第3話:壊れかける扉
あらすじ
・妖精!
・ドッキリ!?
・嫁!
そう、そこには十六夜咲夜がいた・・・
ということはここは幻想郷、と考える暇はなかった。
「侵入者なら、容赦はしません」
と、どこから出したのか咲夜さんの手にはもちろんナイフが
ナイフが確認できたのもつかの間、彼女はナイフを構える。
まずい、俺はそう考えたが、もうその瞬間には投げる予備動作に入っていた。
「ちょっと待ってください、ここは」
「言い訳は聞きません」
と同時に咲夜さんの手からナイフが放たれた。間一髪、ではなかった、Tシャツの右腕のところにナイフがかすった、まさにグレイズだ。
避けた後でナイフが三本であることを頭で把握した。
「なかなか、素早いですね」
いや、素早いとかじゃない、俺が咲夜さんを知っていたからグレイズで済んだようなもんだ。
だが、グレイズではなかった。右腕が痛み出した。見るとかすったところから血が出ていた。
「うっ」
俺は左手で右腕を押さえたが、痛い。刃物で斬られるなんて余程の奴じゃない限り滅多にないもんだ。
そしてひるんだ俺を見逃す咲夜さんではなかった。また一本ナイフが放たれた。
さっきよりも少し早かった。痛みで避けられそうにもない。
そんなとき人はとっさに腕を出してしまうものだ、もちろん俺も、ナイフが俺に向かって飛び、思わず押さえている右腕を顔を守るように出してしまった。
ナイフが俺の顔目掛けて飛び、もう当たろうとしていたところで、
金属が弾かれるような音が廊下中に響いた。
俺はいつの間にか目をつぶっていた。そーっと目を開けると、そこには咲夜さんが投げたと思われるナイフが広い廊下の脇に落ちて刺さっていた。
「いったい何を・・・」
「え?あれ?」
咲夜(一瞬だが普通の人にはない力が・・・)
「まあ、いいです、そこまで抵抗するなら!」
そういいながら、咲夜さんが右腕を左から右に振ると、俺の視界いっぱいにナイフが広がった。
腕が痛いのもそうだが、この量のナイフを避けることは出来ないと瞬時に俺の頭は計算して答えを出した。
完全に俺の思考が停止した。考えるのをやめて夢ではないかと思い始めた。だがこれは夢ではない、なぜなら
腕痛いもん
絶望に暮れる状態だった。俺はここで死ぬ。
元の世界では死ねば幻想郷行けるんじゃないかなんて考えてたが、幻想郷に居る今
ここで死んだらこのまま天国に行ってしまうのではないか
あ、その前に映姫様に会えるな
あーあ、もっとゲームしたかったな、
無駄にぐるぐると未練が頭の中で渦巻いた。
そのとき何か音が聞こえた。扉を開ける音。ナイフの隙間から見えた。
咲夜さんの向こう側に人が、いや、人ではない、吸血鬼の
レミリアが見えた。