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第3話 上がり続けるコストと止まらない支出増

 自分が農家を始めて7年目と言いましたが、その間、必要経費、コストは増大の一途をたどっています。


 例えば肥料などがそれです。


 自分が農家を始めた頃、よく使う肥料は1袋で3000円超えるかどうかという値段で購入していました。


 その同じ肥料が今や5000円を超えています。


 実に6割、7割の価格上昇であり、確実に経営を圧迫しています。


 燃料なんかもそうですね。


 かつてはレギュラーガソリンがリットルあたり120~130円ほどでした。


 しかし、今は180円を超えています。


 当たり前ですが、燃料が無ければ機械は動きません。


 レギュラー、軽油、冬場の暖を取るための灯油、使う燃料は様々ですが、どれもこれもこの7年で5割増の高騰です。


 他にも建築資材なんかの高騰がありましたね。


 コロナ禍前は丁度、東京五輪の建設ラッシュに沸いていた頃で、資材の発注も半年ズレれば値段が変わっているなんてことはザラでした。


 特にビニールハウスがそうでしたね。


 1年目に建てたビニールハウスは幅6m奥行15mのやつだったのですが、それが工賃込みで70万円弱でした。


 手狭になってきたため、3年目に同じサイズのを発注したのですが、値段は90万円近くにまで上がっていました。


 とにかく、値段がどんどん上がる。


 下がる事は一切ない。


 農業始めて7年、何もかもが値上げ。


 機械類も仕様は変わっていないのに、値段だけは最低でも2割3割は上がっています。


 上記しましたが、日常的に使う肥料や燃料なんかの値上げは、特に堪えます。


 頻繁に出ていくお金ですから、その値段が出ていくのは非常に厳しい。


 そして、定期的に出ていくお金で、特に大きいのが本作のお題目でもある支出、すなわち『人件費』です。


 人を雇えば、お賃金を払うのは当たり前。


 そして、これもまた上昇する一方である。


 ちなみに、私の農園では2年目から人を雇って作業するようになった。


 畑仕事はともかく、箱詰め梱包作業はどうしても人手と時間がかかってしまうため、雇わざるを得なかったのだ。


 ちなみに、お賃金は『時給800円』である。


 安い! と思った方は都会組。田舎の最低賃金なんてそんなもんである。


 ちなみに、人を雇い始めたのは2018年が最初で、当時の鳥取県内の最低時給は『時給762円』である。


 幹線道路沿いの●クドナルドのバイト募集が「高校生765円 一般780円」でしたね。


 それを考えれば『時給800円』は良心的かもしれない。


 最低時給ギリギリのラインを攻める職場が多い中では、という話ではあるが。


 さらに山奥の農家でフルタイムで『月給12万円』とかもあった。


 肉体労働フルタイムで月12万はないわ、と思うのは自分がまだ“都会の感覚”が抜け切っていない証拠だと今では思っています。


 それほどまでに、田舎の人件費は安いのだ。


 だから、ちょいと高めの募集があれば飛びつくし、もう田舎を捨てて、都会に出ていくのも納得である。


 次に時給を上げたのは2年後の2020年。


 そこでは100円アップの『時給900円』にしました。


 手っ取り早く人手が欲しかったので、大幅増にしました。


 農園もその頃が伸び盛り。イケイケドンドンな状態で、とにかく人が欲しかったためだ。


 『時給900円』の破壊力は凄まじく、すぐに人手も確保できた。


 それでも安い! と思っている方もいるかもしれないが、これでも“鳥取県内”では割とよい方だ。


 2020年の鳥取県内の最低賃金は『時給792円』であり、最低賃金に対してプラス100円という大盤振る舞い。


 周囲の人を入れている農家よりも、格段に高いのが我が農園でした。


 そして、次のアップが2022年で、そこで『時給960円』にしました。


 2022年はコロナ禍の最中でしたが、開放的な職場(笑)で見事な三密回避を成し、結局感染者を一人も出さずに乗り切れました。


 ここでの鳥取県内の最低時給は『時給854円』と、最低時給に対してプラス100円をキープ。


 この『時給960円』は2024年10月現在もそのままです。


 しかし、最低時給は急激に上昇しています。


 854円 → 900円 → 957円というのがここ2年の動き。


 とうとう最低時給に我が農園も追い付かれてしまいました。


 来年は再び賃上げだなと確信しております。


 『時給1000円』という大台も、いよいよ見えてきた田舎の人件費。


 この7年で最低時給も762円から957円に上昇しましたからね。


 僅か7年で200円に達する上昇。


 やむを得ない事とは言え、ここまで上昇してしまいました。


 しかも、お賃金ですから、人を増やし、作業時間を延ばせば、確実に増えていく出費です。


 このように、農家を始めて7年目ですが、出ていくお金、支出は膨れ上がる一方です。


 それに耐えきれなくなった方がドンドン“離農”していっているのが、田舎の現実と言う訳です。


 昨年までは畑だった場所が、今年は手入れも成されず草ぼ~ぼ~。


 それが今やご近所様の日常に成り果てています。


 重ねて述べておきますが“時給1000円”に達していない現状ですら、この有様なのですから、これが『時給1500円』になった場合どうなるかは、火を見るより明らかです。


 はっきりと言います。


 一部の大農園を除いて、農家農業は確実に崩壊します。

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