拾わなきゃ良かったかも…
もしかしたら前話と内容は急に変わっているのかも知れません、軌道修正は貴方にかかっているのだよ。
そして、俺──グレン・アルスバルの旅が始まった。
今頃軍の連中はパニック状態だろう。
してやったりってとても晴れやかな気分だ。
しかし、今は悠長にしてる場合ではないだろう。
さっさとこの国から出ないと俺はすぐに捕まり、軍の連中にそれはもうひどい目に合わさられるだろう。
しかし、逃げ続ければ何も問題は無い。
人の噂も75日というように、いつか俺の事も綺麗さっぱり忘れてしまうだろう。
その時戻ってくれば良い。
まぁ正直、別に本気で辞めたがっている訳ではなく、今まで消費すら出来なかった有給を使っているだけの事だ。
そう心の中で言い訳をし、国から出た直後に感じたネットリ見られているかのような視線や不気味な笑い声は聞かなかった事にした。
軍を辞めて、国を出ると豊かな自然と平凡な地形が辺り一面に広がっている。
基本的に馬車等は使わない。
走った方が速いし馬車を使うと一秒で隊長に追い付かれるからだ。
まぁ、今は結構マジで走っているのもあって二次被害が避けられないのは致し方無いだろう。
後日、俺が走った所は平凡な地形はボロボロになり、家の窓ガラスが突然割れて、走っていた馬車は吹き飛ばされ、その振動で冬に冬眠していた魔物は見事に起きてしまったのだとかいないとか。
ーーと走っていると、視界に一部に変な色が混じっているのを確認に、そこに向かった。
向かって見ると、雪に埋もれて分かりにくいが、どうやら子供が道端で捨てられていた。
青髪で長い耳をしたガキ…恐らく8歳、9歳だろうか。
しかし、良い面をしている。
土や泥…雪で汚れてるとはいえ相当なびしよと言っても過言ではないだろう。
後五年もすれば立派な美しい美貌をてにするだろう。
そういえば、何処かで類は友を呼ぶという言葉を聞いた事があるような気がする。
こいつ育てて、美女にさせれば色んな美人を連れて来るんじゃ無いのか?
軍隊は見た目は良くても血生臭いガキしかありゃしない。
その点、汚れを知らなそうなこのガキは丁度良いかもしれない
……まぁどっちにしても捨てて置くには惜しいか。
そうしてこいつを旅に連れていくことにした。
前の職場がある国の隣国、リンゴーク国
市場が非常に多くデカく文化も相当発展してて、観光や市場と言ったらここの名前が挙がる程有名な国のだ。
市場には魔導書や魔導具、杖や剣なども良い奴が多いので軍でも割りとお世話になっている、まぁその理由は後に話そう。
お金は無いので激安の宿を見つけ、店主に苦笑いで対応されたが宿に泊まる事が出来た。
あの店主…もしかして俺がこのガキを拐って来たと勘違いしてんじゃないのか?
まぁ良いか。
それよりも大事な事は、こいつをどうするかだな。
長い青髪のエルフ。
全速力で担いで移動している最中に起き、急に抵抗されたため危うく殺しかけた奴だ。
まぁこっちとしても死なれちゃ困るので、滅茶苦茶説得はした物の、言葉では信用出来ないと言われたので、何度も土下座と靴なめなめしていたり、胡麻すりしてヘコヘコしたりして、頼み込むと急にニヤリと変な顔になり、機嫌が良くなったのかこいつは鼻歌歌いながら俺に罵声を浴びせて来た。
全速力の走りを見せこいつを恐怖に陥れようとしたが何故か耐えられてしまったのが今でも悔しい。後で絶対泣かせてやる
宿に着くなり多少の動揺は見せたものの、その度に土下座と靴ペロペロで許して貰えた。
宿について話してみると、もう既にこいつの性格は終わっていて、厄介者を拾ったと実感する。
こいつの名前は、マリー・■■■■■というらしい。
とりあえずマリー様と呼ぶとご機嫌になる事は分かった。
両親の事と故郷の事は一切教えて貰えず、聞くと暗い顔になるのでそこら辺はスルーした。
家名は何回聞いても聞こえなかったので不問とする。
どうやらこいつの性格はTHE★ドSという性格らしい。
本人は自覚が無いらしいので余計にたちが悪いのが欠点だ。
さっきの、年上で男性である俺が弱気でヘコヘコしてる姿に何か謎の感覚を覚えたらしい
エルフの世界では男は皆狡猾かつ慎重で誰も弱みを見せなかったと何処かの本で見た。
初めて見たヘコヘコしてプライドは一切無さそうな男。
何かドツボにはまってしまったのだろうか?
