第19話:暴れだす扉
もう、前書き書くのめんどくさくなったよ!(すいません、書いて欲しいという方がいれば書きますが・・・)
あと、今後魔理沙戦で使った「磁力の反発によって移動する手段」のことを「電磁反発」と書いていきます
何故か博麗神社に行ってから目覚めが良くなった。 悩んでいるときは誰かに話した方がいいということなのだろうか。それに帰れる可能性も無いわけではないということも、きっと不安感を抑えてくれるのだろう。
この生活にもだいぶ慣れたし、もっと楽しく生きていけば、万が一帰れなくなったとしてもきっと諦めは着くだろう。
でも、できることならやっぱり帰りたいかな・・・何かいい方法はないもんかn
「ドゴーン!」
・・・何の音だよ!
2人が出掛けてから、ベットで横になりながら考え事をしていると、外から何かが壊れたような轟音が聞こえてきた。
「何かあったらお願いします」と言われていた俺は、ベットから飛び起き、音が聞こえた門の方へ急ぎ足で向かった。
紅魔館の外に出ると、いつも美鈴が寝ている側の門の柱の上部が壊れ、そこにいたと思われる美鈴は紅魔館の庭で戦闘態勢を取っていた。 そしてその戦闘態勢を取る相手は美鈴と向き合って既に庭まで侵入していた。
そいつは見た目としてはおそらく熊。それも二足歩行をして、2メートルはある熊、のようだった。
ようだった、というのは一点だけ俺が知っている熊とは違うところがあり、それは頭から何かドリル、というか角のような物が生えているという点である。
そして熊のように見えたのは、毛の色は黒色であったからだ。しかしその毛の質感はなんだか堅そうにも見え、よく見れば毛と言うよりは鱗のようにいくつかの塊になっているように見える。
「裏炎さん!」
こちらから声をかけようかと思っていた美鈴から、逆に俺に声をかけてきた。
俺は美鈴のそばに行きながら尋ねる
「何なんですかあれ?」
美鈴は戦闘態勢をとったまま、俺の問いに答える。
「おそらく獣の類ですね。今さっき襲われたところです。間一髪で避けましたが。」
俺は美鈴のそばまで着く。美鈴は続けて喋った
「それよりも、この子はもはや自我を保つことすらできない様子です。」
「というと?」
「理由は分かりませんが、自分の力を押さえきれずに暴走していると言ったところでしょうか」
向き合ってその熊のようなやつを見てみると、目つきは鋭く、気迫のようなものからも言われてみれば、暴走しているといったように感じられた。
「・・・ここまでくると、正直言って手の施しようがありません。」
一つ間を置いてから、美鈴は覚悟の声でいった
「あの子は殺します。
なので裏炎さんはどうぞ下がっていてください。」
その姿は館を守る者のそれであった。
しかし、美鈴はやさしかった。
俺に殺すという重圧をかけまいと思ってそういったのだ。
だが、俺は
「・・・じゃあ俺も手伝いますよ」
つられてとか、軽い気持ちでは無く、俺はその言葉を発していた
「いいんですか?少なからず重荷になるかもしれませんよ」
「俺だって、紅魔館の住人です」
「・・・分かりました。ではすぐに仕留めるためにも少し時間稼ぎをお願いします」
美鈴はそういって俺の一歩後ろに下がると、気を溜めるようなポーズを取った。
(そういう時間稼ぎね・・・じゃあ俺も一発ぶちかますか)
幸い獣の動きは非常に鈍く、のそのそとこちらに少しずつ歩いているだけで、俺でもあれこれ考えずにでかい一撃を喰らわせれば倒せそうにも思えた。
俺は両手に力を溜める。死なない程度に。
イメージするのは2本の槍。レミリアのグングニルほどではないが、太く、長いやつだ。
両手に俺の中のエネルギーが集まる。徐々に、徐々に電撃は形を成し、一つの槍の形が創られてゆく。
(・・・あ、これだと「一発ぶちかます」じゃなくて二発だな。まあいいや、もういくか)
俺の肩から手にかけるよりも槍の長さが長くなった頃
俺はその槍を獣に向けて同時に投げる
電撃の槍は一直線の光の道を描きながら、獣へと向かって行った
動きの遅い獣はよける術もなく、電撃の槍は連続で二本とも命中した
・・・かに、思われた
当たったと思った次の瞬間、驚くべきことに獣の角が著しく光り、命中したと思っていた電撃の槍は獣の直前で停止し、みるみるうちに電撃は獣の中へと吸収されていった
