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第1話 サイアクの醒 -Awakening-

前回のあらすじ

仕事の疲れでうっかり溺死した私の運命やいかに?いや死んでますけどね……

―「ここは……?」


気が付いたとき、私は何かの膜に覆われていた。周りは暗く何も見えない。外に出れないか探ろうとしたとき異変に気が付いた。


「手が小さい……?うっ……。そうだ……(わたくし)は……。」


確か、貴族の子女が一同に会する最初のお茶会それに参加するために領地から馬車に乗って王都に向かう途中で……。


「敵襲!伯爵とお嬢様を守れ!!」


「直上!初弾放て!!」


「竜種確認……馬鹿な!?竜種は皇帝級!!火龍です!!!」


馬車の外が騒がしくなり護衛の兵士たちが慌ただしく対応しているようだ。


「まずい!我々の装備では……!お逃げください!!」


直衛の兵士が叫んだ次の瞬間、私達の乗った馬車は衝撃と共に吹き飛ばされた。


「お嬢様ーー!!!!」


そして砕けた馬車から放り出された私は


「あっ……。」


馬車を破壊した竜に飲み込まれたのだった。



―「前世の記憶思い出すのが死の間際って転生特典にしてはハードモード過ぎない?ねぇ?」


朧気だった意識もはっきりとしたが、絶望的な状況であることは変わりない。

どうやらこの膜が竜の消化液から身を守ってくれているらしい。


「このネックレスが防御魔法を張ってくれてるのね……。痛っ!」


ネックレスが光り輝いているが、その光も目覚めた直後より少しくすんできている。どうやらこの防御膜も無制限ではないみたいだ。消化液が染み出してドレスや肌を焼いていくのを感じた。


「抵抗するにもこの体じゃ無理よね。詰んだー!転生直後で詰んだーーーーー!!!」


正確には転生直後ではないがそんなことはどうでもいい。一つ確かなのはこのネックレスが魔力を失ったとき私は竜に消化されて死んでしまうということだけだ。


「誰か助けてぇぇぇぇぇーーー!」



―「街道警備隊はまだなのか!!」


娘に持たせた魔道具はあくまでも対盗賊用だ。長時間の稼働に耐えれる魔力は貯蔵できない。早く竜を退治して救出しないと手遅れになる。


「この付近にはレアーシ級の他にレアービ級ミゼリコルデが配備されていたはず。あの速度ならそろそろ……。」


その瞬間空に影が現れ、落下の勢いのまま目の前の竜の頭に剣を叩きつけた。


「来たか!」

「街道警備隊のロベルトです!これより竜の迎撃に入ります!」


巨大な体が竜に向かって突撃した。



―「何々!??!」


そろそろ終わりが近いかなぁとか考えていた私は突然の地殻変動に叫びながらただ振り回されていた。


「これはもう駄目かもしれない!」


肉壁に叩きつけられ膜もさらに不安定なっていく。死を覚悟したその時……


「あっ……?」


私は宙を舞っていた。



―「ぐっ……流石に硬い!!」


ミゼリコルデは軽量な装甲に背中の飛行ユニットで機動力を武器に戦う機体だ。目の前の竜相手には火力が足りない。落下の勢いを乗せた最初の不意打ちでさえその鱗に傷一つ付けられていない。


「娘が!娘が飲み込まれているんだ!早く助けないと!!!」


どうやら考えている余裕はないらしい。ロベルトは意を決して力を込める。


「うおぉぉぉぉっ!」


竜の腹部にめがけ全力で飛ぶ。その勢いのまま肩から竜に体をぶち当てた。


「ぐぎゃぁぁぁ!?」


竜の口から何かが飛び出す。魔力の膜に包まれたそれをキャッチし着地する。


「その子を連れて早く下がって!」


父親に子供を託し、再び竜に対峙する。しかし


「逃げた……?」


先程の体当たりが効いたのか、竜はその場を飛び去っていった。



―「公爵、お怪我は?」


「私は問題ない。だが、娘が……!」


竜から吐き出されたその娘はドレスも破れ、肌の一部は消化液を受けたのか爛れているように見えた。


「お父様……私……助かったのですか……?」


「あぁ、竜はもう去った。安心するといい。」


伯爵が優しく抱き上げ頭をなでている。


「怖かった……怖かったわ……!」


ボロボロの少女は父親に縋るように抱きついて泣き始めた。


―こんなに泣くとは自分でも驚いた。前世はアラサーだったはずだが肉体に精神も引っ張られているのかもしれない。

それよりも前世の記憶が思い出されたからか、頭が重い……。様々な情報で頭の中がぐちゃぐちゃにされた感じだ。


「あのロボットは……?」


それでも目の前のロボットが気になってしまうのは、前世の自分がロボットをこよなく愛していたからだろう。


「ロボット……?聞いたことがない名だな。あれは、龍葬機兵(ドライスフレーム)·ミゼリコルデ。この国を守る盾だ。」


「龍葬……機兵?……っ!!?」


聞いたことがない名前に困惑する。そして一際大きい痛みが私の意識を刈り取った。


「ティナ……!?アールティーナ?アールティーナ!!!?」


公爵の悲痛な叫びが響いた。

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