111-115
111無駄遣い
スーパーの店前で露店を出している
プリン屋さん
値段を見るとケーキより高い
高級プリンだ
まったく人がいない
売れていないので
買ってみた
金の無駄遣い
心の無駄遣い
店員との陽気な無駄遣い
お釣りで二千円札をもらって
無駄遣い
無駄遣いを
無駄に遣って
もう無駄がありません
てことになればいいが
無駄はどこまでも
遠くに行っても
無駄はあるのだ
無駄に気を使う人はいない
でも無駄に気を使って
生きていると感じるから
しかたない
112こころ
こころに響く
怒鳴り声
こころに伝わる
朝食の呼び声
こころに届かない
かなしい気持ち
こころにいすわる
傷を抱えた都会の鳩
113狐の嫁入り
空を見上げれば
雲の中に
湖があって
一艘のボートが
木の葉のように
揺れている水面
反射するグレーな街並み
小雨が狐の嫁入りのようで
たぬきが嫁に行ったとの噂話
たぬきの新郎が好きなのは
狐の女の子
114お灸
お灸をすえる
急を要する
お休に要する時間
尾久の細い道に倒れる芭蕉
一句
二句
サンクス
115きもち
ドレミのつぎは
ソラシド
ファ?
と言わせたい
あなたにきもち