ヘル・アウェイツ
フフフ、私は女神である!
人間たちにはイザナミとか言われてる。
人間界が楽しそうで、
娯楽に触れようと思ったのだが...。
あぁぁ...人間界はなんと過酷な事かっ!
働かざる者食うべからずで、
娯楽を楽しむにも金がいり、
金を稼ごうと働けば、
そこは地獄のようはブラック職場!
みな、8時間労働だと聞いていたが、
なぜ私は15時間も働いているのだ!
しかも残業代は出ない。
交通費も出ない。
月に15万で雇われ...あぁ...人生とは...一体...。
転職をした!月に25万だ!
だがしかし...世の中は甘くない。
社会保険に税金にと、国は強盗のように、しかも合法的にむしり取っていく。
これじゃ娯楽どころか生活も厳しいよぉ!!
っちゅうわけで、私はグレた。
グレにグレまくり、悪の道をただひらたすらに。
それもこれも、負担がデカすぎる!
なんで私が見ず知らずの者どもを養うために、金を持っていかれなくてはならんのだ!
そうして私は当初こそ、反対運動的な活動家だったのだが、反対運動にも金がかかる。
そこで違法なビジネスに手をつけまくり、
現在は日本最大の暴力団「女神組」の組長である。
なぜこうなってしまったのか。
今となっては戻ることもできやせんし、
ちょっぴり後悔してる。
警察に目をつけられ、
指名手配犯として暗躍する女神。
そんな私の日常をお届けしようと思う。
まず、私の朝は早い。
幹部に起こされ、会議だ打ち合わせだ取引だと今日の予定を言われまくる。
スーツに着替えさせられ、懐に銃を。
念の為だ。
そして、取引相手と麻薬の裏取引。
だが、大抵は銃撃戦になる。
女神としての力を使って、百発百中。
部下たちからもダーティ・ハリーならぬダーティ・メガミとして慕われている。
そして取引を終えて事務所に戻れば、
金勘定を咥えタバコでやる。
年商は約150億円。
金持ちになったが、貧乏癖が治らず、高級な物は苦手で、飯は唐揚げ弁当。
普段着はスウェットで過ごす。
クルマはベンツのSクラスを用意されてるが、
全然落ち着かない。
だから一応、個人のクルマとしてフィアットの500を持っている。可愛いヤツだ。
まあ、あまり乗らないが。
身の回りの世話は断った。
自分でしなきゃ気がすまないから。
と、言うものの掃除はニガテ。
すぐ、ゴミ屋敷になってしまう。
休みの日は大抵、ゲームしたり、アニメ見たりと、
インドアである。
あぁ...こういうことしたかったんだっけ?
こうなってくると、組長ということも忘れて、
またひとりに戻りたい。
私も人間のようにワガママになってきたのだな。
だが、組長を辞めることはできない。
一度言ったことはあるが、部下たちに大反対され、
めちゃくちゃ怒られたので、もう言いたくない。
あん時は怖かったな〜。
今は廃人、ニートなどの言葉が似合う。
今の状態を神界のやつらが見たらなんて言うかな〜。
まあそれはそれとして、ゲームの続きやろ〜...
と、思ったのも束の間...。
抗争勃発...。
チャイニーズマフィアとの抗争だ。
とは言っても私の仕事は殆どない。
組織を立ち上げたばかりの頃は私が先頭に立って率いていたものだが、
今となっては手打ちにするとかの時に、ちょっくら相手と交渉の場に行くくらい。
まあ...暇だ。
翌日、部下が部屋に入ってきた。
どうせまた手打ちの場に行かにゃいかんのだろう。
そう思ってたんだが...。
ガッツリ裏切られた...。
部下たちによる組長の怠慢に反乱が起きて、
クーデターである。
手打ちの場ではなく、勝手に次期組長会議が開かれ、
見事に全員が手の平返し。
私は一文無しと宿無しのホームレスへ...。
あぁ...人生とは、うまくいかんものだな。
神界に帰ろうかと思ったのだが、ホームレスになったから帰った等、言えん。
めちゃくちゃ陰口叩かれるのが目に見えている。
私はもう一度、人間界で上り詰める必要があるのだ。
なんでもいい。
とにかく分野はなんでもいいから、トップを目指すしかない!
そうと決まれば、まずは金だ!
バイトだ!
行くぞ!
350社受けて...全部落ちた...。
面接にスウェットはダメとか、
やる気が見えないとか、
色々言われたぞ。
この世界は不条理だな。不条理という言葉の意味は分からんけど。
街を歩いていると、気の弱そうな男の子がヤンキーっぽい奴らに絡まれていた。
これはチャンスだ。
救って、ヤンキーの代わりにカツアゲしたろ。
元女神をなめんなよ。
私は意気揚々と、ビルとビルの隙間に入っていく。




