第8話:約束の扉
あらすじ
・パチュリー!
・美鈴!
・フランキタ━(゜∀゜)━!
フランは初対面の俺に怪しがりつつも、こちらの方を見ている。
「あなたはだあれ?」
「ああ、俺は裏炎っていいます。外来人なんだけど、紅魔館でしばらく居候させてもらうんだ」
フランはこっちに近づいてきた。
「ねえ、それなあに?」
フランは俺が手に溜めていた電気の弾を指差した。
「ああ、まあ普通の弾幕だよ」
「それじゃあ、弾幕ごっこ出来る?」
フランの目は急に輝きだした。もちろん俺もフランがどういう娘なのかは知っているので
「あ、いや、幻想郷に来てからすぐこの能力を身に着けたから、まだ遊べないかな」
丁寧に否定した。どうせまだ弾幕ごっこはできないし。するとフランはまだ目を輝かせたまま
「じゃあじゃあ、いつかやろうよ!」
「あ、いや、俺弱いからあんま楽しくないと思うよ」
俺はちょっと挙動不審気味に答えた。するとフランの目の輝きは見えなくなり、かわりに小さく悲しげな声でこう言った。
「最近ね、あなたみたいな人が多くて楽しいんだけど、みんなおんなじ、あ、たまに違う人もいるけどね。みんな遊んでくれないし、みんなすぐいなくなっちゃう」
いつもの、いや、あっちの世界にいた俺ならそんはフレーズは聞くこともないし、聞いても何もしなかった。だが幻想郷では俺の中の何かが違っていた。憧れであった幻想郷に俺はいる。そんな状況でフランに言われたら、俺は何もせずにはいられなかった。くさいかもしれない、でも何もせずにはいられない感じだった。
だけど何してやれる?俺はフランに何をしてやれる?この能力を持っていても、俺はフランに何をしてやれる?
そう考えるよりも先に言葉が出た。俺はしゃがんでフランの目線の高さに合わせた。
「じゃあ、今度遊ぼう、どうせしばらくここにいると思うから、この能力を使いこなせて、強くなったと思えるようになったら遊ぼう」
フランはすぐさまこっちを見た。
「ほんと?」
「本当だ」
フランは少し考えたあと
「うん、分かった、絶対だよ?」
と言って、右手の小指を出した。
「絶対だ」
俺も同じように右手を出し、指きりをした。
指きりなんていつ以来だろうか、それは俺を幸せな気分にしてくれた。
ちょうどそのとき咲夜さんが戻ってきた。
「あ、フランお嬢様この人は、って話は聞きましたか?」
「うん、それじゃーね、絶対だよ!」
そういってフランは階段の方へと戻っていった。俺は立ち上がってもとの姿勢に戻った。
「何を約束したんですか?」
「いや、そのうち遊ぼうって約束を」
「ふふ、命知らずなんですね」
「ホント、なんで約束したんだか」
後悔の気持ちはあったが、それ以上になんか気分がよかった。
「さて、ちょうどこれで挨拶は済んだから、そうですね、特にやることもないので自由にしてていいですよ」
「弾幕の練習は」
「やるのはいいですが、外でやってください、加減を考えてくださいね」
「わっかりました~~!!」
俺はすぐそばの玄関の扉から勢いよく外に飛び出た。