「・・・!?何だそれ!?」
直後
「裏炎さん!どいてください!」
美鈴が力を溜め終わったらしく、俺は戸惑いつつも美鈴の前から避けた
美鈴は気を溜めるポーズから両手を前に出し、円のようなものを描くと美鈴から大量の七色の弾幕が放たれた
多少のランダム性を持ちながらも、虹色の弾幕は獣の元へと一気に向かって行った
ここで俺は少しの不安を抱いていた。
さっきの俺の電撃が吸収されたのなら、もしかすると美鈴の弾幕だって吸収されるのではないか、と
だが、予想とは逆に美鈴の弾幕は獣に当たった
当たったは当たった。
当たったのだが、また獣の角が同じように光り、美鈴の弾幕は獣の表面に当たると壁にぶつかった野球ボールのように虚しく弾かれ消えていった。
「一筋縄ではいきませんか」
美鈴は再度気を溜めようとする
が、今度は獣のターン
また獣の角が光ると、今度は角から電撃が走り、角の先端に力が集まってゆく
直後その電撃は形を成し、それは俺が放った電撃の槍とほぼ同じものであった。
獣は頭を後ろにいくように体を捩じらせ、頭を前に戻す力で美鈴の方へ電撃の槍を放った。
美鈴の近くにいた俺は電磁反発で回避し、美鈴は後ろに下がって槍を避けた。
俺は獣の能力について考える
俺の撃った電撃の槍と美鈴の虹の弾幕での反応から見て、少なからず俺の電撃は吸収できるようだ
しかし、あの角からいつも使っているかのように電撃を吸収したり放ったりするところから、電気一般を吸収できるのだと考えられる
そして角が光った時は電撃を吸収・放電する。つまりあの角が光った時は、獣が何らかの形で電気を操っていると考えられる
だから美鈴の虹の弾幕での反応は、何らかの形で電気を使って弾幕を打ち消した。
と、後になってゆっくり考えればそこまで分かったが、その時は大雑把に電気を操れるとしか考えていなかった。
そして、俺はその事を美鈴に伝えた
「・・・そうみたいですね。しかも、まだまだエネルギーは残ってる見たいですよ」
そう言われ、俺はまた獣の方を見る。
すると今度も獣は角を光らせ、さっきの数倍の電撃を角の先へ溜めていた。
直後、太い電流が獣を中心に四方八方に何本も走っては消え、走っては消えてと流れた。
その電撃はランダムに流れてはいるが、流れる一瞬前に空気が変わるのを感じるのでなんとか避けることはできていた。
それでも長くはもたなそうだと俺は感じていた。
(このままじゃいずれ被弾する。でも反撃をするにも俺も美鈴も弾幕が効かないし・・・)
俺は打開策を考えるが、一向に思いつかなかった。
すると美鈴が避けながら声をかけてきた。
「裏炎さん。やっぱりここは任せて下さい。」
「え!?でも弾幕は効かないんじゃ。」
「まあ、見ていてください。」
そういい美鈴は獣の所へと走り出した。
流れくる電撃を華麗に避け、美鈴は距離1メートルのところで走りながら拳を握り、近づいていったスピードのまま拳を放った。
電撃を放ちながらその場で停止していた獣にはもちろん拳は当たった。しかし俺にはどうにも効いているようには見えなかった。
と思っていた次の瞬間、ドン!という鈍い音が聞こえたかと思うと、2メートルはある獣の巨体がぶっ飛び、庭の外壁へぶつかり、そのすぐそばにぶっ倒れた。
俺は驚いた。そして殴ったままの姿勢で止まっている美鈴の所へ駆け寄った。
「今のはいったい?」
美鈴は普通の直立の姿勢に戻りながら答えた。
「拳から気を送り込んで攻撃したんです。あの様な種は身体の表面に自らの力を流して身を護ると聞いたことを思い出して、実際拳を当てた時の感触からもそうだと確信できました。」
いつも美鈴の寝ている姿しか見ていなかった俺としては驚いた。
しかし、そのときもう一つ俺は驚いた。
美鈴が獣に当てた拳の面が酷く赤く焼けたようにボロボロになっていたのだ。
美鈴は「身体の表面に自らの力を流して身を護る」といっていた。
そう、獣は身体の表面に電気を流し、それに美鈴は触った。火傷をしても当然なのである。それどころか感電しているはずである
「美鈴さん!でも、その手じゃ!」
「大丈夫です。妖怪の治癒力ならすぐにでも回復できます。それよりも裏炎さんはあの子の攻撃が屋敷に被害が及ばないように何とかしてください!」
