表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/32

第23話:裕也、暴走対策を立てる


よし、今日も無事に更新完了っと。

 麻美の絶叫が聞こえなくなったころを見計らい、とりあえず数日間滞在するなら挨拶くらいさせておこうと、裕也は恵理を連れて他の部屋を回ることにした。

 隣の彩の部屋は留守になっていたことからまだ麻美へのお仕置きが続いていると判断した裕也は101号室の雪子の部屋に向かった。

「雪子さーん、いますか〜?」

 裕也がドアをノックしながらそう呼びかけた直後ドアが勢いよく開き、麻美が飛び出してきた。

「今日はいつになく長くないぃぃぃぃ!?」

 麻美はどうやら隙を突いて逃げ出したらしい。その後をすぐ雪子と薫が追いかけて出て行く。一番最後に出てきた彩が、

「見ての通りまだお仕置き中だ。今回は裕也くん以外の一般人に対して迷惑かけたってことできっついお仕置きになってるからもうしばらく待っててくれ。終わったらこっちから裕也くんの部屋に出向くから、そしたらその子を紹介してくれ。」

 そう言って逃げた麻美の行方を追っていったので裕也と恵理は苦笑いしつつ一度部屋に戻るのだった。

「ねえ、兄さん。あの麻美さんって人、いつもあんな感じなの?」

 恵理が裕也の部屋に戻ってくるなりそうたずねる。

「ああ、だいたいああやって騒ぎを起こしてはさっきみたいに雪子さん―ああ、白い服を着てた人ね―にお仕置きされてるって感じだな。」

 裕也はこれまでの1ヶ月を思い返すと複雑な表情でそう答えた。

「へえ〜……本当に変わった人たちなんだね……」

 恵理はそう納得すると、黙ってテレビを見始めた。やはり二人の地元とはテレビの基地局が違うので映るチャンネルも全然違うらしく、恵理はしきりにリモコンを動かしてチャンネルを回していた。と、そこにチャイムが鳴る。

「はーい」

 裕也が玄関を開けると、

「ちわっす、北方 裕也さんにお届けものです。代金引換で4200円になります。」

 宅配便の配達員が小型の箱を持って立っていた。


「兄さん、何を買ったの?」

 裕也が荷物を受け取り戻ってくると、恵理が興味津々に聞いてくる。

「ああ、今まで麻美さんたちの暴走に悩まされてきたから、自分の身を守るための道具。」

 そう言いながら裕也が箱を開けて取り出したのは、なんとスタンガンだった。

「え!?兄さん、スタンガンを女性に向けるつもりなの!?」

 恵理が驚いた顔で裕也を問い詰める。

「ああ、だってあの人たちは―――」

 裕也が雪子たちの正体について話そうとしたとき、チャイムが鳴り、雪子たちがやってきた。

「えっと、恵理さんでしたよね?先ほどは麻美ちゃんが起こした爆発騒動で驚かしてごめんなさいね。」

 入って来るなり雪子と彩が頭を下げた。

「わたしは大丈夫でしたからもういいですよ。でも、ちょっとお聞きしたいんですけど、いいですか?」

 恵理がもういいと言って二人の頭を上げさせた後でそう切り出した。

「ええ、構いません。なんでしょう?」

 雪子が先を促すと、

「先ほど兄が爆発原因をたずねた際、麻美さんと言う方は薬の調合でミスをしたとおっしゃったのですが、いったいなぜあまり広くない室内で薬品の調合をしているのか、そしてなぜ爆発するのか、そこが気になりまして。」

 恵理はそうたずねた。

「当然の疑問ですね。その答えを話す前に逆に聞きたいのですが、何を聞いても驚かないでしょうか?」

 雪子は頷くと、恵理にそうたずねた。

「??よほどのことでなければ驚かないと思いますが、確かなことは言えないですね。」

 恵理は質問の意味がわからず戸惑ったが、そう答えた。

「それならいいですね。実は私たち4人は人間じゃないのです。いわゆる妖怪、アヤカシと呼ばれる存在と言えば分かりやすいでしょうか?」

 雪子があっさり正体を明かした。

「へ?」

 恵理は突然すぎる展開にマヌケな声を上げるのがやっとだった。

「まあ、そういうことだ。ちなみに、騒ぎを起こす麻美さんは魔女ウィッチなんだ。だから、普通の人間であるオレが道具に頼るのもわかるだろ?」

 裕也が横から口を挟み、さっき届いた荷物を正当化しようとした。

「なるほど、そういうことだったんですね。納得です。」

 恵理も納得し、目の前の現実を受け入れようと決めたようだ。

「……裕也くん、道具って?」

 これまで黙って雪子と恵理の話を聞いてるだけだった薫がそう問いかけた。

「ちょうどいいや、ここで宣言しておきますかね。今日、みんなの暴走に対抗するため、こちらも道具を購入しました。といってもたぶん麻美さんくらいですかね、コイツの餌食になるのは……」

 裕也がそう言って足元に転がっている箱からスタンガンを取り出し振りかざす。

「電圧は三十万ボルト。並の人間だったら2〜3秒でダウンするような電圧です。ま、妖怪にどこまで通じるかは分からないですが、もう無抵抗に巻き込まれるだけじゃないので。」

 裕也が簡単に説明すると、

「ほう、今までにいないタイプだな。今までこのアパートに住んだ人間でアタシらの暴走に巻き込まれたあとはみんなあっという間に出ていった。対抗しようとしたのは裕也くんが初めてだ。その道具がどれほどの威力かは知らないが、お手並拝見と行こうか。」

 彩がまるで宣戦布告のような発言をしたので、

「オレのこの道具は暴走を止めるための最後の手段であって、みんなとケンカするためのものじゃないですから。」

 裕也が慌てて補足する。

「話がだいぶそれちゃいましたけど、わたしは5月3日の兄さんの誕生日を祝って、5月4日までこちらにいますので、それまでみなさんよろしくお願いしますね。」

 恵理が話をもとに戻してそう締めくくる。

「ええ、よろしくね。それと、3日は裕也くんの誕生日なのね。それじゃみんなでパーティーといきましょう。」

 雪子がそう提案すると、

「賛成ー!」

「……問題ない」

「パーティーは人数が多いほうが楽しいですからね。」

 彩、薫、恵理が三者三様の賛成の声を上げ、ここに裕也の誕生日パーティー企画が発足した。


「……そういうのって本人のいないところで話し合うものじゃないのか?」

とりあえず自分の身を守るために30万ボルトのスタンガンを購入した裕也。

けど、妖怪に電気ショックって効くのか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