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第2話:出会い


1話に比べると相当長いです。ざっと5倍か6倍はあるでしょう(笑

「えーっと、オレの部屋以外の5部屋のうち201号室以外の4部屋が埋まっているようだし、片っ端からたずねていこうかなっと。」

 裕也は部屋を出ると階段を下りて1階へ向かった。


 ☆101号室

「ごめんくださーい」

 裕也が101号室の白崎しろさき 雪子ゆきこと表札の出ているドアチャイムを鳴らす。

「どちらさま〜?」

「今日ここに引っ越してきた北方と申します、引越しのご挨拶に来ました。」

「はーい、今開けますね〜」

 との言葉どおり、ドアが開けられると、まぶしいほどの白い服を着た女性がいた。

「どうも、上の203号室に引っ越してきた北方 裕也です。これからよろしくお願いしますね。」

 裕也がそう挨拶してご挨拶の品を渡す、とそこで裕也は妙なことに気づく。

「あの〜突然で失礼ですが、冷房ガンガンに効かせてるようですけど、寒くないのですか?」

 裕也が部屋から漏れてくる冷たい空気に身震いしながらそうたずねると、

「ええ、まあ……すみませんが忙しいのでこれにて失礼しますね。」

 雪子はそう言うとドアを閉めてしまった。

 裕也は目的も達成したので立ち去ったが、その直後に部屋の中で、

(あの人、ただの人間……?ここの連中の中で無事に生活できるかしら……?)

 雪子がそうつぶやいたのを裕也は知る由もなかった。


 ☆102号室

 次に102号室の石崎いしざき かおると表札が出た部屋へ。しかしチャイムを鳴らしても留守だったようで誰も出てこなかった。


 ☆103号室

 そのまま隣の103号室へ。ここには真崎まさき 麻美あさみと表札が出ていた。ドアチャイムを鳴らそうとしたら、中で何かぐつぐつ煮込んでいるような音が聞こえた。

(どうやらここはいるようだな。)

