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第17話:帰宅早々トラブル発生


※おかげさまで総アクセス数が2000を突破しました。まだまだがんばるので応援よろしくお願いします。

2泊3日の旅行編もようやく最終日。

あとは帰るだけだが……

 3日目――最終日の朝が来た。今日は昨日の寝起きドッキリの恐怖もあって誰も寝坊することなく起きていた。

 ごく静かな朝食を終え、そのまま荷物をまとめて旅館を出ようとしたとき、裕也は廊下で同じように帰りの荷物を持って歩いてくる雪子たちとばったり会った。

「あれ、みんなもこれから帰り?」

 裕也がそうたずねると、

「ええ、教職員の方と交渉して一緒のバスに乗せてもらえることになったの。」

 雪子はそういつものニコニコ顔で話した。

「あーそうですか、一緒のバスで……ってえええええ!?」

 危うくそのまま流してしまいそうになったがあわてて突っ込む。

「ななななんで一緒のバスなんですか!?ていうかここまで来た交通手段はどうしたんですか?」

 裕也はかなり動揺して声が上ずっている。

「ここまで来たのは麻美ちゃんの力。でも帰りはなぜかそれが使えないらしいのよ。だから、教職員の方と交渉してこうなったのよ。バスの座る席もあるから別にいいでしょうってね。」

 雪子はそう説明する。

「はぁ……もう決まったことは仕方ないですね。でも、バスの中で暴れるのだけはやめてくださいね。頼むからおとなしく過ごしてください。」

 裕也はため息をつきつつそう話すのだった。

 裕也たちを乗せたバスは一路大学へ向けて走り出した。一応バスにカラオケが搭載されているので、中には適当に曲を入力して歌い出す人もいたが、速人のように寝始める人が出てきたのであまり盛り上がらず、やがて歌う人もいなくなった。

 裕也も寝たかったが、雪子たちの暴走が気がかりで寝るどころではなかった。と、一番後ろの長椅子に座っている4人があまりに静かなので裕也が振り向いてみると、麻美以外みんな寝ていた。

 と、麻美と目があった。すると、

「みんな寝ちゃった。よほど疲れてたんだね。どうせならみんな寝かしとく?」

 と小声で麻美が言ってきた。

「そうですね。結構寝てる人多いですし、オレも寝ますかね。」

 と裕也が答えると、

「じゃあ、おやすみなさーい♪」

 麻美がニコニコしながらそう言った直後、裕也は猛烈な眠気に襲われてブラックアウトしたのだった。


 裕也が目を覚ますと、ちょうどバスが大学に着いたところで、他のみんなも起きてバスを降りるところだった。

「ふあ……よく寝た。それにしても麻美さん、確か寝る直前に何か話してましたよね?途中から覚えてないんですけど、もしかしてなんかしました?」

 裕也がずいぶんとニコニコして機嫌のよさそうな麻美にたずねると、

「うん、したよ。みんな疲れてるみたいだったからゆっくり休んでもらうために魔法で眠らせたの。ゆっくり休めたでしょ?」

 麻美はそう話した。

「そっか。まあ別に今回は誰にも迷惑かかってないどころかいいことをしたんですね。」

 裕也も笑いながらそう話し、このまま解散ということで雪子たちとともに5人でアヤカシ荘のほうへと歩き出したのだった。



 雪子たちと各部屋の前で別れ、裕也が部屋に入った直後、他の4人の部屋から悲鳴が上がった。

 裕也があわてて飛び出し、とりあえず一番近い彩の部屋へ向かうと、部屋が荒らされていた。

「ドアが開いてたからおかしいなとは思ったんだが、鍵のかけ忘れだと思って中に入ったらこのザマだ。他の3人のとこからも悲鳴が聞こえたからおそらく空き巣に入られたな。裕也くんのところは大丈夫だったか?」

 彩がそうたずねる。

「ええ、鍵もちゃんとかかってましたし、何も問題なしです。」

 裕也はそう答えた。そこに一階に住む3人もやってきた。


 雪子たちの話も聞いた上で被害をまとめると、4人とも鍵をピッキングかなにかで開けられ、室内にあった現金などの金目のものはまったく手を着けず、それぞれの下着などが盗られていた。

「つまり、どこかの変態が表札を見て女性である4人の部屋のみを荒らしたってことだな。」

 裕也がそう締めくくると、

「ぜってー犯人見つけるぞ。アタシらの部屋を狙ったこと後悔させてやる。」

 彩が怒りに満ちた表情でそう叫び、

「そうね。存分に後悔してもらいましょうか。誰か、いい方法あるかしら?」

 雪子も静かな怒りを秘めつつ、そうたずねる。

「そういう変態の類であれば、きっと味を占めてまたやってくると思うんだ。だから誰かの部屋に囮用の下着かなにかを干しておき、可能であればそれに罠をしかける。って方法はどうですかね?」

 と裕也が案を出す。

「ああ、それいいな。罠を仕掛けるのは麻美が適任だな。みんな、これでいいか?」

 彩がその案を採用し、罠を仕掛ける役に麻美を任命する。

「ええ、いいですよ。罠のほうも任せてください。そういうのは大得意ですから。」

 麻美が賛成し、特に反対意見も出なかったので裕也の出した作戦で行くことになった。

 すぐさまみんなが今回の旅行に持っていった中で使わなかったものを各部屋に干し、一つずつ麻美が罠を仕掛けていく。

 罠そのもので痛めつけることも可能ではあったが、今回はあえてそうせず、干してある下着が物干しから外れた瞬間、大きな警報音でみんなに知らせる罠にしておいた。


 その日の夜、早速事態が動いた。

 裕也が夕食を食べてのんびりしていたとき、突然外で大きな警報音が鳴り響いた。すぐに部屋から飛び出し、現場に急行すると、警報音に驚きつつもちゃっかりそのブツは握りしめて逃げ出す男の姿が目に入った。

「待ちやがれ!」

 裕也が叫んで追いかけ始めると、

「待てと言われて待つヤツがいるかボケ!」

 逃げる男がそう叫び返す。と、雪子たちも飛び出してきて、裕也と一緒に追いかけ始めた。

街中を舞台にした鬼ごっこ。しかしなかなか距離が縮まらない。

 ついに麻美がしびれを切らし、なにかつぶやく。すると、犯人がいきなりこけた。すぐに起き上がってまた走り出すが、麻美がなにかつぶやくとまたこけた。

「やっと捕まえた。観念しなさい。」

 こけた状態のまま取り押さえられた犯人の男は、そのまま私的制裁リンチまがいのことをされ、雪子たちは盗まれたものもきっちり取り返したあとで警察に引き渡したのだった。

帰ってきて早々下着ドロをとっ捕まえるハメになったが、無事解決。

でもリンチされたあの変態生きてるかな……?

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