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夏のホラー2023『帰り道』

落ちる

作者: 家紋 武範

 退勤時間が来て、溜め息をついてタイムカードを押す。ああ、早く帰りたい。

 ウチの会社はビルの13階のフロアを借りてある。そこそこ大きなビルなのでたくさんの人が出入りしている。

 そのため、退勤時間のエレベーターは大変混雑するのだ。

 若い連中や、健康重視の重役は階段を利用するが、その元気はない。

 まるで満員電車の如くの鮨詰め状態のエレベーターが三基、ピンポイント激務状態となっていた。


 その日の帰宅時間、急いでエレベーターホールに来ると、なんと三基のエレベーター中、二基がメンテナンスで我々が乗れるエレベーターは一基しか残っていなかった。


 かなりのエレベーター渋滞。ため息をつきながら順番を待つ。そもそも、下に行ったエレベーターが、最上階優先なのが腹が立つ。お陰で我々が乗る頃には満員に近く、乗れるのは一人、二人だ。


 若い連中や、年の近い連中までも階段を選んで消えていく。

 ライバルが減ってホッとするものの、まだまだ人はいる。そして安定の満員。誰にも当たれない怒りが込み上げてくる。


 だが、汗を垂らしながら一時間、ようやく順番が来た。俺は満員にほぼ近いエレベーターに乗り込む。


「ビ──」


 満員を知らせるブザーが一度だけ。しかしそれは消えて扉の閉められる状態になった。今日、何度もぶつかった光景だ。


 扉が閉まる瞬間、メンテナンスの二基の前に置かれた看板に書かれた文字が見えた。


『老朽化によるメンテナンス中』


 それで扉は閉まる。途端に『ガタン』と激しい異音が聞こえた。


 老朽化? 老朽化だって!?

 エレベーターが設置されたのは同時期のはず。それが一基だけ例外ではない。これを今日、こんなに酷使していたら──。


『ブツン! シュル シュル シュル』


 その刹那、電気が全て消え、エレベーターはスピードを増して一階へと……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] グッとリアルな恐怖ですね。「あるある」の感覚、凄くうまく使われていると思います。 [気になる点] 特にありません。 [一言] 「ゾンビ」なんかもそうですが、ホラーにエレベーターはつきもの。…
[良い点] 私は落ちるのより閉じ込められる恐怖の方が大きく、10階程度の階段だと歩きますね。
[良い点] もしかしたら……そんな恐怖を感じさせてくれる作品でした。 [一言] だから私は階段しか使わないんです……
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