7話
何とかならんかいワレ~~~~!!
と、願ったら。
ゴブリンから身を守るように顔の前に翳していた右の掌が熱くなった。
「熱!」
そして。
一本の銀色の線が私の掌から、ゴブリンの体の真ん中に突き刺さった!
う、わ!
ゴブリンの力の凝縮された場所に突き刺さる!
熱が。
熱が集まる。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ~~~!!」
ゴブリンの中の力が全てその一か所に集まったかと思ったら。
ゴブリンが消えて
コロン。
親指の先程の黄色い小石が転がった。
な、なんですかこれ~~~~?!
もしかして、某RPGの様にモンスターを倒したら、お金や宝石が出てくるアレですか?!
でも、師匠が倒したゴブリンはどう見ても焼死体です。ありがとうございます。なのに?
ただ、大きさが人間とはかけ離れているので、丸焦げになってもあまり気持ち悪さが無い。
それは多少救いになってる。
だから死体も出来ず、ただ綺麗な石になることは私の中から気持ち悪さを消した。
それに生きてる方が怖いし!
それで、もう一匹残っていた奴に、さっきの線出てこい!と、念じれば。
ビシュ!
銀の線がゴブリンに突き刺さった。 おぉぉぉ!
そして、熱を凝縮させるように意識を持つと…。
コロン。
やはりゴブリンは消滅して、黄色い石だけが残る。
なんかすげ~~~~~~~。
「な、何やったの?マーヤ…」
師匠が呆然とした顔で聞いてきた。
「なんか、怖くて、夢中で何とかしようとしたら、こうなって」
「それ、魔法…よね?」
「魔法なんですか?」
「魔力を感じたから魔法だと思う。でも、そんな魔法見た事ないし、知らないわ」
「え…」
「それに、その石」
「あ、ゴブリンの石」
「それ、増幅石よ」
「増幅石って、魔石の?」
「そう。魔獣から増幅石を取り出すなんて、初めて見た」
そうだ。通常石は自然界から採れる。鉱山があるのだ。
それでも大量にある訳でもなく、それは国や貴族が所有し、乱獲を防ぐために管理されている。
「これ、増幅石なんですか?」
私は掌の中の黄色い宝石の様な石を見つめる。
これが、増幅石。
ゴブリンの力を凝縮させたら増幅石が出来るんだ。
やっぱ、ファンタジーだ。
「取り敢えず、戻りましょ」
ゴブリンと対決してかなり疲れた私はそれに頷いて、急いで帰る事にした。
生命の危機に遭うって思っていた以上にダメージ食らう。
死ななかったけど、死ぬほど怖かった。
魔法が使えた事よりも、あのわずか30センチまで迫ってきたゴブリンの存在が怖くて
その日私は布団に丸まって寝た。
幸い夢は見なかった。