 裕也はチャイムを鳴らした。

「はい」

 ドアはすぐに開いた。出てきたのは黒いジャージの上下を着た、見た目小中学生かと思うような少女だった。

「……あ、今日この上の203号室に引っ越してきた北方です。引越しのご挨拶に来たので、よかったらこれどうぞ、とご両親に伝えてください。」

 裕也は少女の見た目から親がいると判断してそう言ったのだが、

「いえ、私は一人暮らしですよ。あなた、見た目で判断しましたね?こう見えても私、25歳なんですよ?」

 麻美は少し怒ったようににらみながら裕也に告げる。

「に、25歳!?ずいぶん若く見えるんですね。いや、ごめんなさい。では、オレはこれで。」

 裕也は麻美の射るような視線のプレッシャーに耐え切れず、そそくさと立ち去り、階段を上がっていった。


 ☆201号室

 空き部屋なので通過。


 ☆202号室

 続いて202号室へ。そこには盛野もりの あやと表札がでていた。裕也がチャイムを鳴らすと、

「あーい、今開けますよ〜っと。」

 中からそんな声が聞こえてきたかと思うと、ドアが少し乱暴に開いた。出てきたのは、男の裕也から見たらかなりのナイスバディの女性だった。

「あ、今日隣の203号室に引っ越してきた北方です。ご挨拶に来たので、これ、よかったらどうぞ。」

 裕也がそう言って物を渡すと、

「ああ、よろしくな。それにしてもアンタ、これから大変かもな。」

 彩がそう裕也に言うと、

「それはいったいどういう意味ですか?」

 裕也がまったくわからないという風に首をかしげる。

「ここの住民はアンタ以外みんな女性だ。ちょいとした事情があって男の入居者を募集してたところにアンタが来たって訳なんだが……ところで今夜はヒマか?」

 彩が何か言いかけたところで思い直したかのように話題を変える。

「ええ、大丈夫ですよ。まだこっちに出てきたばかりでどこに何があるかもわからないので。」

 裕也がそう答えると、

「それじゃ、今夜はアンタの歓迎会だな。他の部屋のヤツもみんな誘って今夜8時にお前の部屋に行くから待ってろよ。それじゃあ、早速準備を始めないとな。」

 彩はそう言うと一度ドアを閉め、すぐに着替えて飛び出していった。




 裕也は部屋に戻ったあと、他の部屋のみんなを迎え入れられるように片づけを続けていた。

そして夜8時になった。その直後、裕也の部屋のチャイムが鳴った。

「はーい。」

「あたしだ、みんな連れてきたぞー。」

「わかりました、今開けますね。」

 裕也がドアを開けると、雪子はあいかわらずまぶしいほどの白い服、麻美は黒いジャージの上からさらに黒いコートを着ていた。彩はそのナイスバディを存分に見せ付けるかのようなセクシーな服、そしてもう一人他の3人に比べると地味な服の女性が最後に続いていた。

「えっと、あなたは……石崎さん?」

 裕也が最後に入ってきた地味な服の女性にたずねると、小さな声で「はい」とだけ返ってきた。

「昼間、挨拶に行ったら留守だったようで……これ、ご挨拶です。よかったらどうぞ。」

 裕也がそう言って他のみんなに渡したものと同じものを渡す。

「あ、これはどうもご丁寧に……」

 薫はそう相変わらず小さな声で言うと、ぺこぺこ頭をさげ、裕也もつられてぺこぺこする。



「それじゃ、新しい入居者に、乾杯!」

 彩が買ってきた大量の酒で乾杯をし、5人は飲み始めた。


 しばらく飲んでいると、あまり飲みなれていない裕也は酔いが回ってきた。と、

「あーそうだ裕也。おめえに話しておかないといけないことがあるんだけど、いいか?」

 彩が突然まじめな顔をして裕也に話しかける。

「ほぇ?なんですか〜?」

 裕也はかろうじてろれつが回っているくらいの状態で聞き返す。

「あのな、実はあたしたちみんな、普通の人間じゃないんだ。いわゆる『妖怪』ってやつだな。」

 彩がそう言うと、

「またまた〜今日はエイプリルフールじゃないですよ〜?」

 裕也が信じてない口ぶりで笑い飛ばす。

「ま、信じないのも無理は無いか。雪子、麻美、薫。証拠見せてやろうぜ。」

 彩がそう3人に言うと、彩も含めて4人の体が光に包まれた。

 光が収まると、雪子は白い洋服が和服―着物に変わり、部屋の温度が一気に下がった。麻美は服装は変わってないが、手に何か杖のようなものを持っている。薫も服装は変わらないものの、髪型がそれまでのお下げからよくわからないもじゃもじゃしているものに変化していた。そして彩は、さらにセクシーさの増した見た目的には15歳未満お断りな格好になっていた。

「い、いったいこれは………」

 裕也が一発で酔いがさめたかのようにあわてて後ずさりする。

「まあ、見ての通りだ。雪子はそのまんま雪女、薫はゴーゴンとかメデューサとか言われる妖怪、麻美は妖怪とはちょっと違うがいわゆる魔女ウイッチ、そしてあたしは男の精気を吸い取るサキュバスってやつだ。こんなあたしたちが住んでるから、一応ここには『流星荘』っていう名前がついてるけど、通称は『アヤカシ荘』って呼んでるんだ。裕也が会った大家は名目上のもので、実質取り仕切っているのはあたしなんだ。」

 彩がそう説明する。

「はあ……ところで昼間言っていた、男の入居者を募集するって言うのはどういう意味なんですか?女性ばかりで下着ドロとかが不安なのかもとか思ったけどみなさんならそんな心配は無用でしょうし……」

 裕也がもはや納得するしかないという感じで頷いたあと、彩が昼間言ってたことを思い出し、たずねてみた。

「え?ああ、そのことね。ああ、たしかに下着ドロとかの心配は無用だな。なにかあったら自分たちで制裁加えちゃえばいいんだから。まあ、男の入居者をわざわざ募集したのはだな、あたしらが退屈だったからなんだ。不特定多数の一般人にところかまわず能力を暴走させるわけにはいかないだろ?どうしてもストレスがたまるんだよな。そこでタフそうなアンタの出番ってことだ。」