まぁ、元々ドSの才能はあったらかもしれないのでどのみち変わらないか。
『何か…背中がゾクゾクするような…こんな感覚、ボクの故郷でも知らなかったんだ…でも君がボクをおかしくしたんだよね…なら責任を取らないとイケないよね?』
正直、こいつには、いつか大人の怖さと隊長に見せた技を使う日が来るのだろう。
しかし、今は使うべきではないと直感で理解する。ここでもし、それをしてしまったら心が耐えきれず、壊れてしまうかも知れないくらいこいつは少しおかしいのだ。
確かに、俺にはプライドはある…しかし、約束された後の未来と後で絶対に泣かせると心に誓っているので、ある程度は無視できるのだ。
このガキは本当に気持ち悪いガキだ。
しかし…これを持つだけで俺のモテ期というパッシブスキルとなるならば…これくらいなんて事ない。
それに、それぐらいで満足してくれるなら全然良い。
何故かって?軍には上には上がいるのだ。
あの日の事は夜になっても忘れないだろう。
ベットは一つしかないので、こいつに添い寝をしたら普通に寝れるかと思ったが、囁き声で罵声を浴びせて来る、これのせいでいつもはすぐに寝れる筈の夜もたちまち寝れなくなってしまった。最終的に隊に入ってからはいつもお世話になっている電気魔法で脳をパチッとする奴を使い意識が薄れていった。
夜遅くに起きてしまった。やはり電気が少し弱かったのだろうか?
青髪の美少女が隣でスヤスヤと寝息をたてている。
…本当にこいつは顔だけは良い。
とりあえず起こすと面倒なので静かにベットから離れる事にしたのだが。
出ようとした瞬間。後ろからぎゅっと服を掴まれた感触と共に冷や汗を書き、後ろをゆっくりと振り替える。
そこには今にも涙を吹き出しそうな碧眼は昨日見た筈の目とは大きく異なり、映るもの全てが透き通りそうな目をしていた。
涙を一杯溜め込むと俺にすがり付いてガキみたいに泣いてしまった。
「ま、マリーを置いて、行かないで…ください…良い子にしますから…言うこと聞きますから…もう…マリーを…一人にしないで…」
それから30分くらい、服のふちを掴んだまま泣かれてしまった。
泣いたまま寝てしまったようだ
後日、店主に滅茶苦茶起こられたので許さん。
…俺は少しも動揺してないが
「……マリー…様…今日の依頼は危ないのでここで待ってて下さ」
「ボクは君がボロボロになる姿が見たいんだ!そんな中でもボクにコヘコされたらもう…!」
ここガキは再び起きると元通りのクソウザいガキに戻りやがった。
昨日の事は…まぁ夢か何かなのだろう。
そうして現在はお金が一切ないので、依頼者から依頼を貰いこなして行くことでお金を貰うことが出来る。
「…マリーさん…いや様。依頼は大抵危険度が高いのしかありません、なのでこの宿にいてください。」
くぅ…このガキっ!!いつか大人の怖さというのをミッチリその身体に教えてやる!!
そう考えていると依頼者がオドオドしだした。
おっと、どうやら依頼者が困っているようだ。
「…では…依頼内容…言う」
「…今日の…依頼…ダンジョンの…調査…魔物の数…異常…統制…出来てる…知能…付けてる個体と…推測」
「ふーん?なるほど。それで報酬はどれくらい?」
「…聖金貨5枚」
まぁ価値は良く分からないが軍の給料が聖金貨10枚だった。
俺の隊長から渡される月のお金は全て日々の癒しに注ぎ込んで居たから今まで価値は分からなかったが、まぁ多分価値はあるだろう。
まぁ参考まで、さっき泊まった激安一泊宿はランクが下がって銅貨50枚だ
でも、この依頼者、フードと仮面を被っていて少し怪しいと思ったが気のせいだったようだ。
「んじゃあ行くか…後、もしどうしても行きたいなら俺の手をずっと握りっておくことだな」
俺はゴリゴリの前衛なので流石のマリーもビビる筈だ
「良いよ、これで一蓮托生だね!君が死んだらボクも死ぬから!死なないように悶えてね!」
…やっぱり言わなきゃ良かった。
いやーストーリー作るのってめんどくさいんだなーって