第28話:Happy Birthday
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5月3日。裕也は朝から駅前をぶらついていた。というのも恵理が、
「兄さん、誕生日おめでとう。パーティーの準備を麻美さんたちとやるんだけど、準備ができるまで外で時間潰していて欲しいな。どんな演出するかはこれから考えるんだけど、やっぱ驚いてほしいから……」
そう言って裕也を部屋から追い出してしまったからだった。
「ヒマだし、本屋で立ち読みでもするか……」
そうつぶやき、駅前の本屋で雑誌などいろいろ立ち読みをして時間を潰すのだった。
結局、本屋だけでは時間を思うように潰せず、近くにある漫画喫茶なども活用して時間を潰していた裕也に恵理から連絡が入ったのは夕方5時を回ったころだった。
(家を追い出されたのが朝の9時だから8時間もかけてパーティーの準備してくれたのか……)
裕也がそう思いながらアパートに帰ると、外観からして変化があった。
(あれ?アパートってこんなに大きかったっけか?)
裕也は目をこすってもう一度見てみるがやはり今まで見ていた建物の2倍近くはある。
(ああ、麻美さんがまた何かやったのか。)
麻美の仕業ということで納得し、2階にある自分の部屋の玄関を開けると、
「ハッピーバースデー、裕也くん」
恵理、それと雪子たちアヤカシ荘の住民はわかるとして、誰が知らせたのか、速人や豪、貴之のほか、智子や静香までやってきていた。
「みんな……よくこの狭い部屋に……って広くなってる!?」
裕也が玄関から中を見ると、今までの6畳1DKの間取りが、20畳くらいある部屋に変わっていた。
「パーティーやるなら広い部屋がいいから、今日限り全体を改造しちゃいました〜♪それに、こんなにたくさんの人が来るんだから、もっと広くてもいいくらいだよ。」
麻美が胸を張ってそう言い、裕也たち一般人は「魔法ってホントすげぇ」などと心の中で思うのだった。
料理が出てきて食べ始めようとした一同だったが、ふと裕也が、
「ところで今日のこの豪華な料理は誰が作ったんです?」
とたずねると、
「私と、麻美さん、雪子さんの3人だよ。」
恵理がそう答えた。
「そっか。麻美さん、変なもの入れてないでしょうね?」
裕也は一度箸を置き、麻美をじと目で見つつたずねる。
「それは大丈夫よ。妙なことしないようにちゃんと見張ってたから。」
雪子が太鼓判を押し、「それなら大丈夫か」と裕也が安心して食べ始めた。
「う〜……わたしそんなに信用ないの〜?」
麻美がぼやき、一同同時に笑い出した。
そんな感じでにぎやかに裕也のバースデーパーティーは過ぎていき、速人たちクラスメートの連中は帰っていった。
「こんなににぎやかなパーティーやってもらったらみんなの誕生日のときが大変だなぁ………あれ、そういえばみんなは誕生日いつなんですか?」
裕也がそうたずねた結果、雪子が1月11日、薫が3月15日、麻美と彩は年こそ違うが同じ10月31日という答えが返ってきた。
「よし、それじゃあそのときはちゃんとパーティーしなくちゃな。」
裕也がお返しのつもりでそう言うと、
「裕也くん、私たちはパーティーはやらなくていいわ。だって、もうパーティーとかやってもらうような年じゃないもの。」
雪子がそう笑顔で辞退する。
「え?だって4人ともまだ20代……」
裕也がそう言いかけたが、
「それは人間の年齢に直した場合の話。妖怪や魔女はものすごい長生きだから人間で言うと20代でも実年齢は4人とも150〜200歳は軽く超えてるわ。特に麻美ちゃんなんかもう256歳だったかしら?だからもう誕生日とかだってあっても意味ないの。わかってくれたかしら?」
雪子がその言葉をさえぎってそう言葉をつなげた。
「そうか、そうですよね。あまりに見た目が若いから忘れてましたよ。」
裕也も納得したところで、後片づけを始めようとしたが、
「兄さん、主役は黙って座ってればいいの。」
裕也が片づけを手伝おうとしたら恵理にそう言って止められたので、裕也を除いた5人で後片づけをし、大きくしていた部屋のサイズも元に戻したのだった。
GW編も残すところあと1話――