きらきら星を歌うのは……
『きらきらひかる』
きいちゃんのその後を少しだけ……
「きらきらひかる~」
私がいつもこのフレーズだけを歌っていたきらきら星。
今はセキセイインコがずっと歌ってくれている。
インコの名前は『ことりさん』。
私がパパとママに連れて行ってもらったペットショップで見つけた、白と水色の配色がとても綺麗で一目惚れしてしまった小さな家族。
その場でパパとママにお願いして買ってもらった私のお友達でもある。
当時はまだ弟の大晴は産まれてなかったし、引っ込み思案でもあったのでお友達がなかなか出来なかった私に、一人で寂しい思いをさせないためにと両親がプレゼントしてくれた。
とはいっても、まだ三歳だった私が動物のお世話をするなんてとても無理だったので、ママに手伝ってもらいながらことりさんのお部屋のお掃除をしたりごはんを用意したりと頑張っていた。
でも今はさすがに人間のお友達はいる。
だってもうすぐ小学生になるんだもの。
たーくんは保育園の二歳児のたんぽぽ組さんで私は年長のすみれ組さん。
ことりさんがうちに来てから三年が過ぎた。
たーくんがママのお腹の中にやってくるちょっと前に、私は事故に遭って入院したことがある。
その時私は何日も意識が戻らなくてパパもママも凄く心配してくれていた。
頭を打ったせいで気を失った私に、ことりさんを病院に運び込んで私を起こそうとした。
その時にことりさんが歌ってくれたのが「きらきらひかる~」だ。
ことりさんにずっと私が歌って聞かせていた「きらきら星」の最初のフレーズ。
私は初めて覚えた嬉しさで「きらきらひかる~」だけしか歌えないにも関わらずに飽きもせずにずっと繰り返し歌っていた。
そのフレーズをことりさんも覚えて私を目覚めさせるために歌ってくれた。
私が大好きな「きらきら星」は、たしかに夢の中で聞いていた。
病室で意識が戻った時にことりさんが歌って聞かせてくれていたとは思わなかった。
だからちょっとびっくりしたけど初めて聞くことりさんの歌声が可愛かったのと元気にブランコで遊んでくれているのが見えたので思わず笑ってしまった。
何日も意識が戻らなかった原因を調べてもらったけど何も問題はなかったらしい。
けど、私は実はちょっと心当たりがある。
神様のところに行っていたんだと思う。
夢で見た内容はもう大分忘れてきてしまっているけど。
ママのお腹の中に悪い子が入ろうとしているのを私が必死に押し止めていた夢。
私がママの赤ちゃんとして生まれてきてほしいのは悪いことをするような子じゃない!
その子は神様のところでも悪いことばかりをしている魂の持ち主だというのはそこにいるみんなが知っていることで、神様が目を離した時を狙ってママのように子供が欲しい人のお腹に入ろうと狙っているような狡い子だった。
順番を守らない子はダメだよ!とたくさんの魂が怒っていた。
騒いでいる私たちに気が付いた神様が「きらきらひかる」を歌うことりさんの声を聞かせてくれて、この歌が好きなたーくんを私に連れて帰るようにと急いで送り出してくれた。
悪い子は反省するまでは神様のそばにいるようにと叱られているのをちらっと見たのが最後だった。
とても不思議な夢だったけど、きっとこれは夢ではなかったんだと思う。
だってしばらくしてから本当にママのお腹に赤ちゃんがいるって分かったんだもの。
これは偶然じゃないと確信している。
だから夢の中でことりさんの「きらきらひかる~」が聞こえてきたんだ。
ということは、ことりさんは神様と何か関係しているのかな?
それくらい本当に不思議な夢だった。
私はちょっと痛い思いをしたけど、でもそんなの簡単に忘れてしまうるほどの嬉しい出来事がやってきたんだから。
ことりさんの正体は謎のままだけど、それで私はいいと思う。
「きらきらひかる~」
あ、ことりさんが歌ってる。
「きいちゃん!……きらきらひかる~」
あの夢の後からはことりさんが私の名前を覚えてくれた。
私の気を引きたいときには名前を呼んでくれる。
「ことりさん、どーしたの?」
「きらきらひかる~」
ことりさんが歌うと、
「きーやー、きーやー、ひーかーうー?」
たーくんがことりさんの歌声の真似をして歌ってる。
「たーくん!歌ったの!? 初めて聞いた! すごいよ!」
「……?」
私はびっくりしてたーくんを抱きしめた。
たーくんはなぜ抱き着かれたのかわかってないけど、私が喜んでいるのは分かったみたいでニコニコと笑顔をみせてくれる。
まだ上手に歌えないけど、きらきら星が好きだというのは本当なんだろうなぁ。
神様に送り出してもらったたーくんはすくすくと育っている。
私の可愛い弟。
きらきらひかる~をことりさんに教えてもらって、笑顔を家族にふりまいてくれる優しい私の弟。
「きらきらひかる」の紀伊ちゃん側の物語でした。




