第13話:バカの扉
あらすじ
・ホームシック!
・また博麗神社へ!
・氷精!
「そうともいうわ、それよりあんた!早くこっから離れてよ、これから『なつでも湖はこおるのか』のじっけんするんだから!誰かいたらしゅうちゅうできないでしょ!」
「あ~んじゃそこ通してください」
どうせ通る道だし、それでいいだろうと思って言ったら
「何言ってんのあんた、⑨《バカ》なの?早くどっかいってよ」
お前に言われたかねーよ、と言いたかったがこの言葉を発した直後にチルノは両手を前に出した。すると俺の足元に野球ボール二個分くらいの鋭い氷の塊が飛んできた。さらにチルノは浮き上がり
「こーなったらじつりょくこーしよ!」
といってさっきと同じような氷の塊を大量に飛ばしてきた。
「ちょ、やべ!」
とっさに来た道ではなく、道のない森の方に逃げ込んだがもちろんチルノは追いかけてきた。
(湖から離れたらそれでいいんじゃないのかよ!・・・咲夜さん、夜に襲って来る妖怪よりも、昼に襲って来る妖精の方がやっかいです)
とりあえず森の中に逃げ込んだおかげでチルノの弾幕を避けることが出来た。ただ、チルノはまだ追ってきているので俺は森の中を走り続けた。
(たぶん、今の状況じゃチルノとは話し合えそうにないな。こうなったらチルノを気絶させるか降参まで追い込むしか・・・)
とりあえず俺は一度後ろをチラッと見てみた。するとちょうどチルノは腕を振りかぶって、危険だと思った俺は右に方向転換して避けた。正直言って、体力的にも走り続けるのは限界だったので、視界前方にあった大きめの木の陰に隠れた。
気配(寒さ)的にチルノは数メートルくらいのところで止まっているようだった。
「ようやくかんねんしたようね!」
いったん俺は呼吸を整えて
「誰が観念するか!」
とっさに木の陰から飛び出した。なるべく不意を突くように木の陰からいきなり飛び出して、チルノの浮いていそうなあたりにいくつか電撃を出した。何発かはいい方向に飛んでいったが、チルノに避けられた。
間髪いれずにもう一発弾を撃った。今度は避けられないように弾速を速くしたのにもかかわらず、またもや避けられた。
「さいきょーのあたいにはこんなの夜飯前よ!」
「それをいうなら朝飯前だろ」
「もー!うるわいやつねー!とっとこあたいが黙らせてあげるわ!」
「それはハムたr、って危ねっ!」
またチルノが氷の塊を何発か飛ばしてきたので、俺は近くの木の陰に隠れた。
「逃げたり隠れたりばっかじゃ、さいきょーのあたいには勝てないよ!」
確かにそのとおりだ、逃げ隠れはともかく、こっちは地面、向こうは空中、つまり避ける方向がむこうは上下が出来ると言う意味で一次元違う、この時点でかなりのハンデだ
(空を飛べないだけでかなり不利だな、このままだといずれ弾が当たっちゃうし、なんとか避ける手段を考えないと)
そう考えて、一つ思い出した。
(そういや、こっちに来たときに咲夜さんのナイフを止めたな、もしかしたら・・・)
「これで終わりよ!」
少し考えてるところだったので、俺は横にチルノがいるのに気がつかなかった。チルノは両手を前に出し、すでに車の半分くらいの氷の塊を作っていた。そして次の瞬間その巨大な氷の塊は俺の方へと放たれた。
ものすごくヤバイ、大きさ的にも弾速的にも避けられそうにもなかったので、さっき思いついたことをやるしかなかった。
俺は右手を前に出し、弾くようなイメージをした。どうにかなれ!という思いも入れて。
直後、氷の塊が俺の手に当たる。
・・・ハンパない衝撃だった。まあ、骨が折れるほどではなかったが、吹っ飛びかねないほどだった。
氷の塊は弾いたわけではなく、木っ端微塵に砕け散った。
俺にとってはキレイに見えたが、チルノにとっては悔しいことであった。
「もー!怒ったー!よーしゃしないんだから!」
こっちは衝撃で右腕が痺れているというのに、チルノは怒ってそこらじゅうに氷の塊を撒き散らした。
俺はまた木の陰に隠れた。
「また隠れてー!次出てきたら絶対当ててやるんだから!」
そういわれたが、俺には勝てる作戦が考えてあった。というかそこで思いついた。
名づけて
『⑨《バカ》に問題を出して気を引かせる作戦!』
というわけで実行
なるべく難しい問題を出して気を引かせようと思い、俺は
「3x-6=3 xの解は?」
といって飛び出した。
こうすればチルノなら確実に考えて動きが止まる。そうすればこっちは弾が当てられる。そう考えた。
だが思いもよらないことが起こった。
「x=3!」
あっさりとチルノは問題を解き、更に氷の塊も飛ばしてきた。
「え!?」
俺は飛び出した勢いでなんとか避けることが出来たが、それよりもチルノが問題を解いたことを信じることが出来なかった。
(あのチルノが・・・とっさに答えられないような問題をいともたやすく・・・)
とりあえず俺はまた木の陰に隠れた。
「残念だったわね!てんさいのあたいにはそんな問題は簡単よ!」
俺は木の陰で考えた。なぜチルノがあの問題を解いたのか。もしかしたら俺が見ていたチルノとは違い、もう少し頭が良かったのか?