美鈴はそう言い放ち、起き上がる獣へ走って行った。
俺はあんな手では、と心配であったが、そんな心配はすぐに吹き飛んだ。
美鈴は獣に連撃を食らわせていった。
正拳突き、蹴り上げ、裏拳。様々な技を繰り出していった。
一撃毎にはじけるような打撃音が紅魔館の庭に響き渡り、その隙のない動きは美しくも思えた。
たしかに美鈴の身体中はボロボロになっていたが、数撃毎に獣を吹っ飛ばし一瞬の休みを置いているようだ。
美鈴は俺に紅魔館に被害が及ばないようにしてくださいと言っていたが、獣の動きは完全に封殺されて反撃すらできなかったので、俺はただ突っ立って見ているだけだった。
(まあ、どうせ電撃は吸収されるんで良いんですが・・・)
美鈴が獣を5回吹っ飛ばしたときだった。
美鈴の息は少し荒くなっていた。
「・・・しぶといですね。これだけ打ってまだ死なないとは・・・。それ程までに力があるということですか。」
再度美鈴は構え、起き上がる獣に向かい、拳の一撃を入れようとした。その時
「・・・チ、カ、ラ・・・・・
チカラガ!!!!!」
一瞬であった。
起き上がりながら獣は一瞬にして大量のエネルギーを放出した。
完全に不意を突かれた美鈴はエネルギー波をモロに喰らった。
美鈴はかなりの距離吹っ飛んだ。ざっとみても十数メートルは飛んだだろうか。
俺は美鈴に駆け寄った。
「美鈴さん!大丈夫ですか!?」
「裏炎・・・さん。」
正直、大丈夫には見えなかった。
美鈴は元々ボロボロであった上に、今の一撃を喰らって、治癒力よりもダメージの方が上回っていた。
俺が近くまで行きしゃがみ込むと、俺の腕を強く掴み、かすれかすれになりながらも美鈴は声を出した。
「お願いです裏炎さん!あの子を・・・あの子を何とかしてあげてください・・・」
美鈴は訴えかける目を俺に見せ、掴んでいた手の力は抜けていった。
「私は・・・ダメです・・・止められませんでした」
「任せて下さい、俺が何とかします」
俺の電撃は獣には通じないが、俺は美鈴の為にもどうにかするしかなかった。
美鈴はその場で横になったままでいる。まだ意識は失っていないようだった。
そして俺は獣の方へ向く。
「・・・な、何だよあれ」
驚くべき光景が広がっていた。
凄まじい雄叫びを獣は上げ
角は前の攻撃のときよりも更に光り
角の先では凄い勢いで電撃が溜まっていき
あたりの空気は匂いが変わり
獣の硬そうな鱗のようなものは全て荒々しく、鋭く逆立っていた
俺は獣が放ってきた今までの攻撃とは比較にならないようなほどの力が獣の中で練り上げられているような気がした。
(ヤバい!・・・デカイのが、くる!)
俺は瞬間的に対策が頭の中で考えられていく
美鈴を何とか獣の射線から避難させればいいのでは?
それはできない。美鈴を避難させることはできるかもしれないが、獣は今力のままにエネルギーを溜め自らの向きを変えることすらできなさそうだ。その状態で美鈴だけを避難させればどうなるか。
今俺は獣の方を向くと、
紅魔館が後ろにある。
あんなでかい攻撃を紅魔館に当てる訳にはいかない。何とかして獣を止めなければ・・・
獣の放つ電撃に俺も電撃を当てて相殺させるのはどうか?
どう考えても獣の方がエネルギー量が多い、ダメだ
こちらから攻撃して獣を止める?
攻撃するにしてもこちらの電撃は獣には効かない・・・
じゃあ物理的な攻撃なら?
するにしてもパンチ等は効くはずがない、するとしたら何かを飛ばして・・・それか!
一つ閃いた。だが、この方法には金属が必要だ。それも砂鉄を集めたようなものでないものだ
獣は今にも特大の攻撃を撃ってきそうだ、時間がない。
だが今俺は金属を持っていないし、紅魔館に戻る時間なんてない。
とっさに美鈴に無茶でも聞いてみた。
「美鈴さん!何でも良いんで金属を持っていないですか?時間がないんです!」
「金属・・・ですか」
良かった、まだ美鈴は反応できるようだ。
美鈴は仰向けになったまま「そんなものは持っていない」という雰囲気を出したが、すぐあとにポケットに手を入れ
「咲夜さんのナイフですが」
と言って、布に包まれたナイフを取り出した。
「使います!」
俺はそのナイフをもらい、すぐ美鈴の側を離れて獣の左側面へ行った。
なぜこんなことをしたか?
それはこれから行なうのは「フレミングの左手の法則」を用いて金属のナイフを獣にブチ込むからだ。
一応「フレミングの左手の法則」とは、人差し指・中指・親指を互いに直角に曲げ、金属に人差し指の向きの磁界で、中指の向きに電流を流すと、親指の方向に金属が飛んでいくというものだ。
よく聞く「レールガン」もこの法則を用いて弾を発射する物である。
まあ、ともかくこの法則を使えば比較的効率良く金属のナイフを飛ばすことができる。
ただ問題は、効率が良いといってもそれなりのスピードを出せば、熱や衝撃などが出るのだ。
美鈴の側でやれば恐らく美鈴に影響が出る。だから美鈴の側を離れた。
さあ、時間的にもチャンスは一度きり。
息を整え、獣の方を向き、ナイフを天高く真っ直ぐ投げる
そしてちょうどナイフが落ちてくるラインを挟むように両手を出し、右から左へ磁界が流れるイメージで力を固定する。
・・・うまくいった感覚がした
そしてナイフがその磁界を通った瞬間に上から下に電流を流せばナイフがぶっ飛んでいくはずだ
問題はさっき言った熱等だが・・・こればかりはどうしようも無い、とにかくどうにかなれとだけのイメージを持っておこう。
ナイフが天から帰ってきた。俺は神経を集中させ、ナイフが磁界を通る一瞬を待つ
「今だッ!」
磁界に入ったナイフに、込められるだけの電撃を、斬るように上から下に手を降り、放った。
ナイフに電流が流れ、磁界の力を受け、ナイフ全体が一瞬光った
かと思うと次の瞬間に物凄いスピードで、狙い通り獣に向かって光の軌道を描いて行った
ナイフが動いた瞬間に俺は重い衝撃波を受け、後ろにあった塀に叩きつけられ、痛みと極度の緊張からの疲れで正直動けそうにもない
(もう、絶対やらねーわ・・・)
そしてその衝撃波を放つほどのナイフはというと、動いてから1秒とかからない間に獣へと命中。それどころか、獣の左脇腹からその反対側へと突き抜けて行きそこからは赤い血が吹き出た。
さらに獣の意識が飛んだせいか、蓄えられた電撃がスパークし、鱗のようなもののいくつかはボロボロと剥げていった。
(・・・やった・・・か)
さっきも言ったように俺はもう動けそうにもなかった。俺は叩きつけられた塀にそのまま寄りかかり、目をつむった・・・
「・・・」
「・・・ン」
・・・何か聞こえる。
「・・・ズン」
音が大きくなっている。何かが近づいてくる足音のようだ。
「ズン!」
音が重い。美鈴のような体型ではない。
「ズン!!!」
あの獣のような大きさに合う足音だ。
俺はゆっくりと瞼を上げる。
1メートルほどだろうか。あの倒したと、殺したと思った獣が前にいた。
(・・・ああ、俺もダメだったか)
俺は獣をぼんやりと見る。睨みつけたいところだが、そこまで意識が働かない。
「ナゼ・・・ダ・・・」
獣の口が開いている。俺にはよく聞こえなかった。
次の瞬間だった
俺には何が起こったのかよく分からなかった。
獣は痛みを帯びた叫びを上げていた
よく見れば鱗が剥げた所に何かが刺さっている
「グ・・・グオォォォ」
獣はまだ俺の方へと近づいてくる
「あらら、ずいぶんとしつこいわね」
いつも聞いている幼い声が上の方から聞こえてきた。
「しつこい子は嫌われるわよ」
獣の上空にはレミリアが右手を高く上げ、紅き槍を振りかざしていた。
その後すぐに紅き槍は地へと堕とされ、獣に真上から襲いかかった。
また獣は一段と大きく痛みを帯びた叫びを上げる。が、ゆっくりとその叫びにも力が無くなり、崩れるようにその場で倒れた。
俺には獣の鱗のようなものの隙間からいくつかの小さな光が出ていくのが見えた。
「お疲れ様。頑張ったようね。」
幼き館主はその小さな手を俺に差しのべた。
俺はその手を取り、ゆっくり立ち上がった。
向こうでは咲夜さんが美鈴に手を差し伸べているのが見えた。
俺は美咲劇場は許さんぞおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!(吐血)
遅くなってすいませんでした
いや、ホントよう書けたわ。ここでぶっちゃけちゃうと、実はこの話は頭で練っていた頃には無かったんですよ。でも書いてるうちにここでもう一話バトルのようなものが欲しくなって、結果書いてしまったと・・・
さて、今回も行き当たりばったりで書いているので、何かおかしな点があれば言ってくださるとありがたいです。
あと、今回の話で出てきた獣ですが、まあオリキャラなので色々設定あるんだが、どこで書いたらいいだろうか・・・そのうちこの話の次あたりに差し込んでおきましょうか・・・