第31話:海岸の恋物語!?
毎日更新がついに途切れました。それを目当てにしていてくださった方々申し訳ありませんでした。
「おっしゃー、終わった〜!」
試験の最後の科目が終わり、外に出た瞬間速人が叫ぶ。
「いちいち怒鳴るな、うっとうしい。」
貴之が疲れた顔でそう言った。
「まあ、なんにせよこれでようやく夏休み突入だな。みんなは夏休みどうするの?」
裕也がそうたずねると、地元暮らしの速人と靖以外はお盆に合わせて実家に帰るらしい。
「じゃあさ、お盆に入る前にみんなで海にでも遊びに行こうよ。もちろん雪子さんたちも誘ってさ。」
智子がそう提案する。
「お、いいね〜。じゃあオレは雪子さんたちに都合のいい日を聞いておくよ。」
裕也はそう言うと、「じゃあオレはあっちだから」と言ってアパートのほうに歩いていった。
「え?みんなで海に?私たちも一緒に?」
雪子はそう聞き返した。
「そそ。大勢で出かけたほうが楽しいでしょ?」
裕也がそう言って誘う。
「それじゃあご一緒させてもらいましょうか。彩さんや麻美ちゃんもみんな行くわよね?」
雪子たちも了承し、早速今週末に千葉の海水浴場へ行くということで話がまとまった。
あっという間に時間は過ぎていき週末になった。
誰も車の免許を持っていないため電車で出かけることになり、それぞれ駅に集まっていた。
「よーし、それじゃ、しゅっぱーつ!」
朝からテンション高めな女性陣に引きずられるような形で裕也たちは出発した。さすがに電車の中では静かにしていたみんなだったが、2時間ほど電車を乗り継いで海岸が見えた瞬間、
「おお〜!泳ぐぜ〜〜〜!!」
行くときは意外と静かだった速人が一気にテンションを上げて走り去り、それに続くように裕也と智子以外みんな追いかけていってしまった。すっかり出遅れた形となった裕也と智子は顔を見合わせて苦笑いすると、ゆっくりみんなの待つ海岸へ歩き出した。
「ねえ、裕也くんって彼女とかいるの?」
歩きながら不意に智子が裕也にたずねる。
「いや、こういうと空しい気もするが年齢=彼女いない暦だよ。」
裕也がそう答えると、
「じ、じゃあ私が彼女候補に立候補してもいいかしら?あの温泉卓球の時に服を破かれたほうとしては責任とって欲しいかな〜なんてね。」
智子が冗談とも本気ともつかないことを裕也に告げる。
「井上さん、それは冗談とかからかい抜きで言ってくれてる?」
裕也もやはりいきなりすぎて冗談と受け取ったのか、そう聞き返す。
「裕也くんはどっちだと思う?」
智子は意地悪にもそう聞き返す。
「うーん、半々だな。本当であってほしいけど今ひとつ信じきれない。」
裕也はそう答える。
「じゃあ、こうしたらどうかな?」
智子は荷物をその場に投げ捨てると、不意打ちのような感じで裕也にキスをした。
「え―――じゃあ……」
突然のことに驚いて絶句する裕也に対し、
「裕也くん、好きです。私と付き合ってください」
智子の告白が海岸に響き渡った。
「うん、こんなオレでいいなら。井上さん、いやこれからは智ちゃんって呼んだほうがいいか。」
裕也がOKの返事を出し、晴れて二人はカップルとなり、ともに海を満喫するのだった。
ついに裕也にも遅い春が来た。
次回、ついに最終回!