第22話:GW編開幕 妹、来る
どうにか今日は更新できた……
4月29日。ゴールデンウィーク初日の昼間、裕也はテレビを見ていた。何気なくニュースを見ていると、この連休で行楽地へ出かける人の混雑の様子を知らせていた。
「やっぱこうなるのが普通だよな。地元へ帰ろうとしないでよかったぜ……」
裕也がそうつぶやいたそのとき、「ピンポーン」とチャイムが鳴った。
「はーい、今開けますよ〜っと。」
裕也がそう返事をして玄関を開けると、
「兄さん、来たよー。」
元気いっぱいの恵理がそう言いながら裕也に飛びつこうとしたが、
「ていっ」
「うぎゅっ」
裕也は予測してたのか、飛びかかってくる恵理の額にカウンターで掌底を当ててその動きを制した。
「いたた……兄さん、それが久しぶりに会った妹に対する仕打ち?」
恵理が口を尖らせて抗議の声を上げる。
「久しぶりも何もまだオレがこっちで一人暮らしして1ヶ月だろうが。しかも飛びかかってくるのを放っといたら間違いなくオレが倒される。やられる前にやれ、ってことだ。ほれ、さっさと上がるなら上がれ。」
裕也はそんな抗議の声もあっさり斬り捨てると、恵理を部屋に上がらせた。
「それで、先に確認しておきたいんだが、お前はこっちにいつまでいるつもりだ?」
裕也が恵理にたずねる。
「えっと、兄さんの誕生日を祝ってから帰るつもりだから……5月4日に向こうへ帰るつもりだよ。」
恵理はそう答える。
「オレの誕生日か……そういや自分でも忘れかけてたぜ。5月3日でオレ19歳になるんだよな……」
裕也は妹の口から出てきた「誕生日」という一言にハッとしたようにつぶやく。
「ところで兄さん、ご近所さんとは仲良くやってるの?」
恵理が急に話題を変えて裕也にたずねる。
「え?あ、ああ、大丈夫だよ。楽しすぎてこっちに引っ越してからの1ヶ月があっという間だったよ。」
裕也はそう答え、「ちょっと変わった人たちだけれど……」と聞こえないほどの声でつぶやいたつもりだった。だが、
「えっ?ご近所さんって変わった人たちなの?」
しっかりと恵理に聞こえていたようで、目を輝かせて裕也にたずねてくる。
「うお、聞こえてたか?まあ、あまりいないタイプではあるかな。」
裕也は驚きつつそう当たり障りのないことで済ませようとしたが、
――ボンッ、パリン!
裕也の部屋の真下で何かが爆発したような音がして床が揺れた。ついでに真下の部屋から爆発音と同時にガラスが割れて光が漏れていた。
「な、なに今の?」
恵理は突然の爆発音に驚いて裕也の服のすそをつかんでいた。
「ああ、すぐ真下に住んでる真崎 麻美さんだな。この程度の爆発音なら日常茶飯事だよ。たぶん、すぐに事情を説明しに来ると思うよ。」
裕也がそう言った直後、チャイムがなった。
「はいはい、今開けますよっと。」
裕也が立ち上がり、いまだに服のすそをつかんだまま離さない恵理を引きずったまま玄関のドアを開けると、やはり予想通り麻美が立っていた。しかも服が爆発の際についたと思われるすすで真っ黒になっていた。もともと黒い服なのでそれほど目立たないものの、服の黒さとは違う黒いものがあちこちについていた。
「で、今回は何をやらかしたんですか?」
裕也が慣れたようにたずねると、
「今回は薬の調合をちょっとミスっちゃって、それで大爆発……あら?そちらの方は妹さん?」
麻美が今回の爆発の原因を話したところで、裕也の服のすそをつかんだまま玄関まで引きずられた恵理に気づいて裕也にたずねる。
「ええ、ゴールデンウィークを利用して実家から遊びに来た妹の恵理です。ほら、挨拶くらいちゃんとしろ。」
裕也がすそから引っぺがして恵理を立たせると、背中を小突いてそう言う。
「えっと、初めまして。恵理です。兄さんがお世話になっています。」
恵理がそう挨拶したとき、
「麻美ちゃん、ここにいたの。また部屋を爆発させて……わかってるわね?」
雪子、彩、薫も麻美を探していて、裕也の部屋に集結した。
「あらみなさんおそろいで。恵理、ここにいるのでこのアパートのご近所さんはすべてだ。ちゃんと挨拶しておきなさい。」
裕也がまた恵理をせかし、恵理が簡単に挨拶をすると、
「へえ、裕也くんにこんなかわいい妹さんがいたとはねえ……」
彩がそう感想をもらし、雪子たちは「またあとで改めて」とだけいうと、麻美を引きずって裕也の部屋を後にした。
その数分後、アヤカシ荘に毎度おなじみの麻美の絶叫が響き渡ったことは言うまでもない。
GW編開幕、妹の恵理の来訪でどたばた度50%増し(作者脳内比)でここからの数話は展開する予定であります。
できるだけ毎日更新できるよう頑張っていきます。
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「裕也と○○のこんな話が読みたい」などの要望でも構いません。もしあったら考えてみます。