執事の記録
災害が続いております。災害に見舞われた方にお見舞い申し上げます。
お身体を大切にお過ごしください。
「おまえはこのリリーに嫌がらせをしていたようだな。リリーがよく泣かされているんだ。そんなおまえとは婚約破棄だ!」
「わたくし、リリー嬢とは本日初めてお会いしました。どちらの方か、存じ上げませんが、婚約破棄、承知いたしました。」
今日は公爵家主催のパーティーがありました。
お嬢様は婚約者がお迎えに来られなかったので旦那様と奥様と一緒にお出掛けになりました。
ですが、始まってすぐお戻りになりました。
旦那様が仰るには婚約者がとうとう浮気に本気になり、お嬢様に婚約破棄を会場で宣言されたようです。
この婚約は財政難の先方が無理矢理押し付けてきたものであり、こちらは迷惑を被っていたのです。
お嬢様も嫌がっておいででしたので、こちらとしては喜ばしいものです。
が、やり方が気に入りません。ですので対応を間違えるわけにはいきません。
リリー嬢の言い分を詳しく調べた上で、婚約破棄をされた、ではなく、こちらには全く非がないことを証明しなくてはなりません。
どちらも容易いものです。問題があるとすれば、婚約者はその公爵家の三男であるがために、対応を急がないといけないことです。
解消もしくは破棄について、こちらから言い出すことのできない婚約でしたので、この機会を逃すわけには参りません。
かねてより準備しておりました、婚約者との面会記録、お嬢様の社交記録(婚約者、もしくはその他の方によるエスコートの夜会など)、婚約破棄に伴う慰謝料請求書類の確認を、旦那様にお渡しいたしました。
翌日、公爵家より呼び出しがあり、旦那様と私で伺うことにいたしました。
話し合いは少し難航いたしましたが、準備しておりました書類で、無事に先方の責任で婚約破棄が成立いたしました。
そして、お嬢様は幼馴染の侯爵家の方に付き添われてその方のお母上様のお茶会に顔を出され、婚約破棄について多くを語らず濁してお過ごしになられました。
リリー様には申し訳ないのですが、はしたない、嘘をつく方、と思われていることでしょう。
騒動が落ち着いた頃、お嬢様は幼馴染の方とようやくご結婚なされました。
誤解のないよう申し上げておきますと、かの公爵家から打診がなければもっと早くご結婚されておいででした。ですが、打診されましたので、仕方なくお別れになっておいででした。かの方とは違い、お二方とも誠実でございました。そのことは、重ねてお伝えしておきます。




