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第20話:妹の来襲 予告編

 ゴールデンウィークを目前にしたある日の夕方、裕也の携帯にメールが入った。

<ゴールデンウィークにそっちへ遊びに行きます  恵理>

「恵理か……アイツこっちに来たら驚くだろうな。ご近所さんは妖怪だったなんて普通はありえないし。」

 裕也はメールを見てそうつぶやいた。


 恵理えりというのは裕也の妹で、年は裕也のひとつ下の高校3年生。今度のゴールデンウィークに遊びに来るらしい。

「さてと、そろそろ卓球場行かなくちゃな。」

 時間を確認するとサークル活動が始まる頃だったので、裕也は早歩きで卓球場へ向かうのだった。



「お疲れ様でした〜」

 この日の活動を終え、裕也は挨拶をして卓球場を後にした。

「お疲れ、北方。方向同じだし、一緒に帰ろうぜ。」

 貴之がそう言って二人で並んで歩き出す。

 裕也が《ピンポン・スマッシャーズ》に入った翌日に貴之と智子が、そしてさらに翌日には静香が加入し、福田や宮田は「これなら関東を勝ち抜けるかもしれない」と喜んでいた。

「それにしても、福田さんや宮田さんは強いな。勝てる気がしないぜ。」

 貴之がそう愚痴をこぼす。練習の最後はサークル内の練習試合で締めるのだが、毎日のように裕也や貴之は福田や宮田に挑み、負け続けているのだった。

「ああ、見学に行った日に宮田さんと初対戦したときは8点取れたけど、今日は3点しか取らせてもらえなかったし、貴之は1点だろ?プライドも何もあったもんじゃないよな。」

 裕也も同調する。と、そこでアヤカシ荘の前に到着する。

「それじゃ、また明日な。頑張って宮田さんを倒そうぜ。」

 裕也はそう言って貴之と別れた。


 階段を上がる途中、裕也は彩の部屋から聞きなれない声が聞こえるのに気づいた。ドアの前を通過するときにちょっと耳をすませてみると、どうやら彩が部屋に男を連れ込んでいるようだった。

(またナンパされてそのままってところかな?ナンパした人、ご愁傷様……)

 ドアに向かって合掌しつつ、裕也は自分の部屋に入るのだった。


 部屋で夕食を済ませた後、ふと気になって外をのぞいてみると、彩が部屋から男を送り出すところで、がっちりした体格の男がかなり疲れた様子でアパートから去っていくところだった。

 すると、彩が裕也に気づいたらしく、

「あ、裕也くん。……もしかして、いやもしかしなくても見たよな?」

 ばつが悪そうに苦笑いしながらたずねてくる。

「ええ、声も少し漏れてましたよ。やっぱナンパですか?」

 裕也もつられて苦笑いを浮かべて彩の質問を肯定し、逆にたずねる。

「ああ、そうだよ。いつもはあまり手当たり次第に男を連れ込んでいるわけではないけど、今日のはひときわしつこくてな……ちょっとムカついたから誘いに乗ったふりしてうちに連れ込んで精気吸ってやったわ。でも実際かなり吸ったはずなのにまだあれだけ元気だとは思わなかったけどな〜。」

 彩が豪快に笑い出す。

「まあ、あまり一般人を襲っちゃまずいんじゃないですか?ほどほどにしたほうがいいと思いますよ。」

 裕也はそういって部屋に入ろうとする。

「わかってるさ。一般人から精気を吸うことが高いリスクと隣り合わせにあることくらい。だけどアタシらはそういう種族。最低でも月に一回は男から精気を吸わなくちゃ生きていけない種族なんだ……」

 ドアが閉まる直前、彩のつぶやきが裕也の耳にわずかに届き、裕也はある決意を固めるのだった。

妹からのメールでゴールデンウィークはどたばた度が増しそうな予感?

そして彩のつぶやきを耳にした裕也の決意とは?

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