13高貴な人々の反省会
その夜。王城奥の小広間。
恒例の「王家ラブラブ大作戦会議」が幕を開けた。
「……報告する」
アレクシスが羊皮紙を掲げ、深刻な声で口を開いた。
「第六回作戦、“自然なふれあい誘発計画”――失敗!?」
「やっぱりな……」
ユリウスは額を押さえ、ため息をついた。
「セリーヌ嬢、真面目すぎるんだ。作為を感じた瞬間に、すっと身を引く」
「そうなのよ!」
王妃がテーブルを叩いて立ち上がる。
「せっかく侍女たちが裾を引っかける段取りをしたのに!セリーヌったら、華麗にスルーしたのよ!」
「書庫の本も落ちなかったらしいな」
レオルドが冷静に補足する。
「正確には落ちたが、回避能力が高すぎて“資料整理終了”とだけ記録に残したそうだ」
「……ロマン皆無だな」
ユリウスがぼそりと呟く。
「ですが!」
王妃がぐっと拳を握りしめた。
「最後はあの人のお力で、二人は笑っていた!」
「そうですね」
アレクシスが小さく頷く。
「父上が“カイン、一緒に行け!”と自然に振って……」
「見事だった……!」
王妃がうっとりと目を細める。
「やっぱり最後に決めるのは、私のあの人ですわ」
アレクシスは羊皮紙の端にペンを走らせ、細かくメモを加えていく。作戦の失敗点や改善案を淡々と書き込むその手元には、次への期待が宿っていた。
「課題:セリーヌ嬢は真面目ゆえ、我らの小細工には鋭い感で避ける」
「補足:だが父上の豪快さには逆らえない」
「結論:父上最強」
「ただ、次回はどうしたものか…」
アレクシスのペンが止まる。
「今は我々を支えてくれている彼らたちがよく動いているから、しばらく様子見するのも手か…」
「無理に仕掛けるのではなく、自然に……ですね」
レオルドが補足する。
ユリウスは冷ややかに腕を組むが、内心では少し期待していた。
「……兄上の恋路、ここまで徹底して応援されてるのか。面白いもんだな」
王妃は小声でつぶやいた。
「ふふ、次はこうしてみようかしら……」
羊皮紙に記された失敗と改善案の列、その隣で笑みを浮かべる王妃。王家の夜は静かに、しかし確実に、次の作戦への期待を胸に深まっていった。




