第5話 現代知識チート……なの?
前回のあらすじ
うわっ···私の適性、低すぎ···?
―「いただきます!」
おやっさんの教えに従い取りあえず好き嫌いなくご飯を食べることから改善しようと思ったのだけど……。
「うげぇ……苦ぁ……。」
ピーマンみたいなこの野菜死ぬほど苦いんですけど??てか味付けとかないの?素焼きってバーベキューかよ!!!!!
前にも食事に対する違和感を感じていたけど、自領に戻ってから更にそれは強くなっていた。
いや常に豪華な料理とかを期待してたわけじゃないよ?日々の食事は家庭的なものになるのは覚えてたけど、オムライスとかそう言った料理はちゃんと味付けしてるのにそれ以外の野菜は焼くか生かぐらいだし、スープもなんか味気ないというか味が無い?これがミネストローネとかになるとちゃんと味が整えられてる。
ゲーム世界だからそのへんの設定が曖昧なのかな?
「あぅぅぅ……。」
しかめっ面でも美少女だな私と、鏡の様にピカピカに磨かれた食器に映る自分の顔を見て現実逃避する。前世だとピーマンぐらい余裕で食べられたはずなのになぁ。
これが、これが子供舌だというのかぁぁぁ。
「む……無理しなくてもいいのよ?」
最初の一口が飲み込めずに四苦八苦している私に、母のラヴィーニアが心配そうに語りかけてきた。
「いぇ……大丈夫です……お母様……これも立派な……龍葬騎士に……なるためです……。」
そう言って気合いで飲み込む。
「おぉ……。」
「頑張ったね、偉いぞ。」
お父様とお兄様に褒められる。うぅむ、なんだか照れくさいな。
―「それはそれとして!ですわ!」
バァンと調理場の扉を勢いよく開けると、その大きな音に料理人達がびくっとする。
「お嬢様、何か御用ですか?」
近くにいた料理人がおどおどと聞いてきた。
「えぇ、食生活の改善に来ましたわ。」
「へ?」
「作りますわよ、調味料を!」
―「と言っても、そんな難しいものを作るつもりはないけど……。」
料理人達が興味津々に見に来ている。
「用意するのはお酢と塩、胡椒、砂糖、オリーブオイル」
私は用意した調味料を混ぜた!そして生まれる液体!必殺の調味料!その名を!
「こっ、これは……!?」
その名を!その名を!その名を!その名を!その名を!
「フレンチドレッシング〜!」
いやもったいぶったけど一番ベーシックなドレッシングよね。
「料理長……これは行商人がたまに持ち込む調味料に似てますよね……?」
「へ?」
あ、存在自体は知られてるのね。と言うかたまに?持ち込む???
「あぁ、たしか国境の小さな村付近のドロップ品だったか?」
ん?ドロップ?不穏な単語が……。
「あ、お嬢。自分レシピ持ってるんで試していいっすか?」
おっとここで料理人Aが名乗り出てきたぞ。そしておもむろに野菜を取り出して……
「いいけど何を……?」
「へへっ。見ててくださいよ。」
小さな魔法陣が野菜とドレッシングを包んだと思ったら次の瞬間にはそこにサラダが出来ていた。
「……どうやら本物みたいっすね。」
「驚いたな。魔物産の食品が人の手で作れるとは……。」
「これで素焼き野菜生活とおさらばですね!!」
私を置いて料理人達がワイワイしているけどどういう事???
「お嬢!凄いっすよ!これ世界変わるっす!」
「だがこれは下手すると地方の産業が……。」
「俺、お館様に報告に行ってきます!!!」
「待って待って待って、私何やったのか全然分からないんだけど……。」
「お父上に聞いてみるといい。我々では……そのうまく説明出来そうにありません。ただ、お嬢様がやった事は間違いなく世界の常識を変えてしまう。それだけは確かです。」
確かにオレツエーや日本の知識でチート生活はちょっと期待した所あるけども……。
「えぇー……。」
こんな私何かやっちゃいましたか?は嫌だぁーーー!!!
―「魔法無しに、ドロップ品を作った?」
お父様がかなり驚いている。頭抱えてるよ。
「えっと……お父様?私何が何だか……?」
「そうだな、ティナ。普通食品や調味料というのは、倒した他の生物からドロップさせて手に入れるんだ。それを料理魔法が使える人間が合成して私達の食卓に料理として出てくる。」
うわぁ……すごくゲームしてる。と言うか乙女ゲーだと思ってたけどこの世界もしかしてロープレなん?
「もちろん、ドロップする相手はある程度決まっていて牛や豚型からは肉。植物型からは野菜。不定形からは調味料と言った感じだ。もちろん食材以外もドロップする。」
ほぇ~……ランダムドロップとかマジでロープレですよやん。
「レシピも料理ギルドが作った物をスキルブックとして出し、それを料理魔法持ちが覚えることで使える様になる。」
「私、料理魔法なんて教わってないのですが……?」
「そう!そこなのだ、調味料や食材で料理を作ることはあれど、調味料を組み合わせて既存の調味料を作る。それをドロップ品として売っていた地方の村の特産品が一つ無くなるという事になる。」
「もうこれは一家庭の問題ではなくなった。すまないが、また一緒に王に会いに行くことになるだろう……。」
「せっかく戻ってきたのにーーーー!?」
私は頭を抱えて絶叫するしかなかった。