第24話:恵理とともに過ごす日曜日
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4月30日、日曜。朝8時。裕也はまだ寝ている。
恵理がすでに起きていてテレビをつけると昨日見ていたチャンネルのせいか、ヒーローもののアニメがやっていた。すぐさまチャンネルを回すと、行楽地がものすごい混雑しているとニュースが伝えていた。そんな状況を横目に見ているにもかかわらず、
「兄さん、どっか連れてって〜。」
恵理は裕也を揺さぶりながらそうおねだりする。GWの日曜ともなれば、どこも混んでいるのは当たり前なので、裕也は今日一日寝て過ごすつもりだったのだが……
「ねえ〜兄さんってばぁ〜〜。せめて起きてよ〜。」
恵理はなおも裕也の身体を揺さぶって起こそうとする。しかし裕也はまったく起きる様子がなかった。
「いい加減に起きてよ〜。起きないととんでもないことしちゃうよ〜?それでもいいの〜?」
恵理がいったん裕也を揺さぶるのをやめると、クローゼットの中においてある3段引き出しの中から危険物を取り出す。
「これが最終警告だよ〜。これで起きなければ罰として電気ショックね〜。」
何気に怖いことをさらっと言ってのける恵理。当の裕也は、
「むにゃ……今日は日曜で学校休みだろ……もっと寝かせてくれよ……」
と寝言を言うとそのまま寝てしまった。
「もう、いつまで寝てるの!?さっさと起きろ〜〜〜!!」
恵理は裕也の布団を引っぺがすと、足の太ももに危険物を押し当て、放電させた。
「ぐぎゃあああああああぁぁぁぁぁ!?」
裕也の身体を30万ボルトの電圧が駆け巡り、裕也は一気に目を覚ました。
高圧電流をまともに食らい、裕也はしばらく起き上がれなかった。で、ようやく動けるようになってきたところで、
「ったく、起きなかったオレも悪いかもしれないけど、だからってスタンガンはどうなのさ?これは昨日説明したとおり、対アヤカシ専用最終兵器にするものであって、生身の人間に対して使うものじゃないの。わかった?」
裕也は恵理に説教していた。
「ちょっとやりすぎだったね、ゴメン。」
恵理は素直に謝ると、
「ねえねえ、せっかく新潟から上京してきたんだからどっか連れてってよ〜。」
改めて自分の要求を突きつけた。
「おいおい……こんな混雑してるなかに行きたくないっての。お前は4日までこっちにいるってことは明日や明後日の平日も学校休んで来たんだろ?なら平日に行けばいいだろう。オレのほうは明日、明後日ともに最初から大学が休みだし。」
裕也が妥協案を提示すると、
「明日ならどこか連れてってくれるの?じゃあ今日は我慢する。」
あっさり恵理は引き下がり、ひとまず朝食をとることにした。
「ところで兄さん、コンビニとドラッグストアって近くにある?」
食後、恵理がふと裕也にたずねる。
「コンビニは大学を挟んで反対側にある女子寮の前、ドラッグストアは駅前になかったか?」
裕也がそう答えると、
「ああ、あそこにあったのが一番近いのか……都会とはいえそれほどたくさん店があるわけじゃないんだ……とりあえず買いたいものがあるから出かけてくるね。兄さんはなにか買ってきてほしいものある?」
恵理はそう言って出かけていこうとした。
「そうだな……やっぱ一緒に行こうか。なにか飲みたいんだけど、決まらないから店に行って考える。」
裕也はそう言うと、急いで着替え、恵理と一緒に買い物に出かけるのだった。
買い物だけとはいえ、裕也と一緒に出かけることができた恵理はその日一日中ご機嫌だった。