第8話:自由時間その2 雪子たちのもとへ
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この拙い小説にお付き合いしていただける皆様に感謝です。
夕食を終え、部屋に戻った裕也たちは、再び自由時間を過ごしていた。速人たちはもう聞きたいことは全て聞いたとばかりに、裕也にそれ以上雪子たちのことで追求してこなかったので、裕也は同室の仲間や隣の部屋から乱入してきたクラスメートたちも交えてときに雑談、または誰かが持ち込んだトランプをしたりしていた。
と、部屋の扉を誰かがノックした。一番入り口に近かった裕也が扉を開けると、どういうわけか智子を先頭に数人の女子が部屋に入ってきた。
「えっと、井上さん…だっけ?誰か男子に用でもある?必要なら呼ぶけど?」
裕也が少し驚いた顔で智子にたずねる。
「えっと、用があるのは北方くん、あなたよ。」
智子はちょっと照れながら裕也にそう話す。
「え、オレ?いったい何の用?」
裕也はさらに驚いて智子を見る。
「えっとね、北方くんの知り合いっていう4人の女の人がいるじゃない?あの人たちに会いたいんだけど、部屋の番号わかる?」
智子は雪子たちに会いたいと申し出てきた。
「ああ、わかった。ただ、一応オレが案内するよ。たぶんみんなだけで行ってもわからないだろうから。まあ、案内だけして話を取り次いだらオレは撤退するけどね。男には聞かれたくない話ってこともあるだろうし。」
裕也は智子たちにそう言うと、雪子にメールを打って部屋の番号を聞き、智子たちを連れて向かった。
部屋の入り口で用件を話すと、雪子たちはいやな顔ひとつせずに智子たちを部屋に入れた。
「それじゃ、オレはここで。」
裕也はそう言うと、智子たちを残して雪子たちの部屋を後にした。
「それで、私たちに何の用かしら?」
雪子が智子たちにそうたずねる。
「えっと、あの、その……とってもお綺麗ですよね。その美しさの秘訣を教えてもらいたいと思いまして……」
智子はそうたずねる。
「美しさの秘訣といわれても……別に特別なことはしてないわ。がっかりさせるようで悪いけど、本当に何もしてないの。強いてあげるなら毎日のお手入れといったところでしょうか。」
雪子はニコニコと笑いながらそう答える。
「毎日のお手入れ……ですか。じゃあ、そのお手入れの方法を教えてもらうことってできますか?」
なおも智子たちは食い下がる。
「ちょっと特殊な方法だからあなたたちに合うかどうかはわからないわよ。下手すれば今よりひどくなることもあるわ。それでも試してみる?」
雪子は警告を発し、念を押す。
「特殊な方法って、どんなのですか?きれいになれる可能性があるなら、試してみたいんです。」
智子はそう雪子に話す。
「そこまで言うなら仕方ないわ。でもその方法をやる前に聞いて欲しいの。私たちは人間じゃない。いわゆる妖怪ってやつね。」
雪子は智子たちに自らの正体を明かすと、4人それぞれ変身して真の姿を見せた。
「あら?やっぱ驚いた?」
雪子が黙り込んだ智子たちに近づく。すると、
「かっこいい……」
智子がそうつぶやいた。
「へ?」
雪子が少々マヌケな声をあげる。その直後、旅館全体が揺れるほどの叫び声を智子たちがあげた。
あまりの叫び声に部屋に戻りかけていた裕也が駆けつけたほどである。
「どうした!?」
裕也が部屋に突入してそう言うと、雪子たちは正体をあらわし、智子たちはそれを見て歓喜の叫び声をあげていた。
「これはいったい何事ですか?」
裕也があ然とした表情でたずねると、
「北方くん、なんでこんなおもしろいこと黙ってたのさ?雪子さんたちが人間じゃないなんて。」
智子が抗議の声をあげる。
「え、だって普通こんなこと言っても信じないじゃないか。」
裕也がそう言ったところに、さっきの叫び声を聞きつけた速人たちもたどり着き、雪子たちの姿を見て同じように驚くのだった。
結局、みんなが落ち着いたところを見計らい、クラスメート全員に4人の正体をふくめて全て話すことになったのだった。
いつかはばれることだろうが、ここで雪子たちの正体がばれた。
まだ旅行は1日目なのに騒動は終わらない……さてどうなることやら。
追記 ジャンルを変更しました。コメディーというにはちょっとコメディーらしさがなさ過ぎるので、その他に変更することとします。何かご意見等ありましたら感想欄やメッセージなどお寄せいただけたら幸いでございます。