やはりどうしても信じられなかったので、もう一回だけチャレンジすることにした。考えるのもめんどくさかったのでもっと簡単な問題をだすことにした。
「1+1=?」
俺はそう言って、また木の陰から飛び出した。
この問題を出したとき、二度も同じ作戦をしたら今度こそ負けるということを俺は考えていなかった。
さっきまでの流れから考えて、この問題をチルノが解けない可能性、この問題の影響で攻撃の手が止まる可能性、総合すると成功する確立は極めて低いのが分かる。
が、成功した。
「えっと・・・・・」
思いもよらずチルノは見事に作戦にかかり、困惑していた。
だが同時に俺も困惑していた。
(なんでさっきの問題を解いたんだよ!?
・・・
・・・
・・・って、今がチャンスなんだろ!)
そう思った瞬間に電撃を出したが、さっきの困惑のせいで、またもやチルノに避けられた。
「いきなりそんな難しい問題をだすなんてひきょーよ!」
避けたチルノはまた氷の塊を飛ばしてきた。さっきよりもっと簡単だよ!と突っ込みたかったが、俺はまた木の陰の方へ逃げようとした。しかし
・・・こけた。
さっきチルノが飛ばした氷が地面に刺さっていて、それに足をとられてしまった。俺はすぐさま起き上がろうとしたが、頭の上あたりからあきらかな冷気を感じた。
「さすがあたいね!よそーしたとおりだったわ!」
(絶対うそだろ・・・)
だが、今自分は完全に不利な状況にいる。何とか打開する方法を考えるが、体は地面に付き、手には砂を握っていた。
「これで終わりよ!」
チルノはとどめの一撃を放とうと手を俺に翳した。
そのときとっさに打開策が思いついた。正直言って出来るかどうかわからなかった、だが一応やってみないと分からない。俺は手を握り締め一気に起き上がった。
―――――
あたいは右手をかざして、しょーりをかくしんした
でも、あいつはいきなり起き上がって何かをかけてきた
「うわっ!なにこれ!」
かけられたものは砂だったらしい、その砂は体中にかかった
そしてあたいがひるんだときにあいつは5歩くらい離れて、また電気を3つだしてきた。
もちろんさいきょーのあたいにはよゆーで避けることができた
「はっはっはー!残念だったわね!」
「それはどうかな?」
「え?」
あいつはあたいの後ろのほうを指差した。
後ろを振り向いてみると、さっきかわしたはずの3つの電気があたい目掛けて飛んできた。
「え!?なんで!?」
あたいはその電気を避けたけど、通り過ぎた電気はまたあたい目掛けて飛んできた。
「何で!?何でー!?」
あたいは逃げるしかなかった。
―――――
・・・なんとか成功したようだ、まさかここまでうまくいくとは
「あんたいったいなにやったのよー!」
空で追いかける電撃から逃げながらチルノが叫んだ。
「誰が教えるかバーカ!」
教えても分からないだろうし、教えたら教えたで作戦の意味がなくなる。
まあ、この作戦は電気で磁界を操って砂鉄だけを集めてそれをチルノにかけた。というものだ、そして砂鉄がたっぷりかかったチルノに電撃を出すことで電撃が自動追尾弾となったわけだ。
どう磁界を操ったら砂鉄を集められるかなんて考えてなんていなかった。完全にイメージでやったのだ。どこかの誰かが「幻想郷では常識にとらわれないのですね」といったように、考えるよりもイメージでやったほうが成功するのだろう。
とりあえず、自動追尾弾となったのはいいが電撃がいつまでもつか、というのがこの作戦の問題であった。まあ、もし切れたとしても追加で電撃を出せばいい話なので俺はその場でチルノの様子を、正確にはチルノを追っかけてる電撃を見ていた。
すると、チルノが低空飛行をし始めた。しかもこっちに向かって飛んできている。だがチルノは後ろから追いかけてくる電撃に気を取られて、こっちには気づいていないようだった。そしてチルノは飛びながら後ろを向いて電撃に向かって氷を飛ばした。
電撃は消えたが、チルノが止まったのは俺の目の前だった。
「あー、あぶなかったー」
そして俺は
「さて、あいつ・・・は・・・」
チルノに手を翳した。
追記)この第13話は元第14話(弾幕ごっこな扉)と元第15話(バカの扉)と元第16話(氷精な扉)をあわせたものです




