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第2話 農家の収入と支出

 『時給1500円の狂気』についてお話する前に、農家という職業の収支についてお話しようかと思います。


 当たり前の話ですが、商品の売り上げなどの入って来るお金が“収入”であり、材料や資材などの購入によって出ていくお金が“支出”です。


 そして、“収入”から“支出”を引いたものが手元に残るお金、すなわち“利益”。


 これで“所得”を計算し、それを元にして税金や保険料の算出が行われます。


 農家の場合は『農業用青色確定申告』で役所に届け出るのがいつもの話です。


 では、その“収入”と“支出”はどのようなものであるのか?


 農家の“収入”は言わずと知れた“農作物の売上金”です。


 畑で作物を育て、あるいは厩舎で家畜を育て、それを売ってお金に変えます。


 あとは各種“補助金”も収入に入りますね。


 逆に“支出”とは何か?


 入って来るお金は限定的ですが、出ていくお金は多岐にわたります。


 作物の大元である“種苗代”、それらを育てる“肥料”や“飼料”の代金、“農薬”もそうですね。


 あとは“機械”の購入や各種メンテナンス代、これがまた大きい。


 土地を借りていればその“賃貸料”も出ていくお金です。


 あとはJA(農協)に支払っている“出荷資材代”や“出荷手数料”も、年間通してだと凄まじい金額になります。


 何気に“保険料”も大きい。


 これも経営を圧迫する事なのですが、窃盗・・が後を絶ちませんし、ここ最近では異常気象による収穫量の減少に頭を抱えています。


 保険未加入など、すでに農家の中では“論外レベル”なのです。


 そして、本作の主題にしている“人件費”もそうですね。人を雇えば賃金を払うのは当然ですし、毎月必ず出ていくお金です。


 ちなみに“賃金”と聞いて、“払う”のか、“貰う”のかで、経営者と労働者の住み分けが出来ますね。


 私は、というか農家は“両方”の感覚を持っています。


 肉体労働に自らも従事しながら、人を雇っているので賃金を払っているためです。


 とまあ、農家の仕事で出ていくお金も、ざっと言っただけでこれだけあります。


 これに加えて“家計費”などの、日常の支出も考えねばなりません。


 そうなると、さていくらが手元に残るかな?


 貯金や積み立ての余裕ある?


 ありません。結構カツカツです。


 農家に付帯するいくつかの優遇措置が無ければ、かなり厳しいというのが現状です。


 特に厳しくなったのはコロナ禍以降であり、ウクライナ戦争でそれが加速した感じでしょうか?


 私自身は元々は大阪京都で育ち、就職もそちらでしたが、いわゆる脱サラ農家として鳥取に引っ越し、白ねぎ農家に転じた口です。


 農家になって七年目ですが、それでもこの七年は色々と大きな動きがありました。


 長い蓄積のある先輩農家とは違い、まだまだ経験が浅いとも言えますが、それでも劇的な変化はありました。


 消費税の増額、燃料や肥料の高騰、そして、本作の主題である人件費の上昇。


 出ていくお金、いわゆる『コスト』というものですね。


 産業に携わっている方であれば、必ず計算に入れておかねばならない最重要案件、それが『コスト』です。


 コストを計算に入れて物を売り、儲けを出すのが商売ですから。


 コストがこれくらいかかるから、売値はこれくらいでないと利益が出ない。こう考えるのは、経営者なら当然の発想です。


 経費をケチってはいい仕事はできませんが、それでもコストをできる限り抑えたいのが経営の基本。


 削るべきところは削らねばなりません。


 もっとも、削ってはならない部分まで削って失敗をやらかす経営者もいたりしますが、それは厳に戒められるべき案件です。


 そして、かかるコストの内、最も削り易いのが『人件費』なのが厳然たる事実。


 コスト削減と考えると、まず真っ先に削る箇所が『人件費』ですから。


 次話では具体例を挙げて、農家農業のコストや支出について解説いたしましょう。

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