 彩がそう言った後、他の3人に目配せをして裕也にゆっくりと近づいてくる。

「え?え?ちょ、まさか……」

 裕也も後ずさりで逃げようとするが、すぐに壁にぶち当たってしまった。

「死なない程度にやるから、おとなしくしてなさい!」

 4人はそう言うと、まず麻美が裕也の動きを止め、続けざまに雪子が息を吹きかけ裕也の足を凍らせた。すでに身動きがとれず震えるばかりの裕也に対し、次は薫がゆっくり歩み寄ると、目をカッと見開いた。その瞬間、裕也は首から下の右半身に違和感を感じて首を動かしてみると、その部分が石になっていた。あまりの状況に裕也が絶句していると、彩が麻美になにか耳打ちし、麻美がちょちょいと杖を振り回すと、石になってた部分、凍っていた部分も全て元通りになった。

「た、助かった……」

 裕也がほっとしたのもつかの間、

「まだ終わってないわ。あたしのストレス発散が済んでないのよ。ただ、凍ってたり石になってたりしてるとあたしの能力発動に支障が出るから解いてもらったの。」

 彩が裕也にそう言ったあと、にやりと笑い、座り込んでいる裕也を手招きした。

「?」

 裕也はわけがわからないのと、疲労で体が動かないのもあって座り込んだままでいようとしたのだが……

「!?」

 彼の意思に反して身体はゆっくりと立ち上がり彩のほうへ歩き出していた。やがて彩の目の前で止まった直後、彩は思いっきり裕也を抱きしめた。

「ちょ、彩さん、む、胸があた…って……あれ?」

 裕也は最後まで言い切ることなく気を失った。



「う……」

 しばらくして裕也が目を覚ますと、麻美がひざまくらをしてくれていることに気づいた。

「あ、気がついたみたいですね。ちょっとやりすぎたみたいです。久しぶりのストレス発散だったから加減が利かなくて……それで、私がひざまくらをしているのは、他の3人だと能力が発動しちゃって危険なんです。雪子さんは触れたらあっという間に凍りますし、薫さんの場合は今度は全身石になりますし、彩さんは精気根こそぎ持ってかれますので注意してください。」

 麻美がそう言って謝り、自分がひざまくらをしている理由まで話してくれた。

「まあ、こうして生きてるし、今回は仕方ないということにしておきましょう。家賃の安さを基準に決めたオレもオレですし。でも、今後はほどほどにしてくださいね。オレは体の丈夫さには自信があるとはいえ今日のはかなりしんどかったから……」

 裕也は起き上がりながらそう言った。

「ま、なんにせよだ。裕也、『ようこそアヤカシ荘へ!』」

かなり危険なアパートに入居してしまった裕也の明日はどっちだ!?


キャラ紹介

北方きたかた 裕也ゆうや…主人公。18歳。大学入学を機に上京し、流星荘(アヤカシ荘)へやってくる。190cm、75kgと恵まれた体格で、体の丈夫さだけがとりえ。また、心臓に毛が生えていると言われるくらい、少々のことでは動じない。


白崎しろさき 雪子ゆきこ…アヤカシ荘101号室の住人。雪女。人間の年齢で23歳。それ以外にこれといった特徴はない。


石崎いしざき かおる…アヤカシ荘102号室の住人。ゴーゴンorメデューサと呼ばれる妖怪。人間の年齢で22歳。普段は非常におとなしく、話し声も耳を澄まさないと聞こえないほど。ただし一度怒らせたら怖い。


真崎まさき 麻美あさみ…アヤカシ荘103号室の住人。魔女ウイッチ。人間の年齢で25歳。厳密に言えば妖怪とは違うが誰も気にしていない。ここの妖怪たちの中では一番のいたずら好きで、通行人に魔法でいたずらを仕掛けて楽しんだりしている。あまり害はないので他の住人たちもほったらかしにしている節がある。


盛野もりの あや…アヤカシ荘202号室の住人。サキュバス。人間の年齢で26歳。裕也たち男から見たらかなりのナイスバディで、よく街でナンパされる。ナンパした男の末路は想像に任せるということで、ノーコメントらしい。


主要キャラはこんなものですね。今後新キャラが出てきたらそのときにまた入れます。

感想などお待ちしております。

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