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第14話:Let's温泉!その2

 で、裕也たちは昨日と同じように露天風呂に来ていた。

 風呂場の入り口で女性陣とばったり会った裕也たちは、

「あれ、みんなもこれから?」

 と実に白々しく話しかける。すると、

「今日、もしまた覗こうとしたのがわかったら昨日の制裁じゃ済まないわよ。わかってるわよね♪」

 雪子が裕也にそう耳打ちした。顔は笑ってるが目がやはり笑ってない。

「は、はい、わかりました。」

 裕也は多少身震いしながらそう答えるのだった。



「で、あんなふうに警告されたけどそれでもやるのか?」

 脱衣所に入ったあと、裕也が速人たちにひそひそ話でさっきの警告を伝える。

「要はばれなければいいってことだろ?今日は大丈夫だ、よほど注意深く見ないと見つからない、それでいてアングルは最高っていう場所から覗くからな。豪、道具の準備のほうはどうだ?」

 速人があっけらかんとそう言い、豪にそうたずねる。

「OKだ。小型でしかも湯気に負けないビデオカメラ。録画中の音も消せるまさに犯罪スレスレのブツをな……」

 豪が服のポケットから小さなビデオカメラを取り出してそう話す。


「よし、いざパラダイスへ向けて作戦開始だ!」

 速人の号令とともに裕也以外が「おーっ」と小さく返事をして浴室へ突入していく。

 しかし、作戦開始とはいえ、みんな体を洗うことは忘れていなかった。一部暴走して先に覗きに走ろうとした者もいたが、速人が制止し、

「気をつけろ。向こうもきっと警戒してるはずだ。その証拠に、向こうからまったく声が聞こえてこない。」

 そう言ったとおり、女風呂のほうからは体を流すような水音しか聞こえなかった。


 とりあえず暴走しかけたやつも含めておとなしく体を洗い、裕也が湯船に体を沈めた直後、速人たちが動き出した。

「とりあえずオレと豪が実行役だ。撮影した映像はあとでコピーして回してやるから、ほかのやつはカモフラしてくれ。」

 速人が小声で指示を出し、それにみんなが頷き、動き出した。

 まずカモフラ役数人が女風呂に聞こえるくらいの声で騒ぎ、注意を壁の上に向けさせる。ちなみに、壁の上は昨日雪子が氷で覆っていたが、すでに溶けていた。

 その隙に速人と豪が壁の端っこのほうへ素早く駆け寄り、壁をガサゴソいじくる。すると、壁に小さな穴が現れ、そこに豪が素早くカメラのレンズを差し込み、録画を始めるボタンを押す。

 最初こそ順調に女風呂の映像が映し出されていたのだが、突如として画面が暗くなり、不思議に思った豪がレンズを覗き込んだ直後、顔が青ざめた。

 それに疑問を抱いた速人がレンズを覗き込む。すると同じように顔が青ざめ、慌てて録画を止め、カメラを引き上げた。

 だが、その直後、4つの影が仕切りの壁を飛び越えて男子側に着地した。その影は言うまでもなく雪子たちだった。しかも当たり前だが4人とも怒っている。

「あなたたち………昨日のぞきを見つかって、さっきも警告したはずなのに、それでもやるってことは、覚悟はできてるってことでいいのよね?」

 雪子が一歩前に出ながらそう言う。

 速人と豪はわずかずつ後退していくが、そのたび4人はじりじりと接近してくる。

やがて逃げ場を失った速人と豪は、決死の覚悟で4人の包囲網を突破しようとするが、彩が足を引っかけてバランスを崩させ、麻美が魔法で動きを止めると同時に宙に浮かす。そこに待ってましたとばかりに雪子が昨日より強力な吹雪を放つ。薫は様子を見ていた。

 至近距離で受けた速人と豪はともかく、湯船で成り行きを見守っていた裕也や、逃げようとしていたクラスメートたちも湯船のお湯ごと凍結していた。

「あのー雪子さん?オレ関係ないんですが、なぜ巻き添えにされてるんですか?」

 裕也が身動きできないまま雪子にたずねる。

「目の前で覗きという犯罪行為が行われているにも関わらずそれを止めなかった時点で同罪よ。これ以上ゴチャゴチャ言うと薫ちゃんがキレるわよ。そうなったらどうなるかわかるでしょ?」

 裕也の脳裏に入学式の日の騒動がよみがえる。と同時に、

「ごめんなさい。」

 と裕也は謝っていた。

 雪子は速人たちの氷を溶かすと、

「もう二度とのぞきはしないって誓えるかしら?」

 2人の胸元に手をあててたずねた。断れば今度は心臓ごと凍らすぞと言わんばかりの行動だった。

 さすがにこれには2人とも震えながら謝り、ビデオの録画テープを引渡し、二度としないと誓うのだった。

やはり雪子たちは怖かった。妖怪を甘く見るとこういう目に遭うってことで。

さて、次回は「温泉旅館といえば?」という問いに100人中80人程度は出てくる、(作者脳内調べ)もうひとつの定番のお話。

お楽しみに〜♪

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