格の違い
「アンタ、強いんだな!」
「魔術に関しては負けたことはない。いや、なくはないが…公式ではないな。」
「じゃあ初敗北にしてやるぜ!」
アイオライトは自身に電気属性を付与している。
あぁ、エリクト家特有の使い方だなこれは。
電身到来。
物理と魔術の融合した術式。
電気属性付与した上で身体能力の向上、電気魔術に関する魔術の展開速度向上。
効率を重視した魔術式。
俺の使う魔術を見ていたなら…きっと攻撃系の魔術無効化されると判断したのだろう。
じゃあ、同じ土俵で戦ってやるか。
「再魔法構成。」
俺は電身到来を発動する。
「なっ!?何故使える!?」
「エリクト家とは何度もやり合ってたからな。初代とは楽しかったなぁ…お前は何を魅せてくれる?」
「へっ、だからといって俺より強いとは限らん!」
アイオライトの言いたいことはわかる。
自分がよく使ってる魔術の方が洗練され、使い慣れてると言いたのだろう。
それは間違いない。
だが、一つ彼は勘違いしている。
「それは同じ格の魔術師の話だろう?」
体術で殴りに来ている。
だが、遅い。
俺は片手で止めた。
「なっ!?」
「お前、本当にエリクト家か?初代の方がもっと鋭い上に速かったぞ?」
晒した隙で腹に一撃を叩き込む。
相手は吹き飛ばされるが、そのまま俺は相手が地面に着陸する前に更に背中へ一撃叩き込む。
そう、一人キャッチボールのように何度も攻撃した。
飽きたので、次の一撃で地面に叩きつけた。
「ガハッ!」
「弱すぎないか?」
「なんで…俺より速度と練度が高いんだ?おかしいだろ…」
「お前は大きな勘違いをしている。使えば使うほど魔術の理解度が高まるのは有名な話だが、魔術の術式をちゃんと研究した上で使っているか?」
「え?たくさん使えばいいってことじゃないのか?」
「なるほど…あいつも可哀想だな。初代エリクト…いや、トール=エリクトが開発した魔術をこんな愚か者に使われるなんて…報われないな。」
「なんだと!馬鹿にするなよ!初代様が素晴らしいのは間違いないが、俺は初代様に恥じない使い方をしている!!」
「そうか…なら全力を見せてみろ。」
「なら見せてやるよ!電次加速!」
ほう、音声認識で何か使ったようだな。
見て解析すると、魔力を更に消費している。
あぁ、更に速度と魔術の最適化を行っているな。
しかも、魔術的な妨害を受けないようにプロテクトをかけている。
つまり、初代の術式に魔力を増やして自分用に使いやすくカスタマイズしているのか。
しかも、それだけじゃなさそうだな。
纏っている電気が剣の形をしている。
電気の剣を作ってリーチを作っているのか。
制約を掛けてもいるな。
魔術が電気魔術以外が何も使えないようにしている。
魔術制約を掛けて更に特化させることで強化しているのか。
制約強化か、なかなかいい使い方だな。
基本的な汎用性を落として、電気魔術関連に絞ることで魔力消費や魔術強化出来るようにしている。
刹那、気付けば後ろにいた。
「見えるか?この速度が!」
俺は相手から背後の攻撃しゃがんで回避する。
そして、そのまま蹴りを入れようとするが相手も回避する。
「いい反応するな。」
「舐めるなよ!!」
何度も高速で電気の剣で攻撃する。
しかし、難なく回避する。
先程よりは大分改善されている。
攻撃に転じるのも少し難しくなった。
だが、電次加速には致命的な弱点がある。
どんなに効率よく発動しているとはいえ、電身到来と電次加速を同時発動している。
つまり、魔力消費はかなり高い。
長期戦には向かないだろう。
だから、5分もすれば…
「クソ!当たらねぇ!なんでだ!」
術式のせいで魔力が少なくなってきて、集中力や体力をかなり削られる。
その証拠に動きが精細さに欠けてきている。
「やはり、見ていて思ったが…面白いが、未熟。電身到来をちゃんと使いこなければそもそも電次加速はいらないな。使うとしても、相手に通じないと感じたならすぐに別の魔術を発動して対策する。もしくは、消費を抑えるなり何かしらの別のアクションをすべき。現に残りの魔力がかなり少ないだろう?ここからどうする?勝てるのか?もしくは一矢報いることはできそうか?」
「うるせぇ!考えてらぁ!」
魔力の消費が上がった。
次の一撃で決めるつもりなのだろう。
最速かつ最大の一撃なのだろうが…
「それでも遅い。」
確かに今までの中で最速かつ最大の一撃であった。
だが、それだけだ。
捉えることは可能な領域だ。
一点集中で魔力の塊で攻撃される腹への攻撃を無効化した。
「なっ!?」
「わかったか?俺とお前の格の差が。他の魔術師よりはお前は優秀なのだろう。だが、その驕りゆえに対策等の考えまで至らないのだろう。そして何より…考えが浅い。魔術師なのに思慮がなさすぎる。才能だけで戦うのは三流。俺の時代で才能のない魔術師は才能がない者は努力と工夫を。才能があるものは努力と対策を。お前は才能はあるのに…才能だけしか伸ばさないのは愚か。自身の魔術に対して対策されている場合にどう動かないといけないか考えてないのか?」
「クソ!」
図星を突かれて、かなり苛ついている。
「俺の勝ちでいいか?この後、どうすることも出来ないだろう?」
「あぁ…」
まぁ…この時代は平和な時代というのもあるのだろうな。
何せ命は掛かってないからな。
そこまで深く考えなくてもどうにかなってしまうのだろうな。




