、なんで増幅石になったか分かる?」
「なんかですね、こうゴブリンの熱の塊みたいな所に刺さってですね、
そこに更に、ぎゅ~~と熱が集まるようにしたら、コロンと…」
「そっか。やっぱなんか特殊だわ。それ」
ちらりと師匠の顔をみたら、笑いながら、なんかしょ~がないな~って雰囲気で。
不思議な事をしてしまったので、色々あるのかな?なんて思ってたけど、杞憂っぽかった。
「マーヤといると、不思議な事が起きて面白いわ~。魔術師冥利に尽きるわね!」
なんて言われて。
師匠の懐の深さというか、魔術師の自由さに助けられた気がする。
「その技も解明してみたいわ。また見せて」
「はい!」
私、師匠に会えて良かったかもしれない。
「でね。この増幅石なんだけど、これもちょっと特殊よ」
「え~~~~~」
そうして増幅石について教えて貰いました。
増幅石は魔術師が魔法を唱えるとき、その魔法の威力を少しだけ底上げしてくれる魔石の一種で。
普段使っている属性石とは違って、一回こっきりの使い捨てなんだって。
使うと崩れちゃうから、再利用は出来ないらしい。
普通は鉱山から採れるみたいなんだけどね。
で、1割か2割程底上げしてくれる石が大半で、3割だと高価商品。
4割は希少商品。5割は国宝級なんだって。
色は黄色で割合が高くなるほど、色が濃くなっていくらしい。
私がゴブリンから採った石は、1割より濃く、2割より薄いので1,5割というあまり見ないランクなんだとか。
え~~。そして微妙。
それでも1割の増幅石でも1中銀、約一万円。2割だと1大銀貨、約十万円で販売してるというのだから
高価商品だと思う。
「早速売ってお金儲けに!」
と提案したのですが。
増幅石を使うような魔術師はあまり地方には居らず、王都でないと売れないんじゃないかな…と。
それに、あまり大量に売ると貴族から目を付けられて厄介な事になると言われてしまえば
あまり強気に出ることも叶わず。
結局地味に薬売って過ごすしか無いのか~。
「大丈夫、それ、私が使ってあげるから」
にっこり笑う師匠に何か黒いものを見たのであった。
まあ、私の帰還魔術に使ってもらえるならガンガン協力致しましょう!