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第5話:出発


そして親睦旅行の朝がやってきた。

これから2泊3日の旅行が始まる……

「くあ……眠い……」

 現在時刻午前8時。親睦旅行出発の朝、裕也は荷物を抱えて歩きながらあくびをしていた。



 8時30分、集合した学生たちは数十台にも及ぶバスに分乗し、各学部ごとに分かれた目的地(裕也たち法学部は草津)へと出発した。



 そのころのアヤカシ荘、103号室――

「どうやら裕也たちは出発したみたいですね。みんな、準備はできてますか?」

 麻美が机の上の水晶玉に映し出された裕也たちの乗ったバスを見ながらそう呼びかける。

「はい、いつでも出発できますよ。」

「………大丈夫」

「アタシもいつでもOKだぜ!」

 雪子、薫、彩は三者三様の反応を示す。

「それじゃ、私たちも行きましょうか。」

 麻美がそう言った直後、4人の姿は部屋から消えていた。



 一方場面は再び裕也たちのバスに戻る。

朝から大あくびをするほど裕也は眠かったらしく、バスが動き出すなり眠りに落ちていた。

と、隣の席に座ってる女の子が裕也をゆすって起こした。

「ん……」

 裕也が目を覚ましてみると、

「あ、北方くん起きた?これから各自自己紹介するから全員起こせって。」

 隣の席の女子はそう裕也に微笑みかけた。

「ああ、そうか……ありがとう。」

 裕也は自己紹介くらいは聞いておくべきだと考えていたので、これは素直に礼を言った。



 かれこれ自己紹介は続いていき、裕也の番が来た。

「えーと、北方 裕也です。出身は新潟で、高校のときは人付き合いが苦手であまり友達がいませんでした。大学ではそれを克服したいと考えているのでよかったら積極的に話しかけてください。」

 簡単にそう挨拶すると、どこかから、

「新潟から出てきてるということは一人暮らしだよね?どの辺に住んでるの?」

 そんな質問が投げかけられた。

「どこに住んでるも何も、大学の隣にあるアパート、アヤ……じゃなくて、「流星荘」です。友達は作りたいですが、できればうちには来ないでください。下手すれば命が危ないですから。」

 裕也は質問に答えるついでにアパートに来るなと警告した。

 案の定ブーイングが飛ぶ。

「なんでー?部屋に見られたくないものでもあるんじゃないのか〜?」

 そんな憶測さえも飛び交う中、裕也は覚悟を決めた。

「別に部屋には何も無いよ。でも、ご近所さんがちょっとアレでね……これ以上は勘弁してくれないかな?」

 裕也がそう答えると、

「まあ、ここで追求するより今度直接たずねたほうが早いな。ああ、自己紹介がまだだったな。俺の名は築地つきじ 速人はやと。出身は地元だ。よろしくな。」

 速人と名乗ったクラスメートは早くも裕也の家に来る気満々だった。


 そして裕也、そしてついでに速人も終わり、裕也の隣に座っている女の子の番が来た。

井上いのうえ 智子さとこといいます。出身は千葉で、大学の女子寮で暮らしています。みなさん、よろしくお願いしますね。」

 智子がそう挨拶すると、あたり一面(ほとんど男子)から拍手があがった。

 智子が言ったとおり、この聖都大学には学生寮はあるにはあるのだが、なぜか女子専用のものしかなく、男子の一人暮らしはアパートなどを借りるしかないのである。とはいえ裕也の住むアヤカシ荘はこの街の家賃相場の3分の1程度で、女子寮の1か月分より安いらしい。

 その後も自己紹介が続いていき、終わったあとは親睦を深めるという意味でゲームをして盛り上がり、2時間ほどしてバスは目的地に到着した。……のだが。

「おい、なんかあの女の人たちきれいじゃね?」

「なんかこのバスのほうを見てるけど、なんなんだろうな?」

 裕也は降りる支度をしていると、先に降りた男子たちの声が聞こえてきた。

(別にきれいな女の人なんていくらでもいるだろ……気にするほどのことじゃないな。)

 そう思いながらバスを降りた裕也は、目の前にいた人物におもわずめまいを覚えた。

「ちょ、なんでここにいるの!?」

 裕也は荷物をその場に放り出すと4人に詰め寄っていた。

「あら、偶然ね裕也くん。私たちも温泉旅行に来たのよ。まさか裕也くんもこの旅館だとは知らなかったけど。」

 麻美がニコニコと笑いながら裕也に話す。

「まあ、偶然だというのならそれでもいいですが、旅行中オレたちに関わらないでくださいね。」

 裕也も笑顔に見えるが、目が笑ってなかった。と、そこに、

「なあ、北方、その人たち誰だ?知り合いなら紹介してくれよ。」

 速人がそう言いながら裕也に寄ってくる。

「あ〜……オレが住んでるアパートのご近所さんたちだよ。」

 裕也は簡単にそうとだけ説明した。

「初めまして、白崎 雪子です。」

「……石崎 薫……よろしく」

「真崎 麻美よ。よろしくね〜」

「アタシは盛野 彩。」

 4人はそれぞれ自己紹介すると、

「こんなきれいなご近所さんたちがいるなんてうらやましいじゃねーかコンチクショウ!何が不満だってんだ?」

 速人が裕也にヘッドロックをかけながらそうたずねる。

 裕也はまさか「彼女たちは人間じゃなく妖怪なんだ」などとは言えず、あいまいに言葉を濁すしかないのだった。

と、いうわけで……

あけましておめでとうございま〜すin2007♪

今年も自分の小説をよろしくお願いしま〜す♪


偶然か、それともわざとか、同じ旅館に泊まることになった。これはトラブル必至か?

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