割とサクサクと行けた
久しぶりの冒険者ギルドへ来ると、こちらも色々と新しくなっていた。
木製が使われていた場所がほぼなくなり、外でも見かけた機械がふんだんに使われた未来的と言えばいいのかそんな感じの施設だ。
受付カウンターにいる受付嬢も見たことのない腕時計のような機械、カウンターには薄い板状の機械、ロビーにはデカい画面がある。
本当に未来に来たんだな…と改めて実感させられる。
「いらっしゃいませ、見ない顔ですね?」
「すいません、ここの冒険者ギルドは初めて来たので。」
「冒険者登録ですかね?」
「はい、是非宜しくお願いします。」
「では、こちらのタブレットに記入をお願いします。」
使い方は知らないはずなのに直感的に使えると言われたのでそのまま操作していくとその通り直感的に使えた。
「えーと…お名前がアルセイル=フェノメノン?偽名はダメですよ。過去の英雄様のお名前を勝手に使ってはいけませんよ。」
あーそうか…何も考えずに本名で書いてしまった。
今から偽名を使うのも難しそうだし…過去のギルドカードで許して貰えへんかな?
自分のギルドカードを手渡す。
「これで本人確認になりませんかね?」
「えーと…え?これは…!?ちょっとお待ち下さい!」
受付嬢は慌てて奥へと消えていく。
すると、偉そうな男の人が奥から出てきた。
「アンタ、ちょっとついてきてくれないか?」
「あっはい。」
その人に言われてついていくと客間へ招待された。
「アンタ…本物のアルセイル=フェノメノンみたいだな。今は使われてないギルドカードだが、俺は見てすぐにわかったよ。これを見てくれ。」
「ん?」
それを見せてもらうと当時の勇者「アーク=ラインハルト」のカードだった。
「アーク!!」
「やはり、そうか。いつか、現れるアルセイルのために当時の勇者様がこの時代に現れるアルセイルのためにこれを保管しておいてくれと。アルセイルはついうっかり本名で書いて疑われるからその時に昔のギルドカードを出すからと。」
「あいつ…この展開を読んでいたのか。」
「俺もギルド長に就任してきた時、これは俺のタイミングで必要になるかもって前ギルド長に言われてたが、マジで必要になるとは…な。」
俺は何故か懐かしくなった。
「アーク…ありがとう。」
「俺はギルド長のレイブン=アースって名前だ。その本物の昔のギルドカードを見るに賢者アルセイル様とお見受けした。先程の無礼をお許し頂きたい。」
「いえ、大丈夫だよ。」
「では、本題を話させて頂きますと多分お金や衣食住に困っていらっしゃるのですよね?」
「はい…」
「でしたら、こちらで用意させていただきます。もちろんランクは当時のままで結構です。」
「いやそれは…いいのか?」
俺はE〜SSSまである中のSSSランク冒険者だぞ?いきなりそんなのが現れたら大変だろ。
「ええ、これは我らの方で決まっていたことなので。それにそんなに時間的にも経ってないと思いますので、当時から現代に来てからそこまで時間が経ってないなら恐らくは現代のSSSランクより強いかと。」
「どうしてそんなことが言えるんだ?」
「簡単に言えば、貴方様に比類する魔法使いは恐らくは現代にはいないですし、あの頃の魔王との戦いは現代にも話が伝わっでいるのです。その伝説のお方なら、戦争もないこの時代なら現代基準のSSSランクより優秀かと思われます。何より、その証拠に冒険者をやっていた自分からしても勝てる気がしません。自分は当初はSランク冒険者でしたが、戦わずにして格の違いを思い知らされています。」
「いや、この時代はすごい。魔術が本当によく考えられているよ。俺に比類する魔法使いはいると思うよ。」
「ちなみに、これからは何をする予定で?」
「俺は魔術大学に行く。」
「ほう、それはどうしてですか?」
「現代の魔術をしっかり学びたい。俺は現代の魔術をかじる程度しか理解してない。だからこそ、知りたいんだよ魔術を。」
「なるほど、流石は英雄であられる方だ。」