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第7話:自由時間

 集会の終了後にひと騒動あったものの、どうにか部屋に戻った裕也が時間を確認すると、午後3時半を回ったところだった。これから午後6時半の夕食までは自由時間となっていた。


 散歩がてら雪子たちの様子を見に行こうかと部屋を出ようとした裕也は、速人や豪たちに捕まっていた。速人以外は雪子たちのことを特に気にしていないそぶりだったが、実際はみんな気になっていたようで、見事なチームワークを見せると裕也を取り押さえたのだった。

「さて、もう逃げられないぞ。さあ、話してもらおうか、北方。」

 床に組み伏せられた状態の裕也に対して勝ち誇った表情の速人が言う。

「わかった、もう逃げない。みんなが聞きたいことも話すから離してくれ。これじゃ話しづらい。」

 裕也は負けを認め、話す事を約束した。

「それじゃ、どうぞ。」

 組み伏せていた速人以外の4人は裕也を離すと、話を促した。

「ああ、話すのはいいが、まずどこから話したものかな……って、なんか数が増えてる!?」

 裕也は話しはじめに困ってしまい、ふと速人のほうを見ると、いつの間にか速人たち同室のクラスメートの横にもう一部屋のほうに分けられたクラスメートたちが興味津々といった顔で話し始めるのを待っていた。

「そうだな……名前は本人たちの口から聞いたから、彼女たちの年齢はいくつだ?」

 速人はとりあえず年齢をたずねる。

「えーと、雪子さんが23歳、薫さんが22歳、麻美さんが25歳、彩さんが26歳って聞いたかな。」

 裕也がそう答えると、聞いていたクラスメートのテンションが一気に上がった。中には指笛を鳴らし始めるものまでいて、正直うるさかった。

「それじゃ、次の質問だ。彼女たちの職業は?」

 速人は周りが少し静まるのを待ってから次の質問へ移った。

「すまんがそれは知らない。オレだってまだアパートに越してきて日が浅いんだ。彼女たちの全てを知ったわけじゃない。」

 裕也はそう答えた。と、そのとき。

「それについてはあたしたち自ら答えてあげるわ。」

 そこに現れたのは麻美を除いた3人だった。

「おお〜〜!!うわさのご本人登場だ!!」

 クラスメートのテンションはもはやマックスに達し、それまで鎮めるほうに回っていた速人さえも騒ぎ立てるほうに回っていた。

「な、なんでこっちに来てるんですか!旅行中は関わらないでくれって言ったじゃないですか!?」

 裕也が立ち上がり3人に詰め寄る。

「麻美ちゃんがしたことを謝りに来たの。おかしいと思ったのよね、麻美ちゃんが温泉に行きたいって言い出してここに来たのにすぐに入らないなんて……あ、ちなみに今はきついお仕置きを済ませてあの子も反省してるみたいだから。」

 雪子がおっとりとした笑顔でそう裕也に耳打ちした。

「え、ああ、そうですか。まあ、実害はなかったんでもういいですよ。それと、オレ以外はみんなの正体を知らないんですから、今後妙なことはしないでくださいね?」

 裕也もまた雪子に耳打ちする。と、

「おい北方。何を内緒話なんかしているんだよ。オレたちに聞かれちゃまずい話なのか?」

 豪が裕也と雪子の内緒話に気づいてそうたずねる。

「え、あ、いやたいしたことじゃないよ。あ、ほら雪子さん、みんなの質問に答えてくれるんでしょ?あとは任せたよ。」

 裕也はうまく話をそらし、雪子たちを前面に押し出した。

「それじゃ、皆さんの職業は?」

 気を取り直して速人がたずねる。

「すみませんがそれはノーコメントってことでお願いできるかしら?」

 雪子以下3人とも職業はノーコメントで通した。

「じゃあ皆さんのスリーサイズをぜひ……」

 速人が鼻の下を伸ばしながらたずねる。

「それならかまいませんわ。私は上から85・56・81ですわ。」

「……上から79・59・80……」

「アタシは上から95・54・97ってところだな。だけどアタシらに惚れんなよ。火傷するぜ。……それじゃ、そろそろアタシらはおいとましようかね」

 3人それぞれスリーサイズを答え、最後に彩が警告し、3人は裕也たちの部屋を後にした。

「さて、ご本人たちが帰っちゃったことだし、また北方を質問攻めにしようか。まずはさっき雪子さんと内緒話していただろう、アレはいったい何を話していたんだ?」

 速人が裕也にそうたずねる。

「ああ、さっき集会のときに大広間から出れなくなっただろ?あのときにドアをふさいでたのが今来てなかった麻美さんだったらしいんだ。そのイタズラのことを詫びにきて、彼女のお仕置きの件でオレと話をしていた、それだけのことだ。」

 裕也は麻美や雪子たちの正体をうまく隠してさっきのことを話した。

「ほう、まあそれはそれでいいとして、次だ。彩さんが最後に言った『惚れたら火傷する』ってのはどういうことだ?」

 速人は納得したのかしてないのかわからないが、次の質問に移った。

「それは聞いてそのままの意味だ。他意はないだろう。惚れたとしても彼女たちがお前らになびくことはない。もちろん、オレにもな。」

 裕也は冷静にそう告げ、時計を見るといつの間にか夕食の時間が近づいていた。

「さ、そろそろメシの時間だ。食堂行こうぜ。」

 裕也はそう言って立ち上がると、クラスメートとともに食堂へ向かうのだった